リバウンドすると痩せにくい体になる、というのは誰もが一度は聞いたことがあるはず。その理由も様々。
「ダイエットすると筋肉が落ちる。でもリバウンドすると脂肪だけが戻るから痩せづらい体になる。」
「ダイエットすると代謝が下がる。だからリバウンドすると代謝が低いままで痩せづらい体になる。」
果たして、これらの話は本当なのだろうか?
今回は、論文から「リバウンドすると痩せづらくなるのは本当なのか」を検証。
実は、リバウンドすると痩せづらくなるというのは、かなり怪しい話なのである。
リバウンドすると痩せづらくなるのか?
そもそも、なぜリバウンドすると痩せづらくなると言われているのだろうか?
リバウンドを繰り返していると代謝がさがる?
ネットに溢れている情報を見ると、ほとんどが基礎代謝の低下が原因だとしている。
ダイエットすると筋肉が落ちるのだが、リバウンド時には脂肪だけ戻る。
なので、リバウンドした体というのは、筋肉がなくなっている上に脂肪ばっかりが多いので、代謝が下がるというロジックになる。
もしこれが本当なら、食べる量を減らしたとしても、代謝が下がっているので大して痩せない。
なのでリバウンドした人というのは、リバウンドしていない同じ体重の人よりも痩せづらい、というのがネットによくある情報になる。
それでは、この話はどこまで本当なのだろうか?
ダイエットすると筋肉が減るのは「本当」
まず、ダイエットをすると筋肉が落ちるのは本当である。
2021年の論文では、ダイエット中の体重減少に筋肉が占める理由が割合は20-40%であり、残りの60-80%が脂肪から減るとされている。(R)
ダイエットすると筋肉が落ちてしまうというのは本当で、これは筋トレをしていたとしてもなかなか防げるものではない。
例えば2020年の研究では、筋トレをしている男女27人にカロリー制限をしてもらったところ、脂肪が2.8kg減少したが、筋肉も1.9kg減少したことが報告されている。(R)
しかも、この被験者たちはタンパク質も”1.8g/体重”と十分な量を摂取している。
これだけ筋肉を維持するための努力をしていても、筋肉というのは低下してしまうのだ。
ちなみに、この2020年の研究では筋肉を分解させないために”週2回のリフィード”をオススメしている。
実際に週2回のリフィードをしたグループは筋肉の減少量が0.2kgまで減った。もっと詳しく知りたい方への記事はこちら。
何はともあれ、ダイエットすると筋肉が落ちる、というのは多かれ少なかれ本当なのだ。
ダイエットをすると代謝が落ちるのは「本当」
そして、ダイエットをすると代謝が下がるという話だが、残念ながらこの話も真実。
本来、体にとって脂肪が減るというのは一大事。
脂肪が減り続けることは、餓死の危険を意味する
なので、体は代謝を減らすことでこれ以上脂肪が減らないように対抗してくるのだ。
この機能を専門用語で”適応熱生産”という。
それに加えて、そもそもダイエットをするということは、筋肉や脂肪などの体の組織が減ることを意味する。
なので、これらの組織を維持していたコストがそもそもかからなくなるので、体重が減れば代謝は必然的に減る。
実際に、1951年の研究では半年間のダイエットにより代謝が40%減少したことが報告されている。(R)
ちなみに、この代謝現象のうち25%が体の組織が失われたことによるもので、15%が適応熱生産によるもの。
他には、2012年の研究なんかでは、肥満の人が大幅に体重を減らしたところ、代謝がなんと789kcalも減少していたことが報告されている。(R)
体重が減れば減るほど体の組織が減るので、大幅な減量に成功するほど代謝は下がる。
その値は、大幅な減量であればおよそラーメン1杯分にも相当する789kcalにもなる。
ダイエットで代謝が下がるというのは紛れもない事実なのである。
代謝現象を食い止めるには?
ちなみに、このダイエットで下がってしまった方法を戻す方法は”ダイエットを休むこと”である。
ダイエットを2週間休んで普段通り食べたり、ダイエットを1週間ごとに1週間休むことで、ダイエットによって減少した代謝が回復することが知られている。
もちろん、体の組織が失われてしまうことによる代謝の低下は避けられない。
しかし、適応熱生産による代謝の低下はある程度防げるのだ。
ダイエットを定期的に休むと、筋肉が減りづらくなる上、適応熱生産も緩和できる。
痩せづらい体になりたくなければ、ダイエットではリフィードを取り入れたり、定期的に休んだりするのがいいだろう。
”リバウンドすると痩せづらくなる”は嘘
ダイエットをすると筋肉が落ちる上に代謝も低下することを紹介した。
それでは、リバウンドすると痩せづらい体になるというのは本当なのだろうか?
結論を言ってしまうと、リバウンドすると痩せづらくなるというのは嘘である。
先程も紹介した通り、ダイエットで筋肉が落ちるし代謝が低下するのは本当。
しかし、リバウンドするときに脂肪だけが元に戻ることはない。
ダイエット中に減少した筋肉と、低下した代謝もきちんと元通りになる。
このことを示したのが1996年の研究。(R)
ダイエット後に18.9kgのリバウンドを経験をした12人の肥満女性を対象にした調査なのだが、ダイエット前後で脂肪量・筋肉量・代謝を計測したところ、脂肪だけでなく筋肉と代謝も元通りになったことが報告された。
この研究では結果がグラフ化されているのだが、これが非常にわかりやすい。
一番上から代謝(REE)、体重(Body Weight)、筋肉量(FFM)、体脂肪量(Body Fat)なのだが、どれも形は全く同じ。
真ん中のダイエット終了時(Weight Loss)では脂肪が減り、それにあわせて代謝の低下と筋肉の分解も起きている。
そして、右側のリバウンド後(Weight Regain)では脂肪が見事に元通りになっているが、同時に筋肉量と代謝も同じように回復していることがわかる。
要するに、リバウンドしても全てが元どおりになるだけ。
リバウンド後だからといって痩せにくい体になることは一切ないのだ。
リバウンドを防止するには
リバウンドしてもすべてが元通りになるだけ。
リバウンドを繰り返しているからといって、「もう自分は痩せられないんだ...」と諦める必要はない。
気にせず何度でもダイエットに挑戦すればいいのである。
もし何度もダイエットには成功しているが、どうしてもリバウンドしてしまうという人がいたら、ダイエットの方法を間違っているかもしれない。
そんな人にはカロリーシフティングがおすすめ。
リバウンドの原因とその対策も詳しくはこちらの記事にある。
何度リバウンドしていようと、次のダイエットを成功させることはできる。
あまり気落ちせずにダイエットに挑戦しよう。参考までにどうぞ。