なぜダイエットで筋肉が落ちるとリバウンドするのか?その意外なワケ

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「ダイエットで筋肉が落ちると、基礎代謝が落ちてリバウンドしやすくなる!」

というのはよく聞く話。

しかし、実はそれ以外にも筋肉が落ちるデメリットがあるのはご存知だろうか?

なんと、最近の研究でダイエット中に筋肉は落ちるほど食欲が増加する可能性があることが判明したのである。

目次

筋肉が減るほど食欲が増えてリバウンドする

ということで、今回紹介するのは2020年の研究。(R

この研究で被験者となったのは、別の研究において、8週間かけて体重を8%以上落とした肥満の人達。

彼らのその後26週間にわたる体重を追跡し、何がリバウンドに繋がるのか?を調べたのである。

その中でも、研究者は特に”筋肉の減少量”に注目した。

意外に聞こえるかもしれないが、研究者は「筋肉が減るほど食欲が増加し、ダイエット後のリバウンドに繋がるのでは?」という仮説を立てたのだ。

脂肪が減るとレプチンも減る。だからリバウンドする

というのも、ダイエットで脂肪が減ると、脂肪から出ているレプチンというホルモンも減る

すると、血液を巡って脳に辿り着くレプチンも減るので、脳は「脂肪が減っている緊急事態だ!食欲を増やして失った脂肪を取り戻さなければ!」となり、食欲が増える。

この原始時代から培ってきた”飢餓に備える本能”のせいで、私たちはダイエットで脂肪を落とすほど食欲がマシマシになり、めでたくリバウンドする。

ここまでの話は知っている人も多いかもしれないが、実は最近の研究で『筋肉にも同じような仕組みがあるのでは?』という説があるのだ。

筋肉からも”レプチン”のようなホルモンが出ている?

筋肉からレプチンみたいな何らかのホルモンが出ており、筋肉が減るとそのホルモンも減る。

そして、脳がそのホルモンが減ったことを感知すると、失った筋肉を取り戻そうと食欲が増え、レプチンのときと同じようにリバウンドするという説である。

現段階ではまだそのホルモンが特定されてないだけなのでは?という話。

なんだか突拍子もないことのように聞こえるかもしれないが、直感的にはこのようなホルモンがあってもおかしくはない。

臓器を含む筋肉が減ることは体にとって一大事。

カラダがそれを検知する仕組みを持っていても何も不思議ではないのである。

ということで、研究者は(筋肉の減少量に注目しつつも)リバウンドと関係しているのは何なのか?を追跡調査で調べた。得られた結果は以下の通り。

  • リバウンドと最も関係していたのは男女ともに『体重減少量』だった!(男性:11.4%、女性10.0% )
  • 男性で2番目にリバウンドと関係していたのは『筋肉の減少率』だった!(4.6%)
  • 男性は筋肉の減少量と食欲増加の間に正の相関があった!(R=0.69)
  • 男性は筋肉の減少量と満腹感減少の間に負の相関があった!(R=-0.30)
  • 女性ではこれらの変化は見られなかった!
  • 男女ともに筋肉の減少率は食欲の増加と満腹感の減少に弱い相関が見られた!(R=0.28, R=-0.30)

まずは、男女ともにダイエット期間に体重を多く落とすほどリバウンドしやすいという結果が得られた。

先ほどのレプチンの話もあるので、これはかなり妥当な結果。

それに加え、男性では筋肉が減った割合が大きい人ほど食欲が増加し、さらにはリバウンドする確率が高いという結果になったのである。

研究者の仮説通りの結果となったのだ。

女性は筋肉減少によるデメリットがない?

