脳とホルモンから見た食欲の仕組みを論文から読み解いてみよう

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ダイエットと切っても切れない関係にあるのが食欲。

今回は、そんな食欲について理解を深めようという回。

ベースとなっているのは、アメリカのハワード・ヒューズ医学研究所による「脳科学から見た食欲」というの論文。(R)

一言に食欲と言っても、実は私たちには3種類の食欲があるのである。

目次

食欲①:生きるために必要な食欲

まずは、生きるために必要な食欲がある。

要するに、エネルギー不足を検知してお腹が空く、という一般的な食欲である。

さらに、この食欲には2種類あり、短期的なエネルギー不足を感知するプロセスと長期的なエネルギー不足を感知するプロセスがある。

まずは短期的なプロセスだが、これは「食事を摂っていないでお腹が空く」という、いわゆる食欲である。

絶食時間が長いと、胃からグレリンというホルモンが分泌される。それが血液を通って脳に到達することで、脳は「ご飯を食べなきゃ!」となり、私たちはお腹が空くのである。

もう一つ、実は長期的なエネルギー不足を検知するプロセスがあり、これは肥満ホルモンとも呼ばれるレプチンが関係している。

脂肪からは、絶えずレプチンと言うホルモンが分泌されており、レプチンは血液を通して脳に届けられる。

ダイエットすることで脂肪が減ると、脂肪から分泌されているレプチンも減るので、当然脳に到達するレプチンの量も減る。

脳はレプチンが減ったことを感知すると、「最近脂肪が減っている=もしかして飢餓!?」となり、私たちに食べ物を食べるように促すのである。

これらの回路は、私たちの祖先が生きていくために長年培ってきたもの。

ダイエットが進めば進むほどお腹が空くのは、このレプチンのせいである。

食欲②:快楽を求める食欲

2番目の食欲は、”快楽”に関係している食欲である。

この食欲は脳の”報酬系”と呼ばれる部位が関係している食欲で、いわゆるジャンクフードやケーキを食べたくなるのは、この報酬系のせいだとされている。

というのも、ピザやケーキを食べると私たちの脳内ではドーパミンと呼ばれる物質がバンバン放出される。

このドーパミンは性交などでも放出されるもので、私たちに快楽を与え、「もう一度したい!」と言うモチベーションを作る物質。

お腹が空いていなくても無性に甘いものやコッテリしたものが食べたいのは、脳が強烈な快感を得られる学習しているからである。

食欲③:満腹感

三番目の食欲として紹介されているのが、いわゆる満腹感である。

これは胃腸が関係している。

胃腸に食べ物が入ってきて胃が膨張したときや、食べ物が腸を通過したときなどに、満腹感を伝えるペプチドYYやコレスシトキニンが分泌される。

かさばる野菜を食べれば胃が簡単に膨張するので満腹感を得やすい。さらには、食べ物が腸に到達しこれらのホルモンが分泌されるまでに20分ほどかかるので、食後20~30分くらいしてからじゃないと満腹感は得られないのである。

この満腹感が食欲①や食欲②を上回ると、私たちは満足して食べるのをやめる。

できるだけカロリーを取らずに満腹感を得たければ、かさばる野菜や水で胃を膨らませたり、ゆっくり食べて食べ物が腸に到達するのを待つのが賢明なのである。

まとめ

よく「野菜でも食べたいときが本当にお腹が空いているとき」などというが、あながちそれは間違っていない。

ちなみに、ダイエット中で食欲に悩んでいるなら、「お腹が空いていることは忘れよう!」「野菜を食べて凌ごう!」などとするより、今回の記事を思い出して「これは何の食欲なんだろう?」と観察してみるという。

というのも、実際に食欲は拒絶しようとするより”受け入れる”ほうがコントロールしやすいことがわかっている。(R

「今はグレリンがたくさん出て脳内で食べたい信号が出ているんかな」と観察することで、ずっと楽に食欲に対処できるだろう。

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