やる気は無意味。科学が証明したダイエット成功に必要なマインド

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「どんなダイエット法でも継続すれば痩せられる!」

とはいえ、継続することが難しいのもまた事実。

街中では美味しそうな店が続々とオープンし、コンビニでは毎月のように新作スイーツが出てくる。

これらの誘惑を「やる気」で乗り越えようとするのは間違い。

例えば、ダイエットを頑張ればこの人みたいになれる、と理想の人の画像を見てもかえって逆効果。

他にも太ってる自分を罵倒してくるなどやる気を出すための”やる気コンテンツ”は多くあるが、これらは無駄なのだ。

目次

結果ばかり気にすると”口だけ野郎”になる

勘違いして欲しくないのが、これらの”やる気コンテンツ”を見るとやる気は出ることである。

しかし、実際に結果に結びつきダイエットが成功するかは別問題。

2012年の研究に「やる気を出すことは結果への行動に繋がるのか」を調べた研究がある。(R)

この研究では、ジムでこれからトレッドミルを始めようとしている男女113人が集め2つのグループに分けた。

一つは運動から得られる結果に注目したグループ。

「私はダイエットのために運動する」などを紙に書いてもらい、運動をダイエット達成の手段として意識させた。

もう一方のグループには、自分のワークアウト経験について考えてもらい、運動中もその経験に集中し続けるべきだと意識させた。

この2グループの計画量と実行量を実際に測定したところ、以下のようになった。

各グループの計画量と実行量
各グループの計画量と実行量

結果に注目したグループは、やる気が出てたくさんやりたい気持ちになり計画量は多かった。

しかし、実際に行動量を測定すると、自分が当初思ったときより運動していないことがわかる。

一方で、経験集中グループでは当初の計画量こそ結果注目グループより少ないが、実際にはたくさんコミットしていた。(指示なしグループは計画量と行動量が同じくらい)

つまり、意図的に得られる結果(こんな体型になれる!)に注目してやる気を出そうとすると、計画量が増えダイエットが成功に近づいた気がする。

しかし、直感に反して実際の行動量は少なくなってしまう。計画量だけ多くて、いわゆる”口だけ野郎”になってしまう。

実は、この研究はやる気(モチベーション)は2つあると主張している。それが「インテンション(intension)」と「パース(pursuit)」である。

インテンションは日本語で言うと”行動意図”になる。

「ダイエットをするために食事制限をしよう!」といった類のやる気のことで、インテンションが高まると目標を達成するために何かを計画したりする。

いわゆる、みんなが思う”やる気”に近い。

一方、パースは日本語で言えば”追求”。これは「実際にどれだけ行動しているか?労力をかけているか?」で測るモチベーションのこと。

その活動にめっちゃコミットしていれば、本人がどう思っていようとモチベーションが高いと言える。

もちろん、ダイエット成功に繋がるのはパースのほう。

しかし、やる気コンテンツで上がるのはインテンシティのほうである。

「ダイエットを頑張れば理想の体型が得られる」

そう考えれば、やる気が出るだろう。計画量が増えダイエットが成功に近づいた気がしてくる。

しかし、直感に反してダイエット失敗に近づいているのである。

実際に行動に移すとなると、逆効果なのである。

(そもそも理想の体型を思い浮かべるだけで痩せられるなら、誰もが理想の体型になれる。)

ということで、やる気コンテンツを消費してもインテンションを高めるだけ。

食欲に勝つことはできないし、ダイエットが成功することもない。

ダイエットを成功させリバウンドを防ぐたった一つのマインド

やる気がダイエットに繋がらないならば、どんなマインドがダイエット成功につながるのか?

