夜中に目が覚めるのがストレス?実はそれは良質な睡眠かも知れない意外なワケ

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「夜中に目が覚めてしまう...」

とストレスを溜めてしまっていないだろうか?

しかし、よくよく考えてみると、なぜ夜中に目が覚めてしまうことはいけないことなのだろうか?

今回は、論文から”夜中に目が覚めることは気にしなくても良いかも知れない理由”をご紹介。

実は、ヒトは本来夜中に目が覚める生き物である可能性があり、別に夜中に目が覚めてしまうからと言ってストレスを感じる必要はないかもしれないのである。

目次

<不眠の原因>

夜中に起きてしまうことは中途覚醒と呼ばれ、これは不眠症の一種に分類されている。

不眠症は他に、寝つきが悪い「入眠障害」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、熟睡感が得られない「熟眠障害」などがある。(R

この不眠症だが、様々な原因で引き起こされている。

<原因1:病気>

まず一つ目の原因は、純粋に”からだの病気”によるもの。

厚生労働省によると、以下のような疾患が不眠の原因となるとされている。(R

  • 高血圧
  • 心臓病
  • 呼吸器疾患
  • 腎臓病
  • 前立腺肥大
  • 糖尿病
  • 関節リウマチ
  • アレルギー疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • レストレスレッグス症候群

これらの疾患が原因となっている不眠の場合、不眠を直すにはもちろん疾患そのものを治療するしかない。

心があたりがある人は、病院に行って専門医に相談するのがいいだろう。

<原因2:生活習慣や睡眠環境>

とはいえ、特に疾患を持っていないのに不眠症に悩み人もたくさんいる。

そんなとき、別の原因に生活習慣がある。

2019の研究によると、以下のような要素が短時間睡眠と関連していることが報告されている。(R

  • 高齢者
  • 喫煙やアルコールの摂取頻度が多い
  • 肥満
  • 子供がいる
  • 身体活動量
  • 職業

まず、そもそも歳をとって高齢者になると、睡眠時間が短くなる。

他には家に子供がいたりする場合も睡眠時間が短くなるが、これらは変えようがない要素なので受け入れるしかない。

そして次に挙がっているのが喫煙やアルコール摂取、肥満など。

喫煙をしていたりアルコールを頻繁に飲んでいる人や太っている人は短時間睡眠になる。

これらの生活習慣は時間がかかる場合もあるが、自分で改善することができる。

生活習慣が乱れているという自覚があるなら、生活習慣を見直したほうがいいだろう。

<原因3:心理的ストレス>

そして、3つ目の原因が心理的ストレスである。

ストレス過多の状態だと、不安や緊張などの感情で脳が覚醒してしまい、夜中に目覚めてしまうのである。

このことを示した研究の一例として、2013年に日本で行われた研究を紹介しよう。(R

この研究は日本人男性1118人に対してアンケートを実施し、「職場でのストレスと睡眠時間」について調べたもの。

結果として、仕事の量的ストレスや対人関係でのストレスが多い人ほど、睡眠時間が短かったことが報告されている。

他にも、夜にSNSを使うことも対人ストレスを助長させ、不眠の原因になる。(R

職場で過度なストレスを受けていたり、プライベートの対人関係がうまくいってないときなど、心理的ストレスを感じると脳が不安を感じて不眠になってしまう。

夜中に目が覚めてしまったらベッドから出る

このように様々な原因で引き起こされる不眠。

それでは、深夜に目覚めてしまった場合はどのように対処すればいいのだろうか?

