カタルーニャ大学が贈る腸内フローラが育つ食事ガイドとは?菌株も紹介!

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『健康には腸内環境が大事!』

というのは聞いたことがある人も多いだろう。

そんな中でも、運動する人というのは特に腸内環境に気を使ったほうがいい、みたいな話があるのはご存じだろうか。

というのも、実は運動というのは、やりすぎると腸内を荒らすことが分かっている。

筋トレや有酸素運動をよく行うトレーニーこそ、腸内環境に悩むことになるかもしれない。

そこで今回は論文から「健康な腸内フローラを育てるための食事ガイド」をご紹介。

2016年の「アスリート向け腸内フローラを育てるための食事ガイド」を調べた研究から、腸内フローラを育てるために有効な食事法から菌株までをみていこう。(R)

目次

そもそも腸内環境とは?

最近腸内環境というのが健康に重要だと注目されている。

私たちの体にはいたるところに細菌が住みついている。

その中でも特に菌が多いのが腸内で、この腸内の細菌が健康に関わっていることが分かってきたのである。

この腸内で細菌が作っている一大コロニーをマイクロバイオームというのだが、このマイクロバイオームの乱れが様々な疾患に関係しているのではないかと言われている。(R

  • がん
  • 心疾患
  • 感染症
  • 呼吸器疾患

腸内細菌の乱れはディスバイオシス(Dysbiosis)と呼ばれ、上記のような疾患だけでなくちょっとした体の不調にも関係していると言われている。

腸内の細菌はビタミンの産生などにも関わっていることから、マイクロバイオームは健康維持に重要なのである。

運動している人は腸内フローラが荒れがち

健康に重要なマイクロバイオームだが、実は運動によって腸内環境が荒れることがあるのはスポーツ界ではよく知られた話。

というのも、運動といえど”ストレス”に変わりはないから。

運動すると身体的にも精神的にもストレスがかかり、脳や体ではストレスホルモンのコルチゾールなどの様々なホルモンが放出される。

運動によって起こる体内のホルモン変化
運動によって起こる体内のホルモン変化

また交感神経が刺激されることにより、心拍数が高くなるとともに腸などの消火器系の活動は弱まる。

腸への血流が低下すること、そしてコルチゾールが腸内に到達することなどによって、腸では炎症反応が起きバリア機能が弱まってしまうのだ。

皆さんも、緊張などでお腹の調子が悪くなった経験はないだろうか?

これは心理的ストレスで腸に悪影響が出てしまっているのだが、運動で腸が悪化するのもこれと同じ理由。

この場合は運動という身体的ストレスで腸内環境が悪化しているのだ。

特に競技となると身体的ストレスに加えて、激しい競争に晒されることによる心理的ストレスが加わる。

このような理由から、「アスリートこそ腸内環境を考慮するべきなのでは?」という話になる。

もしかしたらあなたは「自分はアスリートではないから関係ない!」と思うかもしれないが、実はMax強度の60%を超える運動強度でストレスホルモンが出ることが報告されている。(R)

