クラスターセットをご存じだろうか?
この方法は言葉の通り、筋トレを小さい塊(クラスター)に分ける方法。
従来の筋トレが6レップで1セットだとしたら、2レップ→20秒休憩→2レップ→20秒休憩→・・・
といった風に続けていく。
今回はそんなクラスターセットに関する話。
クラスターセットの理論から実践まで、そのすべてを紹介しよう。
クラスターセットとは?
そもそもクラスターセットとは何なのだろうか?
これは1セットをいくつかのクラスターに分割する方法。
従来の筋トレが6レップで1セットだとしたら、クラスターセットでは2レップのクラスターを複数個作る。
例えば6レップで1セットだとしたら
2レップ→20秒休憩→2レップ→20秒休憩→2レップ
で1セットとする。
そして、この1セットが終わった段階で、普段通り休憩を2分くらいとる。
このクラスターセットだが、実はボディビルダーよりもパワーリフティングの世界でよく使われる方法。
というのも、このクラスターセットは”パワー”や”速度”をよりよく維持するために開発された方法だからである。
クラスターセットの原理は”パワーの維持”
では、なぜクラスターセットでは”パワー”や”速度”を維持できるのだろうか?
その答えは疲労の軽減にある。
筋トレをしていくと、筋肉では乳酸などの疲労が溜まっていき、限界点に近づくほど挙上速度が落ちる。
例えば10RMでベンチプレスをしているとき、1レップ目は楽々持ち上がっても、10レップ目にはなんとか持ち上げるといった状況になる。
つまり、パワー(挙上速度)が落ちてしまうのである。
なので、このパワーの低下を防ぐために、クラスターセットでは2レップ毎に休憩を取る。
限界点に近づく前に休憩を小刻みに挟むことで、同じ10レップをこなすとしても、終始挙上速度を落とさずに筋トレができるのである。
実際に、このことを示したのが2018年の研究。[1]
被験者となったのはアスリート男性10人で、2つの条件でスクワットを行ってもらった。
- 従来の方法で6セット
- クラスターセットで6セット
どちらのグループも強度は同じにして、可能な限りのレップでスクワットを行ってもらうというもの。
このとき、従来の方法では連続してレップ数をこなしてもらい、限界がきたらセットが終了。
その後2分間の休憩をとってもらった。
一方で、クラスターセット条件は2レップ毎に20秒の休憩を取ってもらった。
2レップ終わったら20秒の休憩を取る、というのを可能な限り繰り返してもらい、限界が来たらセットが終了。
こちらの条件でも、セット終わりには従来の方法と同じく、2分間の休憩をとってもらった。
この2つの条件で6セットのスクワットを行ってもらい、最大パワーの90%以上のレップ数を数えたところ、結果は以下のようになった。
- 従来の方法は31.9レップだった!
- クラスターセットは51.8レップだった!
6セットのスクワットにおいて、クラスターセットを使った場合のパワーを落とさずにできたレップ数は、なんと従来の方法より20回も多かったのである。
クラスターセットを使うとパワーを維持できるということは、特異性の原理から考えると、従来の方法よりパワーの向上が見込めるということを意味する。
だからこそ、クラスターセットはパワーを重視するパワーリフターの世界でよく使われる方法なのである。
筋トレをクラスターセットにしたらボリュームが増えた!
クラスターセットで、パワーをよりよく維持できる。
しかし、ここで先ほどの研究をみたとき、「クラスターセットはボリュームの増加にも役立つのでは?」と思った人もいるだろう。
筋トレのボリュームは筋肥大にとって重要な要素。
もしクラスターセットで筋トレのボリュームが上がるならば、それはパワーリフターだけでなく、筋肉を大きくしたい人にも使える戦略ということになる。
結論を先にいってしまうと、クラスターセットは筋トレのボリュームを増やすことがわかっている。