ダイエット研究のすべてを伝授し、理想の体型を手に入れる連載「科学的に正しいダイエットの教科書」の3回目。(1回目、2回目)
前回はダイエットで”継続”の次に重要なカロリーについて紹介した。
ということで、今回は次に重要な3大栄養素”タンパク質・脂質・糖質”について見ていく。
ここで少しだけ前回のおさらい。
筋肉を維持する=脂肪を落とすこと
だと言った。そして筋肉を維持するためには、まず十分なタンパク質が必要という話。
1日に必要なタンパク質はどれくらいなのか?
しかし、十分なタンパク質とはどれくらいなのだろうか。前記事に出てきた研究のように”体重×2.4g”くらい?結構多くね?
この疑問に答えるのが、2013年の「タンパク質を変えてダイエット効果を比較しよう!」という研究。(R)
42人のアクティブな男女を対象に、被験者を3グループに分けた。
タンパク質を変え、そのぶん糖質を減らしている。前記事のようにトレーニングに影響が出ないように”脂質”を変えて欲しかったけど...仕方ない。
被験者は週3回の筋トレをしつつ、40%のカロリー制限をした。3週間後の結果は以下の通り。
高タンパク質(1.6g & 2.4g)は、0.8gの低タンパク質と比べて脂肪も落ちたし筋肉も維持された。1.6gと2.4gでは同じくらい脂肪が落ちた。
2.4g/体重のほうが筋肉が分解されているのは、単に糖質不足でトレーニング強度が下がったことが原因だと思われる。
このようにタンパク質不足だと筋肉が分解されるが、タンパク質を取るほど筋肉に良いわけではない。さらにこの研究における糖質のように、他の栄養素が減るデメリットもある。
他には、トレーニーの男性13人を対象にした「タンパク質1.6gと2.8gはどっちがいいか?」を調べた2014年の研究がある。(R)
この研究では、総カロリーと糖質量を揃え、タンパク質だけを変えて2つのグループに分けた。
こちらの研究ではトレーニングに影響が出ないよう、そのぶん脂質からエネルギーを減らしている。40%のカロリー制限を2週間してもらったところ、筋肉の減少量は次のような結果に。
高タンパク質:-2.5 ± 0.6 kg
超高タンパク質:-2.1 ± 0.7 kg
超高タンパク質の筋肉維持効果はマジでささいなものだった。実際に研究者も「超高タンパク質でも筋肉維持効果は増えない」と結論づけている。
さらに、これほどの超高タンパク質では脂質を31gと極めて減らさなきゃいけない。普通にそのデメリットのほうが心配。
これらの研究をまとめると、タンパク質は体重あたり”1.6g〜2.4g”の間が妥当だろう。
なぜこんな煮え切らない答えなのか?それは、意外なくらい"1.6g〜2.4g”の長期間の研究がない上、タンパク質量は個人差も大きいと思われるから。
・体脂肪率がどれくらいなのか?(痩せている人ほど筋肉は分解されやすい)
・筋トレをどれくらいの負荷でやっているのか?(ダメージが大きいと、修復に多くのタンパク質が必要になる可能性がある。)
とは言え、目安があったほうが食事を取りやすい。目安量としては、間をとって以下の量にしておこう。
タンパク質 = "体重×2"g
この量を目安に摂っていけば、大きく外すことはない。結論としては、ありきたりなところに落ち着いたが仕方ない。
ちなみにスプレッドシートでもデフォルトはこの値だが、量を変更できるようにしてある。
食が細い人は"体重×1.6g"にしてもいいし、高タンパク質が好きな人は”体重×2.4g"にしても良いかもしれない。
糖質か脂質か、それが問題だ。
タンパク質の次は、糖質と脂質の話である。
糖質を減らして流行りのケトジェニックダイエットをする?
脂質を減らしたほうが痩せそうだし、昔からよく行われているローファットで攻める?
実は、研究から「脂肪が落ちる上、健康も損なわないのはどっちか?」が研究でわかっている。それは...