「筋トレ後はすぐにタンパク質を摂れ!」筋トレしている人なら、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
今回は、論文から「筋トレ後すぐに食事をするべきか?」という話。
結論を言ってしまえば筋トレ後に急いでタンパク質を取る必要はないのだが、それならなぜこのような迷信が生まれたのだろうか?
筋トレ前や筋トレ後、タンパク質を取るタイミングは重要?
筋トレ後に急いでタンパク質を取る必要はない。というのも、タンパク質は”量”が重要で、タイミングはさほど重要ではないということがわかっている。
このことを示したのが2013年のメタ分析。(R)
この研究はタンパク質の摂取タイミングと筋力・筋肥大の関係を調べたものになる。
既存の研究20件を抜き出したところ、以下のような結果になった。
- タンパク質の摂取タイミングは筋力にも筋肥大にも関係がなかった!
- 筋肥大と最も相関が強かったのは”タンパク質の量”だった。
「タンパク質はタイミングではない、結局は量が大事なのだ!」ということになりそう。実際に研究者も以下のように言っている。
この研究は、タンパク質のタイミングが筋力や筋肥大にどのように影響するかを直接的に調べた初めてのメタ分析である。結論として、食事の後だろうと前だろうと、急いでタンパク質を取ることが有効だとする証拠は今のところないようだ。
Brad J Schoenfeld et al, 2013
ここでいう”急いで”というのは、具体的には1時間以内を差す。
筋トレ直後に急いで取るどころか、筋トレ後1時間以内にタンパク質を摂取することすら明確なメリットがあるとは言えないのである。
筋トレ後すぐにタンパク質をとれ!が生まれたわけ
ここで疑問になるのが、そもそもなんでこんな迷信が生まれたのかということ。
実は、この迷信は特殊なケースだけ真実になる。それが”絶食状態で筋トレした場合”である。
例えば「筋トレ後はすぐにタンパク質を摂れ!」派の主張によく使われる2001年の研究がある。(R)
これは「筋トレ直後のタンパク質摂取 vs 筋トレ3時間後のタンパク質摂取」による筋合成を調べた物。
結果としては「筋トレ3時間後より筋トレ直後にタンパク質を摂取した方が筋合成が大きい」となった。
しかし、この実験では筋トレは絶食状態で行われているのだ。
なぜ絶食状態で筋トレをすると直後のタンパク質摂取が重要になるのだろうか?
実は絶食状態で筋トレをすると筋肉の分解反応が進んでしまい、その効果は3時間以上にも経っても続く。(R)
なので、すぐにでもタンパク質を摂取して筋肉の合成反応を刺激しなければならないのである。
一方で、食事を摂取している状態で筋トレをすると、筋トレ後も筋肉は合成に傾いている。(R)
なので絶食状態の筋トレと違って分解反応を止める必要はなく、筋トレ後に急いでタンパク質を取る必要はないのである。
まとめ
絶食状態に筋トレをしているのでなければ、筋トレ直後にタンパク質を摂取する必要はない。時間が取れる時に食事なりプロテインを飲めばいい。
この食事タイミングについてもっと知りたい人は、以下の記事に詳しく書いてある。ぜひ読んでみてほしい。