「筋トレの消費カロリーはどれくらいなんだろうか」
というのは、筋トレをしていれば一度くらいは疑問に思うもの。
今回は、論文から「筋トレの消費カロリー」に関する話。
筋トレ30分あたりの消費カロリーはどれくらいなのか、論文から検証してみよう。
筋トレの消費カロリーは種目によって異なる
まず初めに言っておくと、筋トレの消費カロリーを正確に知ることは至難の技。
というのも、筋トレは種目や強度によって消費カロリーが大きく違う。
例えば下半身のトレーニング日は上半身のトレーニング日より消費カロリーは2倍になる。
また、高強度トレーニングは低強度トレーニングに比べて2倍のカロリーを消費する。
とはいえ、あまり細かいところにこだわりすぎても仕方がない。
筋トレの消費カロリーを調べた研究はいくつかあるので、そこから大まかな目安を算出してみよう。
筋トレ1セッションの消費カロリーを調べた研究4選
筋トレの1セッションあたりの消費カロリーの目安を知るために、この問題を調べた研究をいくつか紹介しよう。
研究1
まず紹介するのは2003年の研究。(R)
被験者となったのは男女12人で、年齢は26歳前後。
この男女に、Cybexのマシンを使って以下のような筋トレをしてもらった。
- レッグプレス
- シーテッドロー
- レッグエクステンション
- チェストプレス
- レッグカール
- ショルダープレス
- バイセップカール
- トライセップスエクステンション
全身のトレーニング8種目で、1セットあたりのレップ数は15回という強度に設定されている。
エクササイズは各2セットで、エクササイズ間の休憩時間は2分。
この条件で筋トレをしてもらい消費カロリーを計測したところ、結果は以下のようになった。
筋トレを終えるのにかかった時間は24分で、消費カロリーは男性で135kcal、女性で82kcalとなった。
1分あたりでは男性が5.63kcal/min、女性が3.41kcal/minとなり、男性のほうが女性より消費カロリーが大きかった。
研究2
次に紹介するのが2012年の研究。(R)
被験者となったのは男女30人で、被験者の平均年齢は21.7歳とかなり若め。
この研究の被験者に以下のような筋トレを行ってもらった。
- スミスマシンベンチプレス
- スミスマシンショルダープレス
- スミスマシンスクワット
- レッグエクステンション
- レッグカール
- ラットプルダウン
- トライセップスプッシュダウン
- バーベルカール
全身トレーニングであることや種目数が8種目なのは先ほどの研究と同じ。
1セットあたりのレップ数は8-10レップスと、先ほどの研究よりは高強度。
各エクササイズは2セットを繰り返してもらったところ、結果として消費カロリーは男性で179kcal、女性で102.8kcalだった。
セッション時間は先ほどの研究より少し長い28分で、こちらでも女性より男性のほうが消費カロリーが大きいという結果になった。
研究3
次に紹介するのは2001年の研究。
被験者となったのは30歳前後の女性10人で、日常的に筋トレをしている人たち。
彼女らに以下のような筋トレをしてもらった。
- チェストプレス
- ショルダープレス
- スクワット
- レッグエクステンション
- レッグプレス
- シーテッドロー
- ラットプルダウン
- バイセップカール
- トライセップスエクステンション
種目数は9種目で、各エクササイズは10レップスを3セット。
合計45分間という今までの研究より長めの筋トレをしてもらったところ、結果として155kcalのエネルギーを消費していた。
筋トレの消費カロリー計算法
まず、男性で30分を超えないくらいの筋トレだと130kcal前後、45分前後の筋トレだと160kcal前後のカロリーを消費する。
そして、女性は30分を超えないくらいの筋トレだと80kcal前後、45分前後の筋トレでも90kcal前後の消費カロリーになる。
総合すると、筋トレ30分くらいであれば、男性でおおよそ140kcal、女性でおおよそ80kcalの消費が妥当な数値になるだろう。
時間によって筋トレの時間は変わるので、時間で知りたい人は男性で5.63kcal/min、女性で3.41kcal/minを筋トレ時間にかけるのがいいだろう。
筋トレのカロリー消費を効率化するためには?
筋トレのカロリーを少しでもあげたい!という人は、どうしたらいいだろうか?
まず一つ目の解決策としては、下半身の筋トレを多めに盛り込むこと。
というのも、スクワットなどの下半身トレーニングは使う筋肉量が多いので、腕などの上半身トレーニングより時間あたりの消費カロリーが2倍あることがわかっている。
消費カロリーを増やしたければ下半身を中心に鍛えるのがいいだろう。
2つ目は、低強度トレーニングより高強度トレーニングを行うこと。
どんな筋トレ種目であっても、低強度より高強度のほうが消費カロリーが2倍あることがわかっている。
低強度トレーニングで15レップを行うよりは、高強度で6−8レップを目指すほうが消費カロリーは大きくなる。
最後の方法は、休憩時間を短くする方法である。
考えてみれば当たり前のことだが、休憩時間は短ければ短いほど時間あたりの筋トレのエネルギー消費は大きい。(R)
休憩時間を4,5分とるより、休憩時間1,2分でさまざまなエクササイズを次々にこなすほうがいいだろう。
まとめ
ちなみにハーバードメディカルスクールでは、筋トレ30分の消費カロリー以下のようにしています。
- 一般的な筋トレ『90kcal(体重57kg)&180kcal(体重70kg)』
- 激しい筋トレ『180kcal(体重57kg)&223kcal(体重70kg)』
こちらの数値も上記の数値とほとんど変わらない。
筋トレ30分の消費カロリーは男性でおよそ140kcal、女性でおおよそ80kcalとして、キツイ下半身トレーニングをしているときは2倍するのがいいだろう。
ちなみに、「筋トレの消費カロリーなんて全然じゃん!やる意味ない!」と思うかもしれないが、筋トレは実はエクササイズ以外の部分で大量にエネルギーを消費する。
例えば有名なのは筋トレ後にしばらく代謝があがるアフターバーン効果などがあるが、実はこのアフターバーン効果の影響はさほど大きくない。
本当に一番エネルギーがかかるのは筋肉を作る過程である。
この話については下記の記事に詳しく書いたので、興味のある人はぜひ一度読んでほしい。参考までにどうぞ。