「爆速で痩せたいなら低糖質!」
「脂質は太るから摂っちゃダメ!」
このように巷では色々なダイエット法が編み出されている。
はたして、どのダイエット法が一番いいのだろうか?
今回は、論文から「ダイエット法はどれを選べばいいのか?」という話。
実は、現代科学の結論は「続ければどんなダイエット方でもやせる」という何ともつまらないものである。
ダイエットで最重要なのは、継続だけ
ダイエット法選びで悩んでいるなら、単に自分の好みで選べばいい。
というのも、実はどんなダイエットでも続けることができれば痩せるうえ、ダイエット効果はほとんど変わらないのである。
このことを実際に示したのが2020年の論文。(R)
この研究は121件の研究から21942人の被験者を抜き出したメタ分析で、タイプ別にダイエット法を分類して、「どのダイエット法が一番なのか?」を調査することが目的。
実際に、このメタ分析で抜き出されたダイエット法は以下のようになる。
- 低糖質系(炭水化物40%以下、タンパク質30%、脂質30〜55%)
- アトキンスダイエット
- サウスビーチダイエット
- ゾーンダイエット
- バランス系(炭水化物55~60%、タンパク質15%、脂質21~30%)
- ダッシュダイエット
- 地中海式ダイエット
- ポートフォリオダイエット
- ジェニークレイグダイエット
- ビゲストルーザーダイエット
- スリミングダイエット
- ボルメトリクスダイエット
- ウェイトウォッチャーダイエット
- 低脂質系(炭水化物60%、タンパク質10~15%、脂質20%以下)
- オーニッシュダイエット
- ローズマリーコンレイダイエット
抜き出されたダイエット法は合計13種類。
アトキンスダイエットや地中海式ダイエットなど聞いたことがあるものもあれば、人名を冠した日本では全く聞いたことのないようなダイエットが多め。(詳しいダイエット法は後述。)
何はともあれ、これらのダイエット法を分析したところ、以下のような結果に。
- 6ヶ月後に一番体重が減っていたのはジェニークレイグダイエットとアトキンスダイエットだった!
- 6ヶ月後に一番体重が減っていなかったのはビゲストルーザー、スリミングダイエットだった!
- その他は同じくらいのダイエット効果だった!
- とはいえ、どんなダイエット方でも6ヶ月やればちゃんと効果が出ていた!
- そして、12ヶ月後にはみんな少しはリバウンドしていた!
ダイエット法による違いは多少は出たが、どのダイエット法でも続けさえすれば体重は減るという結果に。
そして、体重維持はやっぱり難しく、どんなダイエット法でも少なからずリバウンドしてしまうらしい。
ちなみに、2014年にも同様のダイエット方法を比較した研究が行われている。
結果はそこでも同じで「どんなダイエット法でも続ければ痩せる」というものだった。(R)
仮に多少優れたダイエット法があったとしても、続かなかったら意味がない。
どんなダイエット法でも効果があるので、自分が継続できそうなダイエット法を選ぶのが一番賢いといえる。
先ほどの2014年と2020年のメタ分析の著者の言葉を、それぞれ引用しよう。
カロリー制限ダイエットは、どれも続ければ意味のあるダイエット効果をもたらす。個々のダイエット法による差は小さく、ダイエットする人にとって重要ではない。
ダイエットの違いは些細なものである。人々は「どれが効果的なのか?」など心配する必要はなく、自分の好きなものを選ぶことができる。
結局ダイエット法の違いなんて些細なものでしかなく、自分の好きな物を選べばいい、といいうことで両者の意見は一致しているのだ。
どんなダイエットでも継続さえできれば成果は出る。
ということで、実際に先ほど挙げた研究のダイエット法がどんなものか紹介しよう。
糖質制限系ダイエットの方法と継続のコツ
まず紹介するのは糖質制限系のダイエット。
先ほど挙げたアトキンスダイエット、サウスビーチダイエット、ゾーンダイエットを紹介しよう。
アトキンスダイエット
まず紹介するのはアトキンスダイエット。
これは「アトキンス博士(Robert C. Atkins)」が提唱したダイエット法で、いわゆる糖質制限ダイエット。
糖質を制限することで、糖質を細胞内に取り込むインスリンの分泌を抑え、脂肪の蓄積を減らそうというもの。
具体的には4つのフェーズに分かれて行う。
- フェーズ1(導入):2週間、20g以下の糖質量で生活する。食べるのは高タンパクな肉・魚や低糖質の野菜など。
- フェーズ2(バランス期):ナッツや少量のフルーツなどを食事に取り入れる
- フェーズ3(チューニング期):体重目標に合わせて、少しずつ糖質量を増やす。
- フェーズ4(メンテナンス期):目標体重に達したら、野菜やフルーツ、根菜などの健康的な糖質を増やして体重を維持する。
アトキンスダイエットは一番初めにキツい糖質制限でガッツリ体重を落とし、少しずつ糖質を増やしていくという方法。
人によってはフェーズ1をスキップしてフェーズ2から入ったり、反対にフェーズ1にずっと留まりいわゆるケトジェニックダイエットを行う人もいる。
サウスビーチダイエット
次に紹介するのがサウスビーチダイエット。
