「スクワットの平均はどのくらいなのだろうか?」
筋トレをしている人なら誰もが一度は考えたことがあるだろう。
今回は論文から「バーベルスクワットの平均」をご紹介。
男性や女性などの性別、筋トレ経験の有無など色々な集団におけるスクワット平均を見ていこう。
日本人のスクワット平均は?
まず最初に、日本人全体のスクワットの平均値から見ていこう。
この疑問にズバリ答えてくれるのが2004年に行われた新潟国際情報大学の研究。(R)
被験者となったのは1994年から2003年までに入学した大学1年生全員で、その数は男性で1891名、女性で944名にもなる。
この研究では新潟国際情報大学に入学した1年生全員が被験者なので、被験者には筋トレ経験がある人もない人も含まれている。
このように被験者が無作為に選ばれているので、新潟県という制約はあれど日本人全体の平均と考えてもいいだろう。
被験者に体力テストでスクワットをしてもらったところ、1RMの平均値は以下のような結果に。(1RMについては以下の記事参照)

日本人男性全体のスクワット平均
平均 | 最大 | 最小 | |
男性全体 | 83.1kg | 170.0kg | 37.5kg |
日本人女性全体のスクワット平均
平均 | 最大 | 最小 | |
女性全体 | 43.2kg | 90.0kg | 20.0kg |
男性のスクワット平均は83.1kg、女性のスクワット平均は43.2kgとなった。
ちなみに、上位50%の値を示す”中央値”はもう少し低くなるだろう。
平均値というのは一部の大きな値に引っ張られる傾向がある。
今回の研究においても、最大値を見ると一部の筋トレ経験者が平均を釣り上げているだろうことがわかる。
ベンチプレスの平均から見ても、男女ともに5kgくらい低い重量でも日本全体の上位50%に入るのではないかと思う。
中央値はデータの中央に位置する値。例えば「1,2,3,4,100」という5つの数字があった場合、平均値は22で中央値は3となる。このように平均値は大きい値があるとそちらに引っ張られる。
日本人の筋トレ未経験者のスクワット平均は?
続いて日本人の筋トレ未経験者のスクワット平均を見てみよう。
と言いたいところだが、実は日本人の筋トレ未経験者を対象にした研究は自分が調べた限りでは皆無。
唯一見つかったのが2020年の研究。(R)
被験者となったのは男子大学生26名で、日常的な筋トレをしていない人たちが対象。
しかし被験者には体育や高校の部活で筋トレをしていたことがある人も含まれていたらしく、この研究は完全な筋トレ未経験者のデータではないことには注意。
彼らにスクワットをしてもらい1RMを計測したところ、以下のような結果に。
日本人男性の筋トレ未経験者におけるスクワット平均
被験者 | 1RM | |
2020年の研究(R) | 男性26名 | 96.1kg |
結果としては、先ほどの日本人全体の結果よりも96.1kgを叩き出している。
これは欧米の筋トレ未経験者に匹敵するレベルなのでかなり強いと見ていいだろう。
2016年の小規模研究では1RMが体重比125%に位置している筋トレ未経験者がおおいことからも、約80kg前後と推測するのが妥当だろう。(R)
日本人の筋トレ経験者のスクワット平均は?
次に日本人の筋トレ経験者のスクワット平均を見てみよう。
こちらは女性の研究が皆無だったので男性のデータを紹介する。
以下に筋トレ経験者を対象にした研究をまとめてみた。
日本人男性の筋トレ経験者のスクワット平均は?
研究 | 被験者 | 1RM |
2003年の研究(R) | 男性8名 | 123.5kg |
2019年の研究(R) | 男性29名 | 138.2kg |
2010年の研究(R) | 男性9名 | 157.1kg |
2010年の研究(R) | 男性8名 | 153.6kg |
平均 | 143.1kg |
スクワットの平均は143.1kgと初心者集団よりは50kgほど高重量の値になっている。
被験者によってばらつきはあるが、この値を越えていたら筋トレ経験者の中でも強いと自慢できるだろう。
欧米人の筋トレ未経験者のスクワット平均は?
今までは日本人の研究を紹介してきたので、ここからは欧米人の研究を紹介しよう。
欧米人は体格が大きいため1RMを調べた研究では日本人よりも高い値になりがち。
とはいえ研究数が多いこともあり、世界基準のスクワット平均を知るにはうってつけとなっている。
まずは欧米人の筋トレ未経験者を対象にした研究から見てみよう。
欧米人男性の筋トレ未経験者のスクワット平均は?
