「今日はストレス溜まってるし、たまには息抜きで好き放題食べよ!」
ダイエットをしている人もそうでない人も、一度は経験したことがある状況だろう。
しかし実はストレス食いというのはストレスを減らすどころかストレスを増やしてしまうことが知られている。
今回は論文からストレス食いでストレスを溜めない方法をご紹介。
ストレスが溜まったときにストレス食いをすると罪悪感を上塗りするだけ。
直感に反してストレスを引き起こしている問題そのものに目を向けるほうがストレスに対処できるのだ。
ストレスを感じてドカ食いをする人たちを調べた
結論を言ってしまうと、ストレスを感じたときにドカ食いをしてもストレス発散になるどころかむしろストレスが高まる。
確かに食事を食べることで一時的にはストレスを忘れることができる。
しかしドカ食い後には、「ストレスで食べてしまった」という罪悪感という名のストレスを上塗りするはめになるのだ。
ドカ食いをした日のほうがストレス値が高かった
このことを実証した実験に2000年に行われたノースダコタ大学の研究がある。(R)
被験者となったのは2タイプの女子大学生各20人だ。
- 週2回以上ドカ食いをすると報告したグループ
- ドカ食いはしないと報告したグループ
一方のグループは日常的にストレスを感じるとドカ食いによって発散すると答えたタイプ。
それに対してもう一方のグループはドカ食いなどの食行動の乱れはないと申告した人々になる。
彼女らに3週間にわたって食行動を記録してもらったところ、以下のような事実が分かった。
- ストレス食いをするグループの人たちは、ストレス食いをした日によりネガティブな感情を抱いていた
- ストレス食いをするグループは、ストレスに対して回避戦略を使う数が多かった
ストレスでドカ食いをしても気分が晴れるどころか、ドカ食いをしていない日よりもネガティブな気持ちになることが多かったのである。
ストレス食いは罪悪感でストレスを上塗りするハメになる
ストレスを紛らわせる回避戦略はストレスを高める
ストレスを感じたときにそのストレスを紛らわそうすると、逆にストレスが悪化することがわかっている。
このストレスを紛らわす解消法は専門用語で”回避戦略”と呼ばれる。
例えば「上司に怒られた」というストレスを大好きなスイーツを食べることで紛らわす、といった具合だ。
一方でストレスに”問題解決戦略”で対処する人もいる。
先ほどの「上司で怒られた」という例で言えば、「資料のこの部分がダメで上司に怒られた。次はココを改善して怒られないようにしよう」と考える。
問題解決戦略はストレス源そのものに対処しているのに対して、回避戦略型はストレスを紛らわせようとしているだけ。
回避戦略ではストレス源はなくらないないので、当然解消法をしたところですぐに次にストレスがやってくる。
それどころか回避戦略は往々にして「後から罪悪感を感じるようなストレス解消法」でストレスに対処しがち。
実際に、ドカ食いをしたときのことを思い出してみてほしい。
いくら”ストレス解消”と自分に言い聞かせても、ドカ食い後には「絶対に太った。」「なんて自分はダメなんだ。」と罪悪感に苛まれているだろう。
本来はそれ自体が楽しい活動でも、その後に罪悪感を感じるようなシチュエーションではむしろ逆効果になることは実はダイエット以外でもよく知られている。
例えば2014年に行われたヨハネスゲーテンベルグ大学の研究では、普段はテレビがストレス解消になっている人でも「やるべきことを後回しにするツール」としてテレビを使う場合はストレスが高まったのだ。(R)
これらに共通しているのは「やるべきことをやらなければいけない」「上司に怒られた」などのストレスを紛らわせるために食事やテレビを使っていること。
食事をしている間は”ドーパミンの快楽”によって一時的にストレスを忘れられるかもしれないが、食事後に襲ってくる罪悪感によってストレスが上塗りされるだけなのだ。
ストレス食いをやめるための4ステップ
ストレス食いはストレス解消になるどころかストレスを高めるだけとわかった。