一方で、女性にはこれらの変化は見られなかった。

男女で差が出た理由は正直なところ不明だが、研究者はおそらく「男性のほうが筋肉量が多いこと」が関係しているのではないかと言っている。

というのも、ダイエット開始時の体脂肪率は男性で32.84%、女性は44.59%と、当然男性のほうが筋肉が多い。

なので、筋肉の減少量も男性の方が多く、実際にダイエット中に落ちた筋肉量は女性が27%なのに対して、男性は35%も筋肉が落ちている。

なので、男性のみに筋肉減少による”食欲増加&満腹感減少”が確認されたのでは?という推測をしている。

本当に筋肉からなんらかのホルモンが出ており、そのホルモンを脳が感知することによって食欲が増加しているかはわからない。

しかし、ダイエット中に筋肉が落ちるほど食欲が増加してリバウンドしてしまう、ということが判明したのである。

筋肉を落とさないためにはどうすればいい?

ダイエット中に筋肉が落ちてしまうと、リバウンドしてしまう確率が高い。

それでは、ダイエット中に筋肉を落とさないためにはどうすればいいのだろうか?

カロリー制限中でも筋肉を維持できる方法をいくつか紹介しよう。

ダイエットのペースは早くしすぎない

まず何よりも重要なのは減量スピードを早くしすぎないことである。

というのも、減量スピードが早過ぎると脂肪よりも筋肉が減ってしまうことが多くの研究で分かっている。

例えば2011年の研究に、週あたり”体重×0.7%”の減量をしたグループと週あたり”体重×1.4%”の減量をしたグループを比較した研究がある。(R)

結果として、早いペースで減量したグループは筋肉が-0.2%、脂肪が21%減ったのに対して、遅いペースで減量したグループは筋肉が2.1%増え、脂肪は31%も減ったことが報告されている。

ダイエットのペースが早いとき、仮に体重が落ちていたとしても、その体重減少は筋肉である確率が高い。

筋肉ではなく脂肪を落としたいなら、減量ペースは週あたり”体重の1.0%”以上にはしない方が賢明だろう。

タンパク質を多く摂る

減量スピードと同じくらい大切なのが、タンパク質量である。

というのも、ダイエット中にタンパク質を十分に摂取していないと、こちらも脂肪よりも筋肉が分解されてしまうことが分かっている。

例えば2016年の肥満男性40人を対象にした研究では、タンパク質を”体重×2.4g”摂取したグループは、タンパク質を”体重×1.2g”摂取したグループに比べて、筋肉は分解されず脂肪も落ちたことが報告されている。

ダイエット中でもタンパク質を多く摂ると、筋肉の分解を防ぎ脂肪を多く落とすことができる。

タンパク質は最低でも”体重×1.6g"以上は摂取するのがいいだろう。(詳しくは以下の記事参照。)

土日は維持カロリーにする

そして最も簡単にできて筋肉を落とさない方法は、土日は維持カロリーにすること。

実はダイエットはずっと続けるよりも、定期的にダイエットをやめて維持カロリーにするほうが筋肉が落ちないことが分かっている。

例えば2020年の研究に、土日に維持カロリーにするグループとずっとカロリー制限をするグループを比較した研究がある。(R

結果として、ずっとダイエットを続けていたグループが7週間のダイエットで筋肉を1.9kg落としたのに対して、土日は維持カロリーにしていたグループは筋肉量が0.2kgしか減らなかった。

つまり、土日は維持カロリーにすることによって、筋肉の分解が70%も防止されたのである。

土日にダイエットを休めるのは精神的にも楽なはず。

筋肉を落とさずダイエットを成功させたければ、定期的に維持カロリーにするのがいいだろう。(詳しくは以下の記事参照。)

まとめ

ダイエット中に筋肉を減らさないことは、どうやらリバウンド後の食欲にも影響してくるらしい。

筋肉を減らさないことは巷で言われている以上に重要な可能性が高い。

筋トレはダイエットの必修科目と言えるだろう。

そして、筋トレをしていても、ダイエットの減量ペースが早かったりタンパク質量が足りないと意味がない。

また、土日は維持カロリーにすることも筋肉を維持できるのでオススメ。ぜひお試しあれ!

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