有酸素運動はやればやるほど消費カロリーが増える!やりまくるぞ〜
その考え、実は間違っています。実は有酸素運動をやることによる消費カロリー増大効果は先細りになることがわかっています。
ダイエットで消費カロリーを増やすために有酸素運動をしている人もいると思うが、実は有酸素運動はやればやるほど消費カロリーが上がるわけではない。
今回は論文から『有酸素運動による消費カロリー増大効果は先細りになるぞ!』という話。
- 有酸素運動を1日あたり30分vs60分で脂肪減少量は変わらなかった
- 有酸素運動を増やしすぎると、代償反応によって別の部分での消費カロリーが減る
- 有酸素運動による消費カロリー増加を期待するなら30分程度がオススメ
消費カロリーを増やすという意味では、実は30分以上の有酸素運動は無駄になる可能性が高いです
60分の有酸素運動より30分の有酸素運動のほうが痩せた
有酸素運動で増やせる消費カロリーには上限があります
そのひとつの目安となるのが”300kcal”。
有酸素運動を多くこなしたとしても、日常動作によるカロリー(NEAT)が減ったり食べる量が増えたりして1日の消費カロリーは上がらない可能性が高いのだ。
これらは専門的には”代償反応(compensatory responses)”と呼ばれます
「有酸素運動量で代償反応に違いは起こるか?」を調べた研究。肥満気味で運動習慣のない男性61人を集め3つのグループに分けた。
- 週3で300kcal/日の有酸素運動を追加したグループ21名
- 週3で600kcal/日の有酸素運動を追加したグループ22名
- 今まで通り生活したグループ18名
被験者はVO2max70%以上のサイクリングorランニングを行うように指示されました
一方のグループには中程度の量の有酸素運動、もう一方のグループには高程度の量の有酸素運動をしてもらった。
この条件分けで13週間過ごしてもらい、被験者の体組成を測定したところ結果は以下のようになった。
- どちらもグループも体重が落ちた!(中程度:-3.6kg、高程度:-2.7kg)
- どちらのグループも脂肪が落ちた!(中程度:-4.0kg、高程度:-3.8kg)
高程度の有酸素運動グループのほうが脂肪が落ちるかと思いきや、結果はどちらも同じくらいでした
この研究では体組成の変化から1日あたりのエネルギー収支が計算されている。
推測されたエネルギー収支は中程度で-550kcal/日、高程度で-470kcal/日だった。
一方で有酸素運動によって追加された実際の消費カロリーは中程度300kcal、高程度580kcalです。なぜこのような結果になったのでしょう
”有酸素運動をやるほど痩せる”はウソ
実は有酸素運動量を増やすほど、運動していないときのカロリー消費が減ることがわかっています
運動によって多量のカロリー追加が行われると、代償反応も強く起こることが知られている。
実際に2017年に「運動と消費カロリー」の関係を調べた研究をニューヨーク州立大学が行なっており、そのことが如実に現れている。(R)
「運動量が多いヒトは今まで考えられていた消費カロリーとはモデルが違うのでは?」を調べた研究。
332人を対象に実際の身体活動量と1日の消費カロリーを調べた。
調査の結果わかったのは、確かにある一定のレベルまでは1日の身体活動量が高いほど消費カロリーは増える。
しかし、運動による消費カロリーの増加効果は次第に先細りになるということ。
筋トレによる筋肥大効果が先細りになるように、有酸素運動によるカロリーの増加も効果が先細りになります
つまるところ身体活動量を増やしてもある程度は消費カロリーは増えるが、その効果には限界があったのだ。
理由は代償反応によるものですが、研究者がわかりやすいグラフにしてくれています
まず私たちがイメージしがちな身体活動量と消費カロリーの関係が左側です
まずベースには基礎代謝やNEATなどの”other(運動以外の消費カロリー)”がある。
そしてそのうえに"PA(Physical Activity:運動による消費カロリー)”が乗っかっている。
運動量が増加するほど(グラフが右に行くほど)縦軸の”1日の消費カロリー(Total Energy Expenditure)”も増加する。
しかし実際には右側のモデルのように、運動をやりすぎると他の部分での消費カロリーが減ります
ある程度までは運動量の増加によって消費カロリーが増えるが、ある一定の点を越えると”運動以外のカロリー”が急激に減少する。
運動による消費カロリーが大きくなると、消費カロリーが大きくなりすぎないように体が勝手に調整してしまうのである。
- 筋肉のエネルギー効率が上がる
- 体が”熱として無駄に捨てていたエネルギー”を減らす(R)
- 運動以外での動作(NEAT)が減る
特に自分でも実感しやすいのはNEATの減少。運動をしすぎると体がダルくなり動くのが面倒になったりしたことがある人は多いはず
このように消費カロリーを増やすという意味では、代償反応が起こるため有酸素運動はやればやるほどカロリーが増えるわけではないのだ。
運動量の増やしすぎに注意
消費カロリーを増やすという意味では、有酸素運動は300kcalが限界かもしれません
もし有酸素運動が大好きで仕方ないなら、別に1時間の有酸素運動をしても構わない。
しかし「有酸素運動は嫌いだけど消費カロリーを増やすためにために仕方なくやっている」というなら、300kcalくらいに押さえておくのが無難。
ランニングやサイクリングであれば、およそ30分もやれば十分でしょう