寝不足はダイエットの敵!痩せなくなるのは筋肉の分解が原因です

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「寝不足が体に悪い!」と言うのは常識だが、これは何も健康に限ったことではない。

ダイエットにおいても寝不足は大敵。

というのも、摂取カロリーより消費カロリーのほうが大きければ体重は落ちるが、寝不足だとなんと脂肪ではなく筋肉が減るということが研究で判明している。

ダイエットで意外と見落とされがちな睡眠だが、実は寝不足とダイエットは最悪の組み合わせなのである。

目次

カロリー制限中に睡眠不足にさせてみた

今回紹介するのは2010年にシカゴ大学が行った『睡眠不足はダイエットに悪影響なのか?』を調べた研究。(R

被験者となったのはBMIが25~32の肥満男女10人で、実験期間中2つのグループに分けられた。

  1. カロリー制限&寝不足グループ
  2. カロリー制限のみのグループ

まず、カロリー制限として670kcal/日の食事制限をしてもらった。

これは消費カロリーの約32.5%に当たる量で、3大栄養素のバランスとしては糖質48%、脂質34%、タンパク質18%とトレーニーじゃない人の一般的な食事に近い。

そして、寝不足グループには睡眠を5.5時間まで削減するように指示し、もう一方のグループには睡眠時間をたっぷり8.5時間取るように指示した。

この条件でダイエットを2週間行ってもらった。その後3ヶ月間空けてリセットし、今度はグループ間で条件を入れ替えて同じ条件の実験をまた2週間行った。

つまり、順番の違いはあれど最終的には参加者全員が”カロリー制限のみ”も”カロリー制限&寝不足”もどちらも経験したということ。

実験の前後に体組成を測定し、一人一人のデータをまとめたところ以下のような結果になった。

睡眠時間による総体重・脂肪量・筋肉量の変化
睡眠時間による総体重・脂肪量・筋肉量の変化

このグラフは各参加者の体重変化の分布を表している。○が8.5時間とたっぷり睡眠を取ったときのデータで、●は5.5時間という睡眠不足状態におけるデータ。

まず一番左側の体重変化を見てみると、どちらの場合も体重減少はおよそ2~3kgほどで条件間で差はない。

しかし、真ん中をみると8.5時間睡眠は脂肪が1~2kg減っているのに対し、5.5時間睡眠は0~1kgとほとんど脂肪が減っていない。

最後に一番右側の筋肉量をみてみる。

5.5時間睡眠の場合、ほとんどの人が1~3kgもの筋肉が分解されているのに対し、8.5時間睡眠は0~2kgに分布しており、筋肉が分解されていない人も多い。

つまり、同じくらい痩せても脂肪を大きく減らせたのは睡眠をたっぷり8.5時間取った場合だけ。

せっかくカロリー制限をしても、睡眠不足だとエネルギーは脂肪ではなく筋肉から補われてしまう。

実は、ラットによる動物実験では睡眠不足で筋肉が分解されることが判明している。(R,R)

そして、ヒトでも同じように睡眠不足だと筋肉が分解されることが確認された。

ダイエットは睡眠をしっかり摂らないと、脂肪が減らないどころか筋肉ばかりが分解されてしまうという恐ろしい事実が判明したのである。

まとめ

ちなみに、睡眠不足で筋肉が分解されるメカニズムは全くの謎。

この研究では筋肉を分解する作用を持つストレスホルモンのコルチゾールなどの値も調べられているが、8.5時間睡眠と5.5時間睡眠で血中濃度に違いはなかった。

ただ、事実として睡眠不足が脂肪を燃やしづらくし筋肉を分解しやすくすることは間違いない。

少し混み入った話だが、この実験では呼吸商(RQ=Respiratory Quotient)も調べられている。

睡眠時間による呼吸症の違い
睡眠時間による呼吸症の違い

これは”体が排出する二酸化炭素/体が消費する酸素”で計算され、体がエネルギーとして何を使っているか?を表している。

具体的には、糖質で1.0、タンパク質で0.85、脂質で0.71となる。

睡眠不足の●は値がおよそ0.85付近であり、タンパク質が主なエネルギーとして使われている。

一方で、たっぷり寝た△はその値より低く0.71に近い。

つまり脂肪がエネルギーとして使われているということ。

要するに、メカニズムはよくわからないが、睡眠不足だと筋肉がエネルギーとして使われてしまうことは間違いない。

カロリー制限をしても、脂肪ではなく筋肉が減ってしまっては溜まったものじゃない。

ダイエット中は、8.5時間は睡眠を取るのがおすすめ。ぜひお試しあれ!

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