脂肪を減らして筋肉を増やす”リコンプ”。
前回の記事では”リコンプが効率の良いボディメイクである”ということを研究例から紹介し、実際にカロリー制限中でも筋肉を増やせるという今年発表された素敵なメタ分析を紹介した。
今回は実際にリコンプした研究例をたくさん紹介し、脂肪を減らして筋肉を増やすリコンプのガイドラインをご紹介。
しかも、この記事で紹介するのは”スリム体型のトレーニー”を対象にした研究である。
リコンプしやすい肥満の人や筋トレ初心者のリコンプは以前に紹介した。
しかし、すでに絞れてるトレーニーだってリコンプできる。
トレーニーがリコンプするための設定カロリーやPFCバランス、筋トレのセット数まで、リコンプガイドラインをあますことなく紹介しよう。
有酸素運動はリコンプ最大の落とし穴
まず、リコンプを目指す上で意外な落とし穴となるのが有酸素運動。
というのも、有酸素運動は筋肉にマイナスの効果がある。
これは専門用語で”コンカレントトレーニング(Concurrent Training)”と言われており、2012年のメタ分析が筋トレと有酸素運動を同時にやることのマイナス効果をうまくまとめてくれている。(R)
- 有酸素運動は筋量にマイナス効果がある
- 有酸素運動は筋肥大を阻害する
詳しいメカニズムはまだ不明だが、有酸素運動と筋トレは互いに邪魔をする関係にある。
リコンプを目指すなら有酸素運動は絶対にしてはいけない。
ちなみに、リコンプを成功させ筋肉をつければ、有酸素運動などしなくても十分に痩せる。
というのも、筋肉を作ることには莫大なコストがかかる。
2019年の論文に『体重100kgの男性が1.5kg筋肉をつけるために必要なコスト』という面白いものがある。(R)
- 代謝の増加 :2557kcal
- 消化に必要なカロリーの増加 :2261kcal
- タンパク質のターンオーバーの加速:4000kcal
- タンパク質作成に必要なエネルギー:1238kcal
これらを全て合わせると10056kcalとなり、これはフルマラソン42.195kmを4.5回も走ることに相当する。
確かに筋トレは運動中のカロリー消費は有酸素運動には及ばない。
しかし、その後の筋肉を作ることに莫大なコストがかかるので、有酸素運動より大きなダイエット効果を発揮する。
リコンプの第一歩は”できる”と思うこと。
少し話が逸れたので、いよいよ本題に入ろう。
物凄くバカみたいな話だが、リコンプの第一歩目は”できる”と信じること。
「脂肪を減らして筋肉を増やすなんて無理に決まってるじゃん…」
と思った瞬間に実現不可能になる。
病は気から、ではないが思い込みの力というのは意外と馬鹿にならない。
- 糖質を摂ったと思い込むだけで筋トレのパフォーマンスが上がった。
- ”自分はできる”とポジティブな刷り込みを行ったところ、筋トレのパフォーマンスが上がった!(しかもテストステロンが増えてコルチゾールが下がった)
治療薬の研究でも、薬を飲んだと思い込むだけで症状が改善するプラセボ効果があるので、コントロールグループを作り偽薬を飲ませて薬の効果を検証している。
もちろん、マッチョな体やモデル体型になれると思い込むだけで痩せられることは絶対にない。
しかし、せっかくリコンプを目指して食事やトレーニングを計画しても、”できない”というメンタルブロックがあると台無しになる。
ということで、”筋トレ経験者かつスリム体型”というリコンプしづらい人が次々とリコンプしていく様を見ていこう。