もちろん「食べちゃダメだ!」と考えるのもうまくいかない。

欲求を抑えつけようとすると、返って欲求が強くなるだけ。

これはシロクマ効果として有名だが、仮に「食べちゃダメだ」で上手くいっているならここから先は読まなくて大丈夫。

話を戻そう。

ダイエットに重要なマインドとはたった一つ。

それは「受容」である。

荒ぶる食欲もやる気の停滞も全て受け入れればいいのである。

2016年にドレクセル大学が行った「受容こそがダイエット成功の秘訣なのでは?」という研究がある。(R)

この研究は、「受容マインド」を育てる認知行動療法や弁償的行動療法をダイエットに応用する方法が書かれたナイスな論文。

この研究では190人の肥満男女が集められ、受容マインド育成を含んだダイエット治療(ABT)と標準的なダイエット治療(SBT)の2グループに分けた。

どちらも1200kcal~1800kcalのカロリー制限を1年間にわたり実施したところ以下のような結果に。

受容マインドを含んだダイエット(黒)と標準的なダイエット(薄黒)の体重変化
受容マインドを含んだダイエット(黒)と標準的なダイエット(薄黒)の体重変化

受容マインドを育てたABTのほうが体重が落ちているだけでなく、1年間経ってもリバウンドもしていないことがわかる。

受容マインドを育てるとき、強調された原則は3つ。

  • 価値観の明確化
  • 不快感と快楽減少の受け入れ
  • マインドフルな意思決定

1つ目は「価値観の明確化」である。

自分が大切にしている人生の価値観を自由に選んでもらい、そこから生まれた目標を設定させた。

例えば、健康で長生きしたい、自分の人生を大切にしたい、活動的で愛される良き母親でいたい、などである。

ダイエットする理由は人それぞれで、正解はない。

2つ目は、「不快感と快楽減少の受け入れ」である。

わかりやすく言えば「食べ物が溢れている現代の環境では、体重をコントロールすることは容易ではない。辛いこともある」と受け入れることである。

ダイエット中、”食べたい衝動・空腹感・欲求不満・疲労感”などの不快感は避けられない。

さらには、アイスクリームの代わりにりんごを選んだり、テレビを見る代わりに散歩をしたりなど、快楽が減るのも当然のこととして受け入れる。

3つ目は「マインドフルな意思決定」である。

簡単に言うと、自分がしている意思決定に自覚的になることである。

・食べ物を見たときに自分にどんな感情が浮かんでいるのか?
・それがどのように自分の食事や運動の意思決定に影響を与えているか?

これらの感情や行動を一歩引いて見ることが、「受容」の第一歩である。

受容マインドを育てるもっと具体的な方法としては、まずは「コントロールできる/できない」を分類しよう。

コントロールできるものとしては、環境や行動がある。

例えば家にジャンクフードを置かないようにすることはできるし、何を食べるかは自分が決められる。

次にコントールできないものは、思考・感情・衝動などである。これらはコントロールしようとする努力が無駄であったり、むしろ大きくなったりするもの。

例えば、”ラーメンを食べたい”という思考自体はコントロールできない。その思考を、まずは自覚する。

そして、「ラーメンなんか食べちゃダメだ!」と考えを拒絶するのではなく、「ラーメンを食べたいという思考が湧いてきた...」と受け入れる。

しかし、実際に行動に移す必要はない。思考を受け入れつつ、野菜などの決められた食事をするという行動を選びとればいいのだ。

このように、思考や感情に従わず行動を選び取ることが大事。

他には、体重計測を避けていた被験者の例もある。

その被験者に対しては、体重計に乗ったときに感じる「私はこの体重を絶対に減らせない」という思考や恥の感情も積極的に受け入れるように指示されている。

結局、ポジティブであれネガティブであれ、全ての感情や思考を自覚し、受け入れればいいのである。

ダイエット成功のマインド

ダイエット成功に必要なのは、やる気でも楽なダイエット法でもない。

食べたい衝動やダイエットに伴う苦痛を、当然のこととして受け入れることである。

そのうえで、「自分が人生で大切にしている価値観は何か?」を考え、その価値観に沿う行動を選び取ることこそが、ダイエットを成功させその後もリバウンドしないマインドなのだ。

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