「筋トレをやりすぎるとオーバーワークになる!」
「オーバーワークなんて存在しない!」
オーバーワークとは、筋トレや有酸素運動などのトレーニングをやりすぎてる状態。
オーバーワークは、専門的にはオーバートレーニング症候群と言わている。
巷では、このオーバートレーニングは存在するだとかしないだとかで様々な言説が飛び交っている。
今回は、論文から”オーバートレーニング”に関する話。
そもそも、オーバートレーニングとは科学的にどういう定義をされているのか?
オーバートレーニングにならないためにどうするべきか?を紹介していこう。
オーバートレーニングはパフォーマンス低下が続いた状態
そもそもオーバートレーニングとは何なのだろうか?
一般的には「運動のしすぎでパフォーマンスが低下した状態」をオーバートレーニングという。
これは間違っていないのだが、実は運動で多かれ少なかれパフォーマンスが下がることは当たり前。
例えば、ある日に胸をガッツリ鍛え、次の日にも胸トレを行おうものなら、その日は疲れで前日ほどトレーニングはできないだろう。
このように、トレーニングをすればその後しばらくはパフォーマンスが低下するのが普通。
では”しばらく”とは具体的にどれくらいの期間なのか?実はこれこそが重要なポイント。
ということで、運動後のパフォーマンス低下がどれくらい続くか?で、このパフォーマンス低下には3つの名前が付けられている。(R)
- 機能的オーバーリーチング(functional overreaching):数日〜1週間
- 非機能的オーバーリーチング(non functional overreaching):1週間〜1ヶ月
- オーバートレーニング症候群(overtraining syndrome):1ヶ月〜数年
まず、これら3種類の厳密な定義としての区別は、単に”パフォーマンス低下の時間”のみでなされている。
パフォーマンス低下の時間が数日ほどで終わるのが機能的オーバーリーチング、1週間から1ヶ月ほど続くのが非機能的オーバーリーチング、数ヶ月から数年続くことがあるのがオーバートレーニング症候群である。
実はこの3つは連続体であり、明確に区別するのは難しいとされている。
学術的に厳密なオーバートレーニングは”オーバートレーニング症候群”だが、現実として非機能的オーバーリーチングもオーバートレーニングとみなされるだろう。
ただし、あまり知られていないがパワーリフターは意図的に非機能的オーバーリーチングを引き起こすことがある。(ここらへんの理由は後述)
このように厳密には3種類あるパフォーマンス低下を誰もが好き勝手な言葉で説明しているので、オーバートレーニングやオーバーリーチングの話は迷子になりがち。
こういった混乱を避けるために、今回は以下のように言葉を使い分けるようにする。
- オーバートレーニング:一般的な意味でのオーバートレーニング
- オーバーリーチング:一般的な意味でのオーバーリーチング
- 機能的オーバーリーチング:厳密な意味でのオーバーリーチング①
- 非機能的オーバーリーチング:厳密な意味でのオーバーリーチング②
- オーバートレーニング症候群:厳密な意味でのオーバートレーニング
言葉としては大まかに”オーバーリーチング”と”オーバートレーニング”という2種類に分けられる。
これら2つは大きな違いがあるのだが、まずはオーバーリーチングから話を進めよう。
オーバーリーチングとオーバートレーニングの違い
オーバートレーニングとオーバートレーニングの違いはなんだろうか?
それはパフォーマンス低下後に”スーパーコンセンセーション(supercompensation)"と呼ばれるパフォーマンス上昇があるかどうかである。