ここで一番やってはいけないのが「寝なきゃダメだ」と思って布団に居続けること。実はこの方法は不眠が悪化することが分かっている。(R

実は、寝れないときは潔く布団から出るほうがいい。

寝れないのに布団に居続けても”寝れないストレス”が溜まるし、脳が「布団=寝れない場所」という風に学習してしまう。

寝なければいけないと思うと、むしろストレスで目がどんどん覚めてくるという悪循環に陥ってしまう。

逆に、一度布団から出て読書などのリラックス活動をすると、寝れないことに悶々とストレスをためることがなくなる。

さらには、脳の「布団=寝るための場所」という条件付けを崩してしまうこともない。

もし夜中に起きてしまったら、そのときは布団から出てリラックスできる行動をしよう。

ちなみに、このとき”スマホ”などの電子機器を使うのもよくない。

電子機器から出るブルーライトは睡眠を乱すので、もしどうしても使うならブルーライトカットグラスを使うべき。

とはいえ電子機器を使わないに越したことはない。

読書灯などの薄明りの中で本を読んだり、ゆったりした音楽を聴くのがいいだろう。

何はともあれ、ずっとベットに居座り続けて「寝れないこと」を気にし続けるのだけはやめたほうがいいだろう。

不眠症の一番の敵「不眠恐怖」

こういった対処法はあるが、断ち切れるなら不眠のもとを断ち切るに越したことはない。

しかし、職場のストレスなどで不眠になっている場合に、現実問題として仕事を今すぐにやめるというわけにもいかない。

そして、職場のストレスで始まった不眠も、そのうち「寝れない」という事実そのものがストレスになってしまう。

こうなると、たとえ職場のストレスがなくなっても、”寝れないストレス”は残り続け、不眠が続いたりする。

これこそが不眠恐怖である。

要するに、不眠恐怖というのは「今日も寝れないかも」というストレスのこと。

この不眠恐怖が何よりもストレスだというのは、不眠を経験したことがある人なら誰もが知っているだろう。

では、なぜ不眠が恐怖なのか?

その原因の一つに、夜中に目覚めることが”悪いこと”だと思っていることがある。

もし夜中に目覚めることが普通だと思っていたら、夜中に目が覚めてもストレスなんかたまらないはずである。

これなら”寝れないストレス”が溜めることがないので、悪循環にハマることもないだろう。

そして、「もし夜中に目覚めるのが普通だと思っていたら」と言ったが、実は夜中に目覚めるのは実際にヒトという生物にとって普通かもしれない。

ヒトは本来、夜中に目が覚めるように進化した...?

「夜中、同じ時間に目が覚める...。」

もしかしたらあなたはそんなストレスを抱えているかもしれない。

夜中に目が覚めてしまうことは悪いことだと考えているかも知れないが、実はそういうわけでもないのである。

というのも、実は睡眠時に生き延びるリスクを最小限にするため、ヒトは「夜中に目が覚めるように進化してきた」という説があるのだ。

私たちの祖先が生き抜いてきた原始時代において、夜中に誰かが見張りをすることが集団の生存に不可欠だった。

なので、ヒトは就寝時間や起床時間も個人で全く異なるし、夜中も目覚めるように進化することで、この見張りの役割を担ってきたというのである。

例えば、2017年にトロント大学が行なった研究では原始人に近い生活をしている狩猟採集民の睡眠が調べられている。(R

この研究では狩猟採集民のハッツァ族を20日間に渡って調べたのだが結果として、夜にぶっ通しで寝続けたヒトは一人もいなかった。つまり皆が夜中に一度は目覚めていたのである。

こうすることによって誰かしら一人は起きているという状況を担保しており、実際に集団全員が寝てしまったのは、20日間の合計でたったの18分しかなかったのである。

睡眠が良質になる程、夜中に目が覚めてしまう

狩猟採集民が夜中に目覚めている一方で、文明社会においてはほとんどのひとが夜中に起きることはない。

だからこそ、多くの人が「夜中に目覚める=悪いこと」と考えており、夜中に目覚めた時はなんとなくストレスを感じているのだろう。

なぜこのようなことになっているのか?それは、現代人は長時間光に晒されていることで、むしろヒト本来の睡眠リズムが崩されてしまっているからであると言われている。

このことを示したのが、1992年にアメリカ国立衛生研究所が行った研究(R

この研究は、寝るとき以外ほとんど光を浴びている(一般的な)現代人を集め、日の出から日没までの時間のみ光に当たるようにしたというもの。

このように被験者に原始時代に近い状態で生活させて睡眠パターンを観察した。

この実験では被験者達が夜中に1-3時間ほど目覚めるようになったことが報告されている。

四六時中光を浴びるのをやめたところ、睡眠がヒト本来のパターンに戻り、夜中に目が覚めることになったのである。

まとめ

夜中に目が覚めても、それが決して悪いことだとは言えない。

その原因はヒト本来の睡眠パターンに戻ったことであり、睡眠の質が悪いからではないのかもしれないのだ。

私も夜中に2回ほど目が覚めることがあるが、この時間を趣味の読書に使うようになってから無駄なストレスを溜めることも無くなった。

夜中に目が覚めてしまうからとって罪悪感を感じず、気にせず好きなことに時間を当ててみてはいかがだろうか?参考までにどうぞ。

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