これは「アーサー博士(Arthur Agatston)」が提唱したもので、こちらは先ほどのアトキンスダイエットよりは緩めの糖質制限になっている。
糖質が悪者というよりは、小麦や白砂糖などの精製糖質を悪者と位置付けたもの。
具体的な方法は3つのフェーズからなる。
- フェーズ1:砂糖や精製糖質への欲求を断ち切る2週間。パスタや米、パンやフルーツを食事から排除する。酒も禁止。肉やナッツ類、低糖質な野菜を食べる。
- フェーズ2:体重を落とすフェイズ。全粒粉のパスタやパン、玄米やフルーツを戻す。体重が目標に達成するまでこの生活を続ける。
- フェーズ3:体重の維持期。フェーズ1とフェーズ2で学んだ食事を続ける。
こちらも始めが一番きついが、これは砂糖や米、パンやパスタなどへの欲求を断ち切るために行われているのが先ほどのダイエットとは違うところ。
ゾーンダイエット
糖質制限系の最後のダイエットはゾーンダイエット。
これは「バリー博士(Barry Sears)」が提唱したもので、三大栄養素を糖質40%、タンパク質30%、脂質30%の割合でとるというもの。
糖質そのものを抑えるというよりは、GI値の低い糖質を摂ることで、血糖値を一定に保って体内の炎症を減らそうというコンセプト。
やり方は簡単で、上記の三大栄養素の割合にすることを意識しつつ、GI値の低い糖質を摂ればよい。
低糖質系ダイエットが向いている人
糖質制限ダイエットは、面倒な三大栄養素の計算などをしたくない人にはとても向いているダイエット。
というのも、糖質以外から栄養を摂取すると、どうしても肉・魚・卵など、タンパク質が多くなりがち。
実際に糖質制限はダイエットに有利とする研究はいくつかあるが、それはどれもタンパク質が増えたことによるもの。
また、糖質制限は実施している人が割と多いので、外食や友人と外食した時も「糖質制限をしている」と公言しやすく、ダイエットのルールを守りやすいのもメリット。
”糖質を減らす”という単純なルールだけでダイエットをしたい人には向いている方法だろう。
低脂質系ダイエット
次は低脂質系のダイエットを紹介しよう。
先に挙げたダイエットの中から、一例としてオーニッシュダイエットを紹介しよう。
オーニッシュダイエット
オーニッシュダイエットは「オーニッシュ博士(Dean Ornish)」が提唱したダイエットで、いわゆるベジタリアンの食事に近い。
食べるのは植物性の食事で、具体的には野菜、フルーツ、全粒粉、豆類などを食べる。
ナッツなどはタンパク質源として食べていいが、脂質はカロリー全体の10%までに抑える。
基本的に植物ベースの食事法となる。
脂質制限ダイエットが向いている人
脂質制限ダイエットが向いているのは、筋トレをしていたり運動量が多い人だろう。
糖質というのは筋トレのときに重要な栄養源となるので、ダイエット中でも筋トレのパフォーマンスを下げたくない人にとって糖質は必須。
具体的な目安としては、脂質は20%程度取っておけば体に重大なデメリットを及ぼすことは少ない。
筋トレをしている人は脂質をその程度に抑えて、糖質をできるだけ多く摂るのがいいだろう。
バランス食系ダイエット
最後に紹介するのがバランス食系のダイエット。
先に挙げた研究の中から、一番有名であり、健康的と名高い”地中海式ダイエット”を紹介しよう。
地中海式ダイエット
地中海式ダイエットは、言葉の通り地中海沿岸の国であるフランス、スペイン、ギリシャ、イタリアなどの食習慣をマネしたもの。
地中海沿岸諸国の人というのは健康的で病気になるリスクが低いという研究がある。(R)
これは減量のためというよりも、どちらかというと健康目的が強い。
減量はあくまで副次的な効果にすぎない。
具体的な食事法としては、まずは以下のような食事を増やす。
- 野菜
- フルーツ
- ナッツ類
- 豆類
- 全粒粉
- 魚・シーフード
- 鶏肉
- 卵
- 乳製品
- オリーブオイル類
逆に減らすべき食材は以下の通り。
- 砂糖類
- 精製糖質
- トランス脂肪酸
- 精製油
- 加工肉
- 加工食品
野菜やフルーツ、魚を増やし、加工食品は減らすというわかりやすく”健康的な食事”をするのが地中海式ダイエットになる。
バランス食が向いている人
個人的には、このバランス食型が一番オススメ。
というのも、糖質を減らそうが脂質を減らそうが、バランス食だろうがダイエットのスピードは変わらない。
ならば、一番制限がキツくない”バランス食”を食べるのがいいだろう。
というのも、制限がキツくなればなるほど、食べたいという欲求が出てくるし、ドカ食いのリスクが高まる。(詳しくは以下の記事参照。)
糖質も脂質も過度に制限しないバランス食が食品の制限がなく、一番生活に馴染む。
無理な制限をしなくていいので、継続という観点からみても一番最適だろう。
まとめ
ダイエット法はどれを用いても”継続”さえできれば痩せることができる。
反対に言えば、継続できなければどんなダイエット法でも意味がない。
継続という意味では、フレキシブルダイエットがおすすめ。
以下の記事にも詳しく書いてあるので今度こそダイエットを成功させたい人はぜひ読んでほしい。ぜひお試しあれ!