この基準だとHIITやハードな筋トレも含まれてくるので、真面目にトレーニングしている人にとって、この話は全く関係ない話ではないのだ。

トレーニングによるストレスを減らし、腸内を改善する

というわけで、運動のストレスを減らし、腸内環境も整える食事ガイドを研究者が考案。

その具体的なガイドラインを見ていこう。

炭水化物:体重1kgあたり7g~12g

筆者は炭水化物はしっかり摂ることを推奨しており、その具体的な量は、一般のアスリートが摂取しているとされている"7g/kg~12/kg"ほどになる。

というのも、炭水化物は体のエネルギーとなるだけでなく、コルチゾールなどのストレスホルモンレベル上昇を抑制する。

また同時に、腸内細菌の餌となる食物繊維を摂取する目的もある。

実際に研究者は、腸内細菌を育てるため、砂糖などの単純糖質ではなく、穀物などの複合糖質を摂取することを推奨している。

トレーニングの燃料として欠かせないものとしてトレーニーに認識されている糖質だが、腸内フローラを育てるという意味でも重要な役割を果たす。

腸内環境を最優先に考えた食事ガイドでは、糖質が一番取るべき栄養素となる。

タンパク質:体重1kgあたり1.2g~1.6g

タンパク質が筋肉にとって重要なのは、今までも紹介してきた話。

筋トレ好きの間で人気なのは体重当たり2gほどのタンパク質だが、この論文では研究者はもう少し控えめな値を推奨している。

この研究者が勧める具体的な量は、一般的なアスリートが摂取しているとされる"1.2g/kg~1.6g/kg"。

逆に、研究者は腸内細菌のためにはこれ以上摂取しないほうがいいとしている。

というのも、タンパク質が腸内で分解されるとき、硫化水素などの物質が作られるのだが、これらは腸内細菌に悪影響を及ぼすことがわかっている。

なので、高タンパク質は腸内環境にとってはあまり好ましいものではないのだ。

実際に、ケトジェニックダイエットなどの高タンパク質ダイエットで腸内が荒れた経験がある人もいるのではないだろうか。

むしろ、研究者はトレーニングの休息日などはタンパク質を減らすことすら提案している。

とはいえ、減量をしているときはタンパク質は最低1.6g/kg以上は摂取するべき。

というのも、減量時は特に筋肉が分解されやすく、高タンパク質はそれを防いでくれる役割があるから。

しかし、特にダイエットをしておらず、腸内の荒れが気になる場合は、研究者の推奨通りタンパク質を"1.2g/kg~1.6g/kg"にしてみるのもいいだろう。

筋肉維持には欠かせないタンパク質だが、マイクロバイオームの正常化という意味ではそこまで重要ではないのだ。

脂質:ガイドなし

脂質に関して、研究者は食事ガイドを一切定めていない。

というのも、高脂質食が腸内に対して良いか悪いか、科学界でもいまだによく分かっていないから。

というわけで、上のガイドラインを守り、残ったカロリーを脂質とするのが妥当だろう。

生命の維持にはもちろん必要な脂質だが、筋肉の維持やマイクロバイオームといった意味ではそこまで重要ではないと言える。

食物繊維とプロバイオティクス

食物繊維に関して、研究者は「全粒穀物や果物を摂取し、できるだけ加工食品は減らすように」と提案している。

要するに、腸内細菌の餌になる食物繊維を多く含む野菜などを食べようという、極めて当たり前のアドバイスになる。

そして、プロバイオティクスに関しては、研究者は摂取するなら”Bifidobacterium”株を推奨している。

これの具体例として有名なのはビフィズス菌だろう。

研究者がこの菌株を推奨する理由は、”Bifidobacterium”株や”Lactobacillus”株を豊富に含んだ食事が、腸内環境を整え、ストレスによる抑うつなどを改善するとされているから。

研究者は、これらの中でも、私たちのような哺乳類の腸内フローラによく生息していることから”Bifidobacterium”株を勧めている。

ちなみに、研究者はプロバイオティクスの効果を知るためには、さらなる研究が必要であるとも言っている。

つまるところ、プロバイオティクスを必ず摂取する必要はないが、もし摂取したいなら”Bifidobacterium”株を摂取すべき、というのが妥当な判断になる。

腸内環境が悪いと感じるなら、運動量を減らす

腸内フローラを考えた食事ガイドを紹介したが、トレーニング向けにこういった食事ガイドが出てくるのはかなりレア。

トレーニングしている人にとって、食事は「筋肉がいかに分解されないか」ばかりが注目されがちなので、たまにはこういった腸内フローラをメインにした食事ガイドを知っておくのもいいだろう。

ちなみに腸内環境が良くないことが気になる人は、そもそも運動のしすぎな可能性がある。

あまりに運動量が多いようなら、少しだけ運動量を減らしてみるのを考えてみてもいいかもしれない。参考までにどうぞ!

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