ベンチプレスは何キロからすごい?男女別・筋トレ経験別で論文から紹介

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「ベンチプレスは何キロからすごい?」

筋トレをしているならば、誰もが一度は疑問に思ったことがあるだろう。

今回は論文から「ベンチプレスは何キロからすごいのか?」をご紹介。

筋トレ経験の有無や性別など、様々な条件で何キロからすごいのかを考えていこう。

目次

ベンチプレスが上位2.5%に入れば十分にすごい

上位2.5%は給料に換算すると年収1200万のレベル

今回は「ベンチプレスは何キロからすごい?」という質問に回答するのは難しい。

男性であれば何となく100kgがすごいという風潮はあるが、そこにはデータによる裏付けはない。

そこで今回は「ある集団の上位2.5%に入ればすごい」として話を進めよう。

というのもベンチプレスが何キロからすごいのかは、「男性なのか女性なのか」「筋トレ経験があるのか」「筋トレ経験がないのか」によっても変わってくるからだ。

ちなみに上位2.5%がどれくらいかというと、年収に換算するなら1000万は超えていないと到達できないレベル。(国税庁の民間給与実態統計調査を参照)

おおよそ年収1200万程度に相当するのが上位2.5%の世界。

直感的にも十分にすごいということがわかるだろう。

今回はベンチプレスの1RMを調べた研究から、「何キロを越えれば上位2.5%に入っているのか」を紹介しよう。

上位2.5%の計算方法(読み飛ばしてOK)

上位2.5%の計算方法だが、今回はベンチプレスの1RMデータが”正規分布する”という前提で話を進める。

正規分布というのは、簡単に言ってしまえば均等にばらついているということ。

グラフにすると以下のようになる。

正規分布の図
正規分布の図

正規分布には、「平均値(µ)±1.96×標準偏差(σ)」に集団の95%が入る性質がある。

ベンチプレス1RMの平均値と標準偏差はほとんどの論文で書いてあるので、そこから上位2.5%に入る重量を計算できる。

研究の被験者は筋トレ初心者や経験者、男性や女性と色々なカテゴリーがあるので、その集団の中で上位2.5%に入る重量を”すごい”重量としたのだ。

日本人全体ではベンチプレスは何キロからすごい?

それでは日本人全体をみたときに上位2.5%に入る重量を考えよう。

この疑問に答えてくれるのが男性1891名、女性944名を対象にした2004年の大規模研究。(R

この研究は1994年-2003年に新潟国際情報大学に通っていた大学生1年生全員を対象にしたもので、被験者には筋トレ経験者も筋トレ初心者も含まれている。

被験者にベンチプレスをしてもらった結果を、男女別でみてみよう。

日本人男性全体では何キロからすごい?

日本人全体被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2004年の研究(R男性1891名63.5kg51.5kg0.81倍72.7kg1.14倍
日本人男性全体におけるベンチプレスの平均と上位2.5%の重さ

日本人女性全体では何キロからすごい?

日本人全体被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2004年の研究(R女性944名52.8kg23.8kg0.45倍32.2kg0.61倍
日本人女性全体におけるベンチプレスの平均と上位2.5%の重さ

この研究では、男性で72.7kg、女性で62.2kgを越えていれば上位2.5%に入る。

この研究が大規模かつ被験者が大学生全員と無作為に選ばれていることからも、日本人全体としてこの重量を超えれば上位2.5%に入ると考えても問題ないだろう。

この重量を越えていれば年収で換算すると1200万円級。

筋トレをしている人からしたら大したことがないと思うが、日本人全体で見れば十分にすごいと言えるだろう。

日本人の筋トレ初心者ではベンチプレスは何キロからすごい?

先ほどは日本人全体の結果。

次からは筋トレ経験の有無による違いを見ていこう。

まずは日本人初心者の上位2.5%に入る重量はどのくらいなのだろうか?

参考として2009年に行われた研究を紹介しよう。(R)

被験者の数は男性で67名、女性で36名と先ほどの研究よりは小規模。

そして被験者は筋トレをしたことがない人に限定されている。

被験者のベンチプレス1RMを計測したところ、結果は男女別で以下のようになった。

日本人男性の筋トレ初心者では何キロからすごい?

