カフェインはダイエットに効果的なの?
カフェインで脂肪が燃えるって本当?
今回はそんな疑問に答える「カフェインとダイエット」に関する回です
カフェインにはメリットもあればデメリットもある。
- デメリット
- 睡眠を阻害する
- メリット
- 脂肪のエネルギー利用が増える
- 代謝が上がる
- 食欲を抑制する
この記事ではメリットがデメリットを上回るカフェインの摂取法をご紹介。
結論を言ってしまえば、オススメなのは①運動前②16時間断食をしているときの朝になります
カフェインは睡眠を阻害する
まずはカフェインのデメリットについて紹介していきます
カフェインの摂取で睡眠が乱れる
カフェインの圧倒的なデメリット、、、それは睡眠を乱してしまうことです
- 「就寝前にカフェインを摂取すべきでない時間」を調べたメタ分析
- 抜き出された研究は24件
結果として、カフェインの摂取は総じて睡眠に悪い影響を与えた。
- カフェイン摂取は睡眠時間を45分低下させた
- カフェイン摂取は睡眠効率を7%低下させた
- カフェイン摂取を入眠時間を9分増加させた
- カフェイン摂取は入眠後の覚醒時間を12分増加させた
- カフェインは深い睡眠の時間(-11.4分)と割合(-1.4%)を減少させた
みなさんのご想像通り、カフェインは睡眠にとって悪影響しか及ぼしませんでした
睡眠不足はダイエットに悪影響
そしてこちらも想像に難くないですが、睡眠不足は体型に悪影響を及ぼすことがわかっています
- 被験者となったのはBMIが25-32の肥満男女10人
- 2つの条件で670kcal/日のカロリー制限をしてもらった
- カロリー制限+睡眠不足
- カロリー制限のみ
- ダイエット2週間→ウォッシュアウト3か月→ダイエット2週間のクロスオーバーデザイン
消費カロリーの32.5%しか摂らない厳しいカロリー制限です
カロリー制限のみのグループには8.5時間寝てもらい、睡眠不足グループには5.5時間に睡眠を制限してもらった。
この条件で2週間のダイエットで体型がどのように変わるかを測定したところ、以下のような結果に。
体重減少量はどちらも同じですが、脂肪と筋肉量には差があることがわかります。
睡眠を5.5時間に制限したグループは、睡眠を8.5時間取ったグループより脂肪ではなく筋肉が分解されていた
実はラット研究でも、睡眠不足で筋肉が分解されることが判明している。(R,R)
「睡眠不足で筋肉が分解される」という現象がヒトでも実証された形になります
睡眠指導をするだけでも脂肪が減った
さらには睡眠指導をしただけで体型にプラスの効果が合ったことを示した研究すらあります
- 被験者となったのは筋トレ未経験者の男性22人。
- 2つのグループに分かれて10週間の筋トレをしてもらった。
- 筋トレを始めたグループ
- 筋トレを始めるときに睡眠指導もしたグループ
実際に睡眠指導で使われたガイドラインも紹介しておきます。
- 寝るときに部屋を暗くし、静かで涼しい環境を作ること
- 週末も含め、同じ時間に寝て起きること
- 8時間は睡眠時間を確保すること
- 寝る2時間前は以下のように過ごすこと
- 照明を暗くする
- スマートフォンやPCを見ないか、ブルーライトフィルターを使い光量を落とす
- エクササイズをしない
- 食べ物やカロリーのある飲み物(コーヒーや紅茶)を摂取しない
- 気持ちが落ち着く活動をし、対人関係のトラブルなどは避ける
- 朝目覚めたら、すぐにできるだけ多くの光を浴びること
- コーヒーは寝る前の6時間は飲まないこと
- 目覚ましがなくても起きれる十分な睡眠時間を確保すること
- ベッドの中で電子機器を使わないこと
- 夜寝るときや夜中に目覚めたときはリラックスできる方法を実践すること
実際の結果は下記のとおり。
睡眠指導をしたグループのほうが、脂肪が落ちて筋肉も増加傾向となっている。
この研究では、実際に「睡眠に気を遣う」ように指示しただけ。
それにも関わらず体型にポジティブな影響を及ぼした、というなかなか驚きの研究です
睡眠を阻害しないカフェインの摂取時間は?
じゃあ睡眠を阻害しない時間帯にとればカフェインは摂ればいいことになる。
それでは実際に就寝何時間前ならカフェインを摂取しても問題ないのだろうか?
睡眠6時間前ならカフェインを摂取しても大丈夫?
