というのが、最近の研究で分かってきた。しかし、あまりに負荷が軽すぎても筋トレの効果が出ないのは事実。
そこで、今回は「みんな最適な負荷で筋トレできているのか?」を調査した研究をご紹介。
実は、多くの人が”軽すぎる”負荷で筋トレをしていること...つまり、追い込んでなさすぎることが判明したのである。
半数もの人が軽すぎる負荷で筋トレをしていた
今回紹介するのは、2021年のセルジぺ連邦大学による論文。(R)
この研究は、6ヶ月以上の筋トレ歴がある男性160人に対して「10レップでベンチプレスするとしたら、いつもどのくらいの負荷でやる?」と質問し、そのあと実際にその負荷を用いて被験者に限界まで筋トレをしてもらった研究。
要するに、普段10レップス行っている重量でベンチプレスをしてもらい、その重量では実際に何レップスできるかを実験室で調査したのだ。
各被験者が限界に達するまでのレップ数は以下のような結果に。
実際に限界に達した回数 | 被験者の数(全体に占める割合) |
10-12回 | 35(22%) |
12-15回 | 49(31%) |
16-18回 | 34(21%) |
19回以上 | 42(26%) |
普段10レップスやる重量で実際に限界まで追い込ませたところ、実に25%以上が倍の19回以上をこなし、半数にもおよぶ40%もの人が7回以上の余力を残していることが判明したのである。
これはRPEという指標にすると4以下の負荷であり、筋トレのウォーミングアップに使うレベル。
筋肥大に有効とされるRPE5以上よりも軽すぎる負荷だったのである。
しかも、被験者の76%は筋トレの目的を”筋肥大”と答えている。別に健康増進やちょっとした運動として筋トレしているわけではない。
実際に、研究者は以下のように結論づけている。
ほとんどの人は、予想をはるかに越えるレップ数をこなすことができると結論づけられる。よって、これらのトレーニングルーティンは、筋肥大という目的に対する最大努力とはいえない。
つまるところ、多くの人は自分が思っている以上に追い込んでいないのである。
1/4の人は今の倍以上のレップ数をこなせる可能性がある。
初心者ほどレップ数を甘く見積もりがち
他には、2017年のソレント大学による研究でも、同じような結果が出ている。(R)
141人の男女を対象に、被験者が普段やっている重さでチェストプレス・シーテッドロー・レッグプレスなどの筋トレをしてもらう研究なのだが、それと同時に「何レップできると思うか」も予想してもらったのである。
筋トレ歴ごとに結果を集計したところ、チェストプレスの結果は以下のようになった。
全体 | ~1.5ヶ月 | 1.5-6ヶ月 | 6-12ヶ月 | 1-3年 | 3年〜 | |
予想(回) | 12.38 | 15.40 | 14.86 | 14.00 | 11.14 | 10.48 |
実際(回) | 14.21 | 20.47 | 18.76 | 15.86 | 12.17 | 10.93 |
筋トレ歴が3年にもなると、”自分が予想した限界のレップ数”と”d実際にできるレップ数”に大きな違いはなく、その差は1レップス未満。
しかし、筋トレ歴が浅くなるほど予想と実際のレップ数はかけ離れていき、半年未満だと4レップもの差がある。
そして、全体的には、みんな自分が思っている以上にレップ数をこなせたのだ。
要するに、(特に初心者は)自分の能力を過小評価しがちで、ほとんどの人が追い込んでなさすぎたのである。
これらの結果は、シーテッドローやレッグプレスでも同様であった。
これらの結果を受けて、研究者は以下のように言っている。
最も筋トレ経験の豊富なベテランで1,2回、初心者では4,5回ほど予測が甘くなっていた。(中略)これらの結果は、被験者が本当に限界まではトレーニングしていないだろうことを示唆している。
この研究でも、ほとんどの人は自分の能力を過小評価しているため、実際に追い込んでなすぎる、という結果になったのである。
筋肉が大きくならないのは追い込み不足かも
もしあなたが筋トレの効果を感じないなら、もしかしたら自分の能力を過小評価しているのかもしれない。
筋トレは限界ギリギリまで追い込む必要がないとはいえ、20レップスできる重量で10レップスしかしないのは問題である。
特に初心者は自分の能力を過小評価する傾向がある。自分の予想より4レップスくらい多いところが限界、と思って使用重量を見直してみてもいいかもしれない。