日本人の初心者被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2009年の研究(R男性67名60.7kg46.0kg0.76倍62.9kg1.04倍
日本人男性全体におけるベンチプレスの平均と上位2.5%の重さ

日本人女性の筋トレ初心者では何キロからすごい?

日本人の初心者被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2009年の研究(R女性36名51.0kg21.8kg0.43倍32.6kg0.64倍
日本人男性全体におけるベンチプレスの平均と上位2.5%の重さ

先ほどの研究よりだいぶ数値は下がり、男性で62.9kg、女性で32.6kgを越えていれば上位2.5%に入るという結果に。

日本人全体の結果とさほど変わらないことから、先ほどの研究でも筋トレ経験者はあまりいなかったのだろうと思われる。

ここで男性でたった62kg、女性でたった32kgと思う人もいるかもしれない。

しかし、筋トレをしたことがない人は実際に試してみるとこれがいかにすごい数値かわかる。

筋トレ経験者の中でも、初めからこの重量が挙がったという人はほとんどいないのではないだろうか。

日本人の筋トレ経験者ではベンチプレスは何キロからすごい?

それでは日本人の筋トレ経験者では、何キロからすごいと言えるのだろうか。

参考となるのが2010年のラグビー選手を調べた研究。(R)

被験者は普段から筋トレをしている男性17人で、フリーウェイトやマシンなどを1種目3セットで鍛えていたという記載がある。

よって、一般的なトレーニング経験者とみなして問題ないだろう。

被験者にベンチプレスをしてもらったところ、以下のような結果に。

日本人男性の筋トレ経験者では何キロからすごい?

日本人男性の経験者被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2010年の研究(R男性9名77.4kg92.8kg1.20倍118.3kg1.53倍
2010年の研究(R男性8名75.1kg88.1kg1.17倍101.8kg1.36倍
平均76.3kg90.5kg1.19倍110.1kg1.44倍

ベンチプレスは110kgを越えれば上位2.5%に入るという結果に。

研究の数が少なくてこれが正解とは正直言えないが、110kgを越えていれば十分すごいと感じる人が多いのではないだろうか。

欧米人の筋トレ初心者ではベンチプレスは何キロからすごい?

今までは日本人のデータを見てきたので、次は欧米の研究データはどうなっているのだろうか。

そもそも体格が大きいためベンチプレスの平均は欧米人のほうが高いという注意点はある。

しかし、研究は欧米人を対象にしたものが圧倒的に多い。

数字の信頼性という点では日本人の研究を上回る。

ということで、ここからは欧米の研究結果を見てみよう。

まずは欧米人の筋トレ初心者から。

欧米人男性の筋トレ未経験者では何キロからすごい?

被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
1997年の研究(R男性40名80.1kg81.9kg1.02倍117.4kg1.47倍
2017年の研究(R男性12名74.6kg61.6kg0.83倍90.6kg1.21倍
2006年の研究(R男性8名73.1kg62.8kg0.86倍85.3kg1.17倍
平均75.9kg68.8kg0.91倍97.8kg1.29倍
欧米人男性の筋トレ未経験者におけるベンチプレス重量

欧米人女性の筋トレ未経験者では何キロからすごい?

欧米人女性の初心者被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
1997年の研究(R女性27名67.2kg33.2kg0.49倍47.5kg0.71倍
2008年の研究(R女性103名61.6kg28.7kg0.47倍41.8kg0.68倍
1998年の研究(R女性57名63.0kg33.5kg0.53倍44.5kg0.71倍
平均63.9kg31.8kg0.50倍44.6kg0.70倍
欧米人女性の筋トレ未経験者におけるベンチプレス重量

男性は1997年の結果だけ被験者間のばらつきが大きいので、正直あまり参考にならない。

なので1997年の研究を除外して考えると、90kgを越えれば上位2.5%に入ると言えるだろう。

一方で女性はどの研究も同じような結果で、45kgを超えると上位2.5%に食い込む。

実際に筋トレをしたことがないのにも関わらず、男性で90kg、女性で45kgが上がるというのは驚異的。

筋トレ未経験者でこの重量が上がる人は世界的にみても”すごい”と言って問題ないだろう。

欧米人の筋トレ経験者では何キロからすごい?

