筋トレは1セットで十分?論文から1回何セットが効果的なのか検証

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「筋トレは1セットやるだけでは十分じゃないの?」

筋トレにあまり時間を割きたくない人や、そもそも筋トレが面倒と感じる人は一度はこのように考えたことがあるだろう。

ということで今回は、論文から「筋トレは1セットで十分なのか?」について考えてみよう。

時間がない人に朗報。実は筋トレを1セットするだけで筋肉は大きくなる。

目次

「1セットより複数セットが筋肥大するのか?」を調べた2010年のメタ分析

今でこそ筋トレは1回3セットとなっているが、実は昔からこのやり方が推奨されてきたわけではない。

2023年に生きる私たちには意外なことに、一昔前までは筋トレは一般的に1セットやれば十分とされていたのだ。

実際に、1993年のアメリカスポーツ医学界のガイドラインを見てみると、「筋トレは週2,3回、8-10種目を1セットやればOK」と書かれている。(R

とはいえ、中にはもちろん2,3セット行っている人もいた。

しかし、これらの複数セットは時間がある人やアスリート向けのプログラムと言った立ち位置で、中には「複数セットは1セットよりも効果的じゃない」と主張する人もいたくらい。(RR

つまるところ、筋トレは1セットで終わらせるのが普通で、2セット以上やる意味があるかは疑問視されていた時代だった。

(ちなみにボディビルの世界ではこの頃から3セットなどの複数セットが普通だった。)

研究の世界ではどうなっていたかというと、1セットの筋肥大を調べるのが主流で、3セットなどの筋肥大も調べられ始めていた、といった感じ。

その後時が流れ、1セットの研究結果と3セットの研究結果が混在するようになってくると、当然「1セットと3セットで筋肥大効果は変わるの?」という疑問が生まれてくる。

ということで行われたのが「複数セットは1セットよりも効果があるのか」を調べた2010年のメタ分析。(R

このメタ分析は「筋トレは1セットでいいのか?複数セットやるべきなのか?」問題に決着をつけるべき行われたもので、抜き出された研究は全部で8件。(RRRRRRRR

どの研究も1セットと3セットの筋肥大効果を調べたもので、個々の研究は以下のとおり。

2010年のメタ分析に使われた研究8件 ※()内は筋群あたりのボリューム
2010年のメタ分析に使われた研究8件 ※()内は筋群あたりのボリューム

すべての研究は各筋群に対して1つのエクササイズしかしていないので、”エクササイズボリューム”はそのまま”各筋群あたりのセット数”になる。

例えば脚に関して調べた研究であれば、スクワットを1セットだけ(週2,3回の頻度で)しか行っていない。

1筋群どころか1エクササイズ3セットが普通の現在からしたら、セット数が異常なまでに少ない。

ただし1つだけ例外があって、1997年の研究だけは1つの筋群あたり3つほどエクササイズをしている。

よって、この研究だけは()内に各筋群あたりのセット数も書いておいた。

これらの「1セットvs3セット」を比較した研究から、セット数と筋力や筋肥大との関係性を調べたところ、結果は以下のようになった。

ボリュームに対する筋肥大(左)と筋力(右)の関係
ボリュームに対する筋肥大(左)と筋力(右)の関係

まず左側の筋肥大から見てみると、セット数が上昇するにつれて筋肥大効果も上昇していることがわかる。

1セットよりも2-3セット、2-3セットよりも4-6セットのほうが筋肥大効果が高い。

簡単に言えば、「セット数を多くやればやるほど筋肉は大きくなる」という結果になった。

一方で、筋力に関しては「セット数を多くやればやるほどセット数よりも筋力が上がる」というわけではないらしい。

1セットより3セットのほうが効果的だが、6セットと3セットでは筋力の上昇率は変わらないという結果になった。

実は筋力をつけるためには”セット数”よりも”重さを扱うこと”が大事なことがわかっている。

あまりセット数を増やしても筋力は上がらないのだ。

これらの結果をまとめると、以下のようになる。

  • 筋肥大に関しては、セット数を多くやればやるほど効果が上がる
  • 筋力に関しては、3セットまでは筋力を増やす価値があるが、4セット以上やる価値は薄い。

ここで、注意点が2つある。

まず一つ目の注意点は、これらの研究はほとんどが筋トレ未経験者を対象に行われているということ。

厳密に言うと、筋トレ経験者でも同じような結果になるとは限らない。

とはいえ、筋トレ歴が長い人でもそれなりに参考になる数字ではあるだろう。

そしてもう一つが、これらの結果が1セットと3セットを比較した研究をもとに導き出されているということ。

ほとんどの研究が1セットと3セットを比較した研究であり、6セットを比較した研究は1つしかない。

つまり、6セットまでは筋トレのセット数を増やせば増やすほど筋肉が増える、ということになるのだ。

7セット以上はセット数を増やしても筋肥大効果が上昇するとは限らないし、実際にその後の研究ではセット数を増やしすぎると筋肥大には逆効果なことが判明している。

こういった注意点があるものの、とにかくこのメタ分析では「筋トレは複数セットやると1セットよりも効果的」ということがわかったのだ。

筋トレは1セットで十分なのか?

それでは冒頭の「筋トレは1セットで十分なのか?」という疑問に戻ろう。

確かに2010年のメタ分析では「筋トレは1セットやるよりも3セットやるほうが筋肥大する」ということがわかった。

とはいえ、だからと言って「筋トレは1セットやるだけでは効果がない」というわけではない。

先ほどのメタ分析をよーく見てみると、筋トレは1セットでもちゃんと筋肥大効果がでていることがわかる。

ボリュームに対する筋肥大(左)と筋力(右)の関係
ボリュームに対する筋肥大(左)と筋力(右)の関係

4-6セットの筋トレをするより筋肥大効果が低いのは間違いないが、1セットでもいいから筋トレをすれば筋肉は大きくなるのだ。

つまり「筋トレの効果が出始めるのが何セットからなのか?」と問われれば、それは間違いなく1セットである。

今の常識で考えると、週2でたった1セットのエクササイズをしても筋肥大なんかしないように思えるかもしれない。

しかし、実際はそんなことはない。

例えば背中のエクササイズとしてチンニングをたった1セット、週2回やっただけでも背中の筋肉は大きくなるのだ。

もちろん、時間が許すならば各筋群あたり6セットまではセット数を増やしたほうが筋肉がつく。

時間が許すならば1セッションで6セットまではセット数を増やす価値はあるが、よほど時間がない人は筋トレをしないよりは1セットだけでいいから筋トレをしたほうがいいのだ。

筋トレは1セットでも十分筋肉はつく。しかし、時間があるなら2-3セットはやるのがベター

筋トレは1セットやるだけでも筋肉がつくので、時間がなくて筋トレを諦めるくらいなら1セットだけでもやるのがいいだろう。

とはいえ、時間が許す限りは各筋群6セットまではセット数を増やす価値があるのも事実。

例えば背中のエクササイズを3種類やっているなら各2セットだし、背中のエクササイズを2種類やっているなら各3セットはやっておくのがベター。

自分も時間があるときは最低6セットはやるように心がけているが、忙しくてどうしても時間がないときは1セットで済ますこともある。

筋トレをやる時間が取れなくてすべてを放り出してしまうよりも、1セットだけでもやるほうが効果的だと知っているからである。

ちなみに、今回の記事と関係が深い話題として「筋トレは週あたり何セットやるべきか?」というものがある。

こちらは以下の記事にまとめてあるので、こちらも合わせて読むと筋トレのセット数について理解が深まるのでおすすめ。こちらも合わせてどうぞ!

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