『筋トレは気持ちが大事!』
こんなものは非科学的な話...かと思いきや、実はそうではない。
例えば、「トレーニング前に糖質を摂ったと思い込むだけでパフォーマンスが上がる!」という研究があったりする。
さらには、近年になって「イメージトレーニングで筋トレの効果が増すぞ!」という研究も出てきた。
筋トレをしているところを想像するイメージトレーニングや「やればできる!」と自分に言い聞かせるだけで、実際に筋トレの効果がアップするのである。
ポジティブなセルフトーク&イメージトレーニングで筋力が上がった
今回紹介するのは、2017年のカルタージュ大学による研究。(R)
これは「メンタルトレーニングは筋トレに効果があるのか?」を調べた研究で、被験者となったのはキックボクサー53人。
メンタルトレーニングは、2種類の精神トレーニングを指すのだが、詳しい内容は後述。この研究では被験者を3つのグループに分けた。
- トレーニング&メンタルトレーニングをしたグループ
- トレーニングのみのグループ
- 何もしないグループ
まず、筋トレはどちらのグループも”ベンチプレスとスクワット(各4セット×8回)”をしてもらった。
そして、メンタルトレーニンググループには2種類の精神トレーニングをしてもらった。
まず1つ目が、セット間休憩で行う”ポジティブなセルフトーク”である。
ネガティブな考えが浮かんだことに気づいたらそれを書き留め、モチベーションを上げる言葉に変えてもらうというもの。
例えば「こんな重さ上げられない...」という考えが浮かんだらそれを書き留め、「自分はもっと重いものも持ち上げられる!」という風に言い換えて自分に言い聞かせる、といった具合。
そして、2つ目はいわゆる「イメージトレーニング」である。トレーニング後30分にわたり、自分が筋トレをしているところを一人称視点で想像してもらった。
一方で、トレーニングだけのグループには、トレーニング後30分は認知負荷がかかるタスクをしてもらうことでコントロールグループとした。
この条件で12週間過ごしてもらい、実験終了後にベンチプレスとスクワットの筋力を測定したところ、以下のような結果に。
ベンチプレスとスクワット、両方においてメンタルトレーニングを取り入れたグループのほうが明らかに筋量が向上している。
しかもグループ間の効果量はそれぞれ0.84(大)、0.74(中)となかなかの数値である。
そして、この研究ではメンタルトレーニングをしたグループの方がテストステロン値が上昇し、コルチゾールが低下したことも報告されている。
これらの結果を受けて、研究者は以下のように言っている。
身体的トレーニングとメンタルトレーニングを組み合わせることは、筋力増加にとても有効である。(中略)これらの適応は、アスリートの生理学的変化・内分泌系変化と関連している可能性が高い。
つまるところ、イメージトレーニングやポジティブなセルフトークによって体の生理反応すら変化し、筋トレの効果が上がるというのだ。メンタルトレーニング恐るべし。
まとめ
イメージトレーニングとポジティブなセルフトークという一見非科学的なメンタルトレーニングだが、筋トレの効果は爆増する。
ちなみに、イメージトレーニングのコツは一人称視点で行うこと。3人称視点で行わないように注意しよう。
ただ、さすがに筋トレ後に30分も時間を割いてイメージトレーニングをするのは面倒かもしれない。
なので、簡単にできるセット間のポジティブセルフトークから試してみるのがいいだろう。