それでは、欧米の筋トレ経験者はどうだろうか。

以下に欧米の筋トレ経験者を対象にした研究をまとめた。

欧米人男性のベンチプレス経験者では何キロからすごい?

欧米人男性の経験者筋トレ歴体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2017年の研究(R3.5年77.5kg79.7kg1.03倍110.1kg1.42倍
2017年の研究(R4.8年74.8kg70.7kg0.95倍102.5kg1.37倍
2019年の研究(R4.4年82.5kg93.6kg1.13倍125.2kg1.52倍
2019年の研究(R4.4年82.5kg96.4kg1.17倍137.8kg1.67倍
2019年の研究(R4.4年82.5kg91.1kg1.10倍132.1kg1.60倍
2022年の研究(R4.3年81.6kg98.0kg1.20倍137.2kg1.68倍
2022年の研究(R2.8年80.0kg93.0kg1.16倍132.2kg1.65倍
2022年の研究(R2.7年80.2kg103.0kg1.28倍148.1kg1.85倍
2006年の研究(R-86.4kg115.4kg1.34倍160.9kg1.86倍
平均80.9kg93.4kg1.16倍131.8kg1.63倍
欧米人男性の筋トレ経験者におけるベンチプレス平均

筋トレ経験者は筋トレ年数が同じでも、被験者によってかなり数値が異なっている。

全体としてはおおよそ130kgを越えると上位2.5%に入る可能性が高いだろう。

ちなみに2006年の研究はかなり高い値の160kgとなっている。

これは被験者が週2回以上の高強度トレーニングをしたことがある人と限定されているのが原因。

高強度トレーニングは筋力向上に効果的なことがわかっているので、160kgを叩き出さないと上位2.5%には食い込めないのだ。

欧米人のパワーリフターでは何キロからすごい?

最後に、筋力を競い合うアスリートであるパワーリフターの結果を紹介して締めくくろう。

欧米人男性のパワーリフターでは何キロからすごい?

欧米人男性のパワーリフター被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2019年の研究(R男性15人94.2kg139.7kg1.48倍325.0kg3.45倍
2017年の研究(R男性12人87.9kg131.9kg1.50倍167.0kg1.90倍
平均91.1kg135.8kg1.49倍246.0kg2.70倍
欧米人男性のパワーリフターにおけるベンチプレス重量

欧米人女性のパワーリフターでは何キロからすごい?

欧米人女性のパワーリフター被験者体重平均体重比上位2.5%の重さ体重比
2017年の研究(R女性3人59.0kg59.0kg1.00倍70.8kg1.20倍
欧米人女性のパワーリフターにおけるベンチプレス重量

男性では170kg、女性では70kgをベンチプレスで挙げることができればパワーリフターの中でも上位2.5%にはいる。

研究が少ないという注意点はあるが、この重量が挙がるようであればパワーリフターの中でも上位層。

あなたのベンチプレス重量を”すごい”と言わない人はいないだろう。

まとめ:年代別一覧

今回は「ベンチプレスは何キロからすごい?」について紹介した。

被験者の集団上位2.5%に入る重さ
日本人全体72.7kg
日本人の筋トレ初心者62.9kg
日本人の筋トレ経験者110.1kg
欧米人の筋トレ初心者97.8kg
欧米人の筋トレ経験者131.8kg
欧米人のパワーリフター169.8kg
男性のベンチプレスがすごい重量一覧
被験者の集団上位2.5%に入る重さ
日本人全体32.2kg
日本人の筋トレ初心者32.6kg
欧米人の筋トレ初心者44.6kg
欧米人のパワーリフター70.8kg
女性のベンチプレスがすごい重量一覧

どんな人からも”すごい”と言われたいのであれば、男性で170kg、女性で70kgが一つの目安になる。

相手がたとえパワーリフターであろうと”すごい”と言われることだろう。

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