『脚トレはスクワットだけで十分なのでは?』
この疑問は、筋トレに慣れてくると一度は浮かんでくるもの。
実際、スクワットは脚前面の大腿四頭筋を全体的に鍛えることができる優秀な種目。
しかし、最近の研究を見ると、どうやらスクワットだけでは少々物足りなく、レッグエクステンションも取り入れたほうが良いかもしれない。
スクワット vs レッグエクステンションで筋肉が大きくなった場所を調べた
今回紹介するのは2021年の「スクワットとレッグエクステンションでは、筋肥大する場所が違うのでは?」を調べた研究。(R)
被験者となったのはトレーニング歴2年以上の男性27人で、2つのグループに分かれて5週間の筋トレをしてもらった。
- スミスマシンスクワット:週3、1日3セットのスミスマシンスクワット
- レッグエクステンション:週3、1日3セットのレッグエクステンション
どちらのグループもボリュームは”12セット/週”に揃えられており、筋肥大には十分な量。
実験結果に干渉するのを避けるため、実験中は他の足トレは休んでもらった。
さらには、筋肉の合成がきちんと行われるよう、食事もタンパク質”2.0g/体重”を摂取するように指示。
この条件で5週間筋トレをしてもらった後、大腿四頭筋を構成する以下3つの筋肉の量を超音波で測定。
- 内側広筋:太ももの内側
- 大腿直筋:太ももの中央
- 外側広筋:太ももの外側
内側広筋の結果は超音波画像が不鮮明で解析できなかったら強いので除外されたが、外側広筋と大腿直筋の結果は以下の通り。
- スクワットグループは、外側広筋の真ん中だけが大きくなった!(+6.0%)
- レッグエクステンショングループは大腿直筋が全体的に肥大した!(上部+9%, 中央+8.8%, 下部19.7%)
スクワットとレッグエクステンションはどちらも大腿四頭筋を筋肥大させたが、その場所が異なっていたのである。
スクワットは太ももの両側、レッグエクステンションは太ももの中央に効くワケ
それでは、なぜ同じ大腿四頭筋のエクササイズでも、効く場所が異なるのだろうか。
これはひとえに、筋肉の付き方による違いが原因。
というのも、実は大腿四頭筋の両側にある”内側広筋”と”外側広筋”、大腿四頭筋の中央にある”大腿直筋”では筋肉のつき方が違うのである。
大腿直筋が股関節と膝関節という2つの関節をまたぐ二関節筋なのに対して、内