「筋肥大にはボリュームが大事!」
というのは聞いたことがあるかもしれない。つまるところ、言い換えるなら「筋トレは(ある程度は)やればやるほど筋肉が大きくなる」ということである。
しかし、何事にも限度がある。やればやるほど効果が出るのはある一定のレベルまで、やりすぎると逆効果になる。
ということで、今回は筋トレをやりすぎると逆効果になったという研究をご紹介。
筋トレをやりすぎると筋力にも筋肥大にも逆効果になる、このことを実証した研究の中で、最も有名な研究を紹介しよう。
”10セット法は効果あるのか?”を調べた
今回紹介するのはシドニー大学の研究で、”10セット法は効果があるのか?”を調べた論文。(R)
10セット法は別名「ジャーマンボリュームトレーニング(GVT:German Volume Training」とも呼ばれるもの。名前の通り”10回×10セット”という高ボリュームの筋トレメニューである。
被験者となったのは、筋トレ歴1年以上の男性19人。この人たちをランダムに2つのグループ(5セットvs10セット)に分け、筋トレをしてもらった。週3回行っていた実際の筋トレメニューは以下の通りになる。
- セッション1
- ベンチプレス:10回× 5 or 10 セット
- ラットプルダウン:10回 × 5 or 10セット
- インクラインベンチプレス:10回 × 4セット
- シーテッドロー:10回 × 4セット
- クランチ:20回 × 3セット
- セッション2
- レッグプレス:10回 × 5 or 10セット
- ランジ:10回 × 5 or 10セット
- レッグエクステンション:10回 × 4セット
- レッグカール:10回 × 4セット
- カーフレイズ:20回 × 3セット
- セッション3
- ショルダープレス:10回 × 5 or 10セット
- アップライトロー:10回 × 5 or 10セット
- トライセップスプッシュダウン:10回 × 4セット
- バーベルカール:10回 × 4セット
- シットアップ:20回 × 3セット
各種目の1回あたりの負荷はどちらのグループも同じ。
セット数は10セットグループが1日31セット、5セットグループが1日21セットを行っているので、合計のボリュームは10セットグループのほうが圧倒的に高い。各グループの実際のボリュームは以下の通り。
10セット | 5セット | |
ベンチプレス | 4,582.5 kg | 1,845 kg |
ラットプルダウン | 3,961 kg | 1,595 kg |
レッグプレス | 20,906 kg | 10,116 kg |
どの種目においても、10セットグループのほうが2倍以上のボリュームをこなしている。
この条件で筋トレをしてもらい、6週間後に体重や筋力を計測したところ、以下のような結果に。
- どちらのグループもベンチプレスとラットプルダウンにおいて筋力が向上した。しかし、5セットグループのほうが筋力が向上しいた(ベンチプレス:+14.9% vs +6.2%、ラットプル:+15.1% vs +4.5%)
- どちらのグループも同じくらい筋肉が増えた(+1.8kg vs +1.2kg)
筋肥大はどちらも差がなかったが、筋力は5セットグループのほうが向上するという結果に。
研究者は以下のように結論づけている。
1種目に10セットの筋トレは、5セットに比べてトレーニングの効果を減らしてしまう。(中略)筋トレの効果を最大にするためには4-6セットが推奨され、それを越えても効果がないかオーバートレーニングによって逆効果になるだろう。
10セットも筋トレしても、時間がかかるばかりで筋肥大には意味がない。さらには、筋力に関しては逆効果となってしまったのである。
まとめ
筋トレをやりすぎると、筋トレの効果が上がるどころか後退してしまう。
ちなみに、この研究の被験者は筋トレ歴が1年くらい。これくらいの筋トレ歴で1日30セットもやるのは明らかに多すぎる。
いくら筋トレの効果を早く出したくても、急激にボリュームを増やすと逆効果。少しずつセット数を上げていくのが賢い選択肢と言えるだろう。
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