ここからは、ストレスを感じたときに行うべき対処法をいくつか紹介しよう。
対策①問題解決戦略を取れないか意識的に注意する
先ほども紹介したように、意外なことにストレス解消に一番良いのは”ストレスの発生源と向き合うこと”である。
- 期限が迫っている仕事にストレスを感じるなら、10分でいいから手を付けて進める
- 体重がなかなか減らないことがストレスなら、摂取カロリーを見直す
先に言っておくと、これらの行為は全く楽しくない。
これらの行動をする前には面倒臭いし、ストレス解消になるようには到底思えないことを保証しよう。
しかし、一度でいいから実際にこの方法を試してみてほしい。
意外なことにストレスと向き合った後は達成感に包まれ、気分がスッキリしていることに気づくはず。
実は”回避戦略”のような不適応なストレス対処法を使わない人はリバウンドする確率も低いことが研究で判明している。(R)
是非一度騙されたと思ってストレスから逃げようとするのではなく戦うという選択肢を試してみて欲しい。
②ストレス対処法を”罪悪感”がないものにする
”ストレス源に対処する”というのは口で言うほど簡単ではないし、職場の人間関係などすぐにはストレス源に対処できない場合も当然ある。
そんなときはせめて行為自体も楽しめるし、その後に罪悪感も感じないストレス解消法を試すのがおすすめ。
例えば、アメリカ心理学会がオススメする”ストレスを溜めないストレス発散法”は以下の通り。(R)
- 親しい友人に連絡を取る
- いつもより早めに寝る
- ヨガをする
- お気に入りの音楽を聴く
これらの活動は集中力を使うのでストレスを一時的に忘れることが出来るうえ、その後に罪悪感というさらなるストレスを生む心配もない。
間違っても行動後に「体重が増えてしまった」「無駄なお金を使ってしまった」と罪悪感を感じるようなストレス対処法は厳禁。
そう言った意味でもお金を使うし体型も悪化する”ストレス食い”は最悪なストレス解消法と言えるだろう。
③「ストレスを感じていること」を受け入れる
そして一番重要なことは、ストレスを受け入れることである。
先ほども言ったように”ストレスを避けよう”とするのは悪手。
「ストレスは感じてはいけないもの」と感じるほど回避戦略を使おうとしてしまう。
ではどうするべきかというと、ストレスを感じているという事実を受け入れるだけでいい。
実はこの”受容”というマインドを育むだけで、ダイエットの成功率が格段に上がることが知られている。
(詳しくは以下の記事参照)
ストレスを感じないという選択肢は不可能だが、「ストレスを感じるけどドカ食いはしない」という選択肢は選ぶことができる。
ストレスを感じること自体を怖がらないことが何より大切なのだ。
④ジャンクフードなどの制限をやめる
最後の戦略として、ジャンクフードを強く禁止している人はやめることをお勧めする。
というのも禁止食品を作ると、少しだけ食べてしまったときに”ドカ食い”に移行する確率が高い。
実際に冒頭で紹介した女子大生を対象にした研究でも、ダイエット中に「今日は少し食べすぎた」という考えがドカ食いの引き金となっているケースが報告されている。(R)
特に0-100思考の人は要注意だろう。
「ジャンクフードを禁止しているのにストレス解消で少し食べてしまった」という状況になると、急に吹っ切れたようにドカ食いをし始めてしまう可能性が高いことは知っておくべきだ。
「たまにはストレス溜めないように食べてもいいよね」は脳が作り出した言い訳
そもそも「ストレスを溜めすぎないようにたまには好きに食べなきゃ」というのは脳が作り出した都合のいい言い訳。
ダイエット中の「食べたい」という気持ちに脳が後付けで理由を考えだしているだけなのだ。
気になる人は以下の記事も読んでみて欲しい。
「食べたい!」という脳の言い訳に屈してストレス食いをしても罪悪感が募るだけ。
ストレス源そのものに対処したり罪悪感を生まないようなストレス解消法を試すのがいいだろう。ぜひお試しあれ。