ボディメイク

コンパウンドセット法とは?筋肥大に効果がある?オススメできないワケ

「コンパウンドセット法って何?筋トレに取り入れるべき?」と言うのは、筋トレに慣れてきたら必ずぶち当たる疑問。

コンパウンドセット法とは、同じ筋肉をターゲットにした2つのエクササイズを1セットとみなす方法。例えば、胸トレの日であれば”ベンチプレス→ダンベルフライ→休憩→ベンチプレス→・・・”といったように行う。

似たような概念にスーパーセットがあるが、こちらは主働筋と拮抗筋のエクササイズを休憩なしで行う方法。例えば、”ベンチプレス→シーテッドロー→休憩→ベンチプレス→・・・”といったように行う。

ちなみに、研究では2つのエクササイズを組み合わせた時点で全て”スーパーセット”と呼ばれることも多い。

一般的にコンパウンドセット法と言われているものは”グループスーパーセット(Grouped Supersets)”と呼ばれ、スーパーセットと言われているものは”主働筋-拮抗筋スーパーセット(Agonist-Antagonist Paired Sets)”と呼ばれたりする。

そして、ほぼ見かけることも無いし実践している人もほとんどいないが、全く関係ない筋群のエクササイズをスーパーセットにすると”分割スーパーセット(Separeted Supersets)”などと呼んだりする。

この中でも、今回はコンパウンドセット法に関する研究をご紹介。

意外とレアな”コンパウンドセット”の研究から、筋トレに使えるかどうかを検証していこう。

コンパウンドセット法による筋活動と筋肉のダメージ量を調べた

今回紹介するのは2017年にブラジルで行われた「スーパーセットの間活動と筋損傷を調べようぜ!」という研究。(R)

というのも、今まではスーパーセットによる筋活動はそこそこ調べられていたが、筋損傷については情報がほとんどなかったから。

被験者となったのは25歳前後の男性22人。元々筋トレをしていたと書いてあるが、トレーニング歴は不明。50kgのベンチプレスを10回こなせるレベルなので、筋トレ初心者に入る部類と思われる。

この人たちをランダムに2つのグループに分け、筋トレを実施。

GE(Grouped exercises)  :グループスーパーセット(同じ筋群)。俗にいうコンパウンドセット。
SE(Separated exercises):分割スーパーセット(違う筋群)

GEは同じ筋群をスーパーセットで鍛えるグループで、ターゲットとなる筋群は脚と胸。

具体的なプロトコルとしては、まず脚トレのスーパーセットとして”レッグプレス⇄レッグエクステンション”を休憩なしで5セット行う。その後3分の休憩をとり、今度は胸のスーパーセットとして”ベンチプレス⇄マシンフライ”を休憩なしで5セット行うというもの。

一方で、グループ②は違う筋群をスーパーセットで鍛えたグループ。脚トレと胸トレをごちゃ混ぜにして”ベンチプレス⇄レッグエクステンション”のスーパーセットを休憩なしで5セット行う。

その後3分の休憩をとり、また同じように”レッグプレス⇄マシンフライ”のスーパーセットを行った。

研究者は「同じ筋群をスーパーセットにするコンパウンドセットのほうが筋活動も筋損傷も高いのでは?」という仮説を立て、1セット目&5セット目の筋活動と5日間にわたる筋損傷などを調べたところ、以下のような結果に。

・持ち上げた総重量に差はなかった!(GE:11972kg  vs  SE:12022kg)
・主働筋の活動量(外側広筋・内側広筋と大胸筋)はGEとSEで差がなかった!
・共働筋の活動量(大腿直筋と肩前部)はGEのほうが高かった!
・筋損傷はGEのほうが高く、5日間経っても筋損傷は回復しなかった!

まず、今回の胸や脚のエクササイズの主働筋である外側広筋&内側広筋と大胸筋の筋活動はグループ間で差はなし。(差がないので図は割愛。気になる人は引用論文へ行こう)

一方で、グループ間で差があったのは共働筋である大腿直筋と三角筋前部。

まずは大腿直筋の筋活動から見てみる。

お次は三角筋全部の筋活動。

どちらもコンパウンドセットを表す黒バーのほうが、分割スーパーセットの白バーより筋活動の値が大きいことがわかる。どうやら同じ筋群をスーパーセットにすると、共働筋をより使うようになるらしい。

もし「胸トレをしつつ肩も強く刺激したい!」という欲求があるなら、コンパウンドセット法にする利点があるが、胸の筋肉を強く刺激するためにコンパウンドセットにする意味があるかというと、正直言って首を傾げざるを得ない。

そして、もっと言うならば筋活動を表すEMGが高いほど筋肥大するという証拠はなく、「EMGを筋肥大の指標として使いすぎ!」と警鐘を鳴らされている始末。(R

とはいえ、EMGが全く使えない指標と言うつもりもないので、共働筋の刺激が増えると言うメリットはあると思っていいだろう。

次に、紹介するのが筋肉が損傷を受けると中から漏れ出してくるクレアチンキナーゼ(CK)レベルの測定結果。CKレベルが高いほど筋肉は損傷しているということを意味するのだが、結果は以下の通り。

※はベースラインから変化していることを表しており、♯はグループ間に差があることを表している。

SEグループは筋トレ後4日後まではCKレベルが高いが、5日目にはベースラインに戻っている。つまり回復に中4日かかったということ。

一方で、GEグループは筋損傷がSEグループよりかなり激しく、5日後でもCKレベルはベースラインに戻っていない。この研究では5日目までしかデータを取っていないので不明だが、少なくとも筋トレからの回復に5日以上かかることになる。

これは筋肥大に有利…かというと実はそういうわけではない。筋損傷がひどいほど筋肥大するというのはあくまで逸話。むしろ筋損傷は筋肥大に必要不可欠なものではないという研究もある。(R)

ただ一つ言えるのは「スーパーセットは激烈に筋損傷を引き起こすので、5日以上は間隔を空けないと次のトレーニングができない」ということだけ。

ちなみに、被験者の筋肉痛はどちらのグループも脚で2日続き、胸で3日続いた。要するに、筋肉痛は筋肉の回復より早く治ったのである。

と言うことで「スーパーセットをしても俺は2,3日で筋肉痛治るんだけど?そんな回復に時間かからないけど?」と思った人もいるかもしれないが、筋肉痛と筋肉が回復しているかは別なので注意。

自覚はなくとも、コンパウンドセットは普通のトレーニングと比べて激烈に筋損傷を引き起こし、中5日は休まないといけないのである。

まとめ

結局、コンパウンドセット法は筋肥大に効果的なのだろうか?コンパウンドセットの研究から得られた結果をまとめてみよう。

1.スーパーセットでも筋トレのボリュームは変わらない
2.スーパーセットで主働筋の筋活動は変わらないが、共働筋の筋活動は増える
3.スーパーセットは激烈な筋損傷をもたらし、回復までに5日(かそれ以上)かかる

要するに、コンパウンドセットにすると、共働筋の筋活動は増えると言うメリットはある。しかし、筋損傷が激しく回復には5日以上かかるかもしれないと言うデメリットもある。

なぜ筋損傷が筋肥大にとってデメリットかというと、筋トレは週1回より週2回以上したほうが筋肥大するというのが現代科学の結論だから。(R

どうしても筋トレの時間がなくて週1でしか筋トレしかできない人にはコンパウンドセットは使えるかもしれないが、同じ筋群につき週2,3回の頻度で筋トレしている人にとっては筋損傷がデカすぎて使えないのである。

結論を言うと、おすすめとしてはコンパウンドセット法を使って週1で追い込むくらいなら、普通の筋トレで頻度を増やしたほうがいい。

そうしたほうが筋トレのボリュームが上がるので、筋肥大もしやすい。ぜひお試しあれ!