欧米人女性の筋トレ未経験者のスクワット平均
研究 | 被験者 | 1RM |
1997年の研究(R) | 女性27名 | 60.6kg |
男性では103.9kg、女性では60.6kgが筋トレ未経験者の平均値となっている。
男性でスクワット100kgというと何やらすごく感じるが、1回でいいなら欧米に住む約半数の人は挙げられるのだ。
欧米人の筋トレ経験者のスクワット平均は?
次に、普段から筋トレをしている欧米人のスクワット平均を見てみよう。
以下に研究をまとめてみた。
欧米人男性の筋トレ経験者のスクワット平均
筋トレ歴 | 1RM | |
2022年の研究(R) | 3.4年 | 105kg |
2022年の研究(R) | 3.4年 | 117kg |
2022年の研究(R) | 3.4年 | 121kg |
2019年の研究(R) | 4.4年 | 104.5kg |
2019年の研究(R) | 4.4年 | 114.9kg |
2019年の研究(R) | 4.4年 | 106.6kg |
2017年の研究(R) | 5.9年 | 140.3kg |
2019年の研究(R) | - | 146.6kg |
2006年の研究(R) | - | 140.1kg |
2003年の研究(R) | - | 184.9kg |
平均 | 128.1kg |
欧米人女性の筋トレ経験者のスクワット平均
筋トレ歴 | 1RM | |
2019年の研究(R) | - | 86.2kg |
男性であれば128.1kg、女性であれば86.2kgが筋トレ経験者のスクワット平均となっている。
先ほどの筋トレ未経験者と比較すると、男女ともに20kgしか重量が増えていないことがわかる。
スクワットといえば筋トレをするほど重量が大きく上がりな種目だが、実は筋トレ経験を積んでも意外と重量が上がらない種目なのだ。
ちなみに男性の最後の欄にある2003年の研究では、平均が184.9kgといいう高重量を叩き出している。
これはこの研究に参加する条件に「週2回以上の高強度トレーニングをすること」と入っていることが原因。
高強度トレーニングというのは筋力向上に効果的なことがわかっている。
この研究の被験者はいわば筋力ガチ勢で、実際に高強度トレーニングを取り入れて他の研究よりも約40kgも高い平均値を叩き出しているのだ。
欧米人のパワーリフターのスクワット平均は?
それでは最後に、筋力を高める競技アスリートであるパワーリフターのスクワット平均を紹介して終わりにしよう。
欧米人男性のパワーリフターのスクワット平均
欧米人女性のパワーリフターのスクワット平均
被験者 | 1RM | |
2017年の研究(R) | 女性3人 | 94.4kg |
男性では179.1kg、女性では94.4kgがパワーリフターのスクワット平均となっている。
男性を対象にした研究の中には平均202.2kgを叩き出しているものもあり、恐るべしパワーリフターといった印象。
スクワットで100kgの壁はわりと薄いが、200kgを越えればスクワットは超一流と考えて問題ないだろう。
まとめ:スクワットの平均一覧
今回はスクワットの平均についてまとめた。
最後に性別や筋トレ経験の有無別で一覧にしておこう。
男性のスクワット平均一覧
男性 | 1RMの平均 |
日本人全体 | 83.1kg |
日本人の筋トレ未経験者 | 96.1kg |
日本人の筋トレ経験者 | 143.1kg |
欧米人の筋トレ初心者 | 103.9kg |
欧米人の筋トレ経験者 | 128.1kg |
欧米人のパワーリフター | 179.1kg |
女性のスクワット平均一覧
女性 | 1RMの平均 |
日本人全体 | 43.2kg |
欧米人の筋トレ未経験者 | 60.6kg |
欧米人の筋トレ経験者 | 86.2kg |
欧米人のパワーリフター | 94.4kg |
「スクワットの重量を上げたい」という人は、高強度トレーニングを取り入れるのが近道。
とはいえ本格的に高強度トレーニングをするのは面倒に感じる人もいると思うので、そんな人は簡単に高強度トレーニングを取り入れられるPAPがおすすめ。

「もっと本格的に筋力を鍛えたい!」という人は、パワーリフティング界でも有名なピリオダイゼーションを取り入れることを検討してみるのがいいだろう。
