睡眠が大事だということは誰もが知っている。
しかし、実際に睡眠を改善するとなると急激に難易度が上がるのも事実。
というのも、現代では夜でもスマホやPCを使うのが当たり前になっているから。
ヒトにはサーカディイアンリズムと呼ばれる”起床・就寝”のリズムがある。
これは眼が太陽光を感知しメラトニンの分泌量を調整することで制御されている。
そして光の中でも、特にメラトニンを刺激する作用が強いのが446~477nmの波長を持つブルーライト。(R)
スマホやPCからの光はブルーライトが多く含まれているので、夜にスマホやPCを使うことでサーカディアンリズムが乱される...という話は知っている人も多いだろう。
しかし、現実問題として仕事などで夜にスマホやPCを使わざるを得ない場面もある。
そんなとき、解決策となるのがブルーライトをカットする”アンバーレンズ”である。
と言うのも、アンバーグラスはブルーライトを遮り睡眠の質が改善することが研究で実証されているのである。
アンバーレンズで睡眠スコアが改善した!
今回紹介するのは2019年に行われた「アンバーレンズで睡眠が改善するか?」を調べた研究。(R)
アンバーレンズというのは、平たくいえばブルーライトカットレンズのこと。
この研究の良いところは、被験者が”週1時間以上運動している健康な男女15人(平均23歳)”ということ。
というのも、この手の研究では(重度の)睡眠障害を持っている人で実験が行われることも多い。
そういった意味では、今回の被験者は活発な健常者であり多くの読者に当てはまる。
7日間の実験期間中、被験者は2つのグループに分けられた。
- 寝る3時間前にアンバーグラスを装着したグループ
- 寝る3時間前に透明なグラスを装着したグループ
アンバーグラスは、"450~490nm"のブルーライトの大部分と”520~560nm"の緑色光の一部をカットするものを使用。
一方で、透明なグラスはどんな波長の光もカットしない。
スマホを見るなど睡眠前の行動は変えずに1週間過ごしてもらい、睡眠日誌とアクチグラフィー(睡眠を記録する腕時計)で睡眠状態を測定した。すると以下のような結果に。
- アンバーレンズを装着したグループは寝つきが7分早くなった!
- アンバーレンズをかけたグループは、翌日の主観的な集中度が高かった!
- 夕方の眠気はどちらのグループも同じだった!
寝る前にアンバーレンズでブルーライトをカットしたことで、参加者は寝つきが良くなり翌日も集中力が高いと感じることができた模様。
あえてケチをつけるとすれば、これらはすべて睡眠日記やアンケートによる主観的な結果。
腕につけたアクチグラフィでは特に目立った違いは見つからなかった。
とはいえ、この実験のいいところは眼鏡をかけるだけとお手軽なところ。試してみる価値は十分にある。
ちなみに2009年にも似たような研究が行われている。(R)
「UVカットメガネ(カット領域:~450nm)とアンバーレンズ(カット領域~525nm)」を比較した研究で、被験者となったのは睡眠障害を訴える大人20人。
この研究でも結果は同じで、寝る3時間前にアンバーレンズをかけたところ主観的な睡眠スコアが改善。
やはり就寝前はブルーライトをカットするに越したことはないのである。
スマホはブルーライト意外にも睡眠を邪魔しまくる。
ちなみに、正直言うとアンバーレンズ以前に、夜にスマホを使わないに越したことはない。
というのも、SNSをチェックするストレスや他人と繋がっている感覚(連絡が来ているかも…!という期待感)も脳を覚醒させ睡眠に悪影響を与えるのである。(R)
ただ、仕事なんかでどうしてもスマホやPCを見なきゃならない..という人もいるだろう。
そんなときは、寝る3時間前からアンバーレンズを使うと睡眠が改善する。ぜひお試しあれ!