ケトジェニックからローファットは体重が増える?論文を用いて解説

  • URLをコピーしました!

『ケトジェニックとローファット、ダイエット期間中にどちらもやってみようかな?』

同じダイエットをしていると飽きてしまうし、これは戦略として悪くない。

しかし、ここでふとある疑問が湧いてくる。

ケトジェニックとローファット、どちらを先にやるか?ということである。

そんなとき、あなたは「ケトジェニックからローファットにすると体重が増える」という話を耳にしたかもしれない。

しかし、ケトジェニックからローファットにすると体重が増えるといういのは、実は当たり前の話である。

ケトジェニックを初めてしばらくすると、糖質不足によって身体中のグリコーゲンが枯渇する。

しかし、そこから他のダイエットに切り替えて糖質を摂ると、枯渇していたグリコーゲンが回復する。

グリコーゲン自体は約400gしか増えないが、グリコーゲン1gにつき水分が3~4g引き込まれるので、簡単に1〜2kgは増えてしまうのだ。

なので、ケトジェニックから他のダイエットに移行したときに体重が増えるのは問題ない。

しかし、実はケトジェニックからローファットにすると”脂肪”が増えた、という研究があるのだ。

目次

ケトジェニックからローファットで体重は増えたけれど...

「ケトジェニックからローファットで体重が増加する」の元ネタになっているのは、2014年のコネチカット大学による研究で、「ケトジェニックとローファット、どっちがダイエットに効果的なのか?」を調査するのが目的。(R)

研究者は肥満の男女28人を集め、ケトジェニックとローファットで無作為に2つのグループに分けた。

ダイエット中の各グループの食事内容は以下の通り。

ケトジェニック(男性)ローファット(男性)ケトジェニック(女性)ローファット(女性)
総カロリー1855 ± 4321562 ± 2851288 ± 2811243 ± 291
タンパク質130 ± 3079 ± 1888 ± 1959 ± 14
タンパク質/体重1.19g0.72g1.16g0.78g
炭水化物36 ± 18224 ± 5629 ± 8186 ± 44
脂質130 ± 3439 ± 1188 ± 21 29 ± 8
各グループの摂取カロリーと3大栄養素

食事内容に関して注意すべきなのが、タンパク質の量がグループ間で明らかに違うこと。

それだけでなく、減量中にタンパク質が"0.8g/体重"も無いというのは、ローファットは明らかにタンパク質不足である。(最低でも1.2g/体重は欲しい)

さらにもう一つ気になる点があり、それは被験者の運動に対して次のように指示していることだ

  1. 運動をしていなかった人→「実験中に運動を始めないように!」
  2. 運動習慣がある人→「実験中も同じレベルの身体活動をするように!」

運動していない人が多数派であるのは論文から確かなようだが、運動していない人もごちゃ混ぜになっているらしい。

もしかしたら筋トレしている人も混じっている可能性があり、それは筋肉や脂肪の増減量に明らかに影響するので、あまりいい実験条件ではない。

それはさておき、切り替えの順番としては15人が”ケトジェニック→ローファット”の順、残り13人が”ローファット→ケトジェニック”の順でダイエットをおこなった。

これらの条件で、男性は各ダイエットを50日ずつ、女性は各ダイエットを30日ずつ行ったところ、結果は以下のように。(VLCK=ケトジェニック、LF=ローファット)

左から各グループの体重・脂肪量・腹部脂肪量・筋肉量の変化(赤:男性のケト 青:男性のローファット ピンク:女性のケト 白:女性のローファット)
左から各グループの体重・脂肪量・腹部脂肪量・筋肉量の変化
(赤:男性のケト 青:男性のローファット ピンク:女性のケト 白:女性のローファット)

まず、ケトジェニックダイエットのほうが筋肉も脂肪も減っていることがわかる。(厳密には筋肉量の減少量に統計差は無いが、p=0.08はほとんど差があるに近い)

統計上は筋肉の減少量は同じなので、研究者は「ケトジェニックのほうが有利だった!」としている。

しかし、カロリー、タンパク質、筋トレの有無などグループで違う条件が多すぎるので、本当に糖質のせいなのかは疑問。

それはさておき、本題の「ケトジェニックからローファットの切り替え」の話に移ろう。

実験期間中における、各被験者の総体脂肪量の推移がいかになる。(ケトジェニック=青、ローファット=黄)

順番による男性(上段)と女性の(下段)の脂肪量変化(青:ケト 白:ローファット)
順番による男性(上段)と女性の(下段)の脂肪量変化(青:ケト 白:ローファット)

左側の”ケトジェニックダイエット→ローファット”の順でダイエットした被験者は、男性3人と女性4人の脂肪が増加している。

一方で、右側の”ローファット→ケトジェニック”から始めた人は誰も体脂肪量が増加していない。

つまるところ、ケトジェニックとローファットを順に行う場合は、ケトジェニックから始めると体脂肪が増えるのである。

まとめ

ちなみに、ケトジェニックから始めると体脂肪が増えるメカニズムは全くの謎。

さらに言うと、”ケトジェニック→ローファット”で脂肪が増えたという研究は(私の知る限り)他になく、この実験ではタンパク質もカロリーも運動条件も違うので、正直言って自信を持って”ケトジェニック→ローファット”で脂肪が増えるとは断言できない。

とはいえ、ダイエット法を途中で切り替えるとき、別にローファットから始める理由があるわけでもない。

安全策をとって、ケトジェニックダイエットから始めるほうがいいだろう。ぜひお試しあれ!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次