ネットでもよく書かれているのが「カフェインは睡眠の6時間前に摂れば大丈夫」説。
しかし、実はこれはみなさんが思っている以上に根拠が薄い。
この説で根拠とされているのは大体2パターン。
根拠①2013年の研究
一つ目のパターンは、2013年の研究を持ち出す人たちです
- 「就寝前の0,3,6時間前のカフェイン摂取が睡眠を阻害するのか」を調べた
- 結果として、どの時間帯においても睡眠が阻害された
この研究では就寝6時間前の摂取で睡眠が阻害されることは分かっているが、「何時間前なら大丈夫なのか」はわかっていない。
この研究では6時間より長いグループがないので、7時間なら大丈夫なのか9時間じゃないとダメなのかはわかりません
根拠②カフェインの半減期が4-6時間だから
もう一つの根拠は、カフェインの半減期が4-6時間だからというもの。
確かにカフェインの半減期が4-6時間なのは事実だが、血中濃度が半分になるというだけで、カフェインを6時間前までに飲んでいいという根拠としては意味不明。
ちなみにカフェインの半減期は2-10時間と個人差も大きいことを付け加えておきます(R)
このように「睡眠の6時間前までに摂れば睡眠を阻害されない」というのは一般に思われている以上に根拠がないのだ。
カフェインは何分前に摂れば睡眠を阻害しないのか?
そんなところに、カフェインは就寝何時間前に摂ればいいのか?のガイドラインとなる研究が2023年に出てた。
- 「就寝前にカフェインを摂取すべきでない時間」を調べたメタ分析
- 抜き出された研究は24件
この研究ではカフェイン量別に、午後10時に寝ると仮定した場合のカットオフ値(回帰直線の95%信頼区間がゼロと重ならない点)が産出されている。
このカットオフ値は、簡単に行ってしまえば「この時間を過ぎるとほぼ確定で睡眠が阻害される」という時間です
- 217.5mg→8:50頃(13.2時間前)
- 107mg→13:12頃(8.8時間前)
- 47mg→寝る直前もOK
コーヒー1杯程度のカフェイン量でも昼過ぎ、サプリレベルのカフェインなら早朝に摂らなければ十中八九睡眠は阻害される。
しかもこの値は「ほぼ確実に睡眠が阻害される時間」なので、この時間以前でも睡眠が阻害される可能性は全然あります
つまるところ、カフェインは朝か百歩譲って昼までには摂らないと睡眠が阻害されてしまうことがわかったのだ。
朝にカフェインを摂ってはいけない?
とはいえ、朝にカフェインを摂っちゃいけないって聞いたことがあるんだけど・・・
自分自身その話は聞いたことがあってなんとなく信じていましたが、よくよく調べてみると根拠が薄いです
寝起きのカフェインはコルチゾール増加のタイミングだから意味ない説
覚醒作用があるコルチゾールと一緒に接種しても覚醒効果が得られない!
実は寝起きというのはコルチゾールの爆増が起こり、これはコルチゾール覚醒反応と呼ばれたりする。(R)
コルチゾールが体を起こしているときにカフェインを摂取しても、覚醒が得られなくて意味がないというのが主張だ。
コルチゾールの爆増が寝起き20-30分に起こるのは事実だが、そもそもアデノシンとコルチゾールは覚醒作用が別。
実は睡眠覚醒プロセスには2つの経路があるとされている。(R)
- プロセスS:必要に基づく睡眠衝動。起きている間に上昇し、寝ている間に減少する(アデノシン)
- プロセスC:睡眠傾向の概日性によって決まる。すなわち習慣。調整しているのは視交叉上核とホルモンたち
簡単に言ってしまえば「疲れて眠くなる」と「この時間だから眠くなる」の2つがあります
コルチゾールはプロセスCに関連しているが、カフェインが関係しているのはプロセスSの「疲れて眠くなる」のほう。
しかもこれらのプロセスは”相加的ではない”とされています。
つまり疲れて眠くなるパターンもあれば、時間で眠くなるパターンもある。
これらの経路は基本的に別なので、むしろカフェインとコルチゾールの両方が被ってどちらのプロセス的にも覚醒していないと意味がないということになる。
朝にカフェインを摂ると、コルチゾールと競合してだるくなる説
朝にカフェインを摂取すると、コルチゾールと競合しあって体が良く目覚めません。よってむしろだるくなります!
たまに見かける話ですが、これに関しては根拠が一切謎です
なぜならカフェインというのは、どちらかといえばコルチゾールを刺激する作用があるから。
被験者となったのは男女96人。
午前9時、午後1時、午後6時にカプセルを摂取。メンテナンス5日間→6日目が試験日
プラセボに比べて、カフェインを摂取したグループというのはコルチゾールが高くなっていることがわかる。
このように、カフェインというのはコルチゾールを刺激する作用がある。
逆にコルチゾールが刺激されるからダメという主張もあるが、なんとなくコルチゾール=ストレスホルモン=悪という前提のもと論が展開されていることがほとんど。
実際にヒトでどのようなデメリットがあるのかを示した研究は皆無なので、コルチゾールとの関係は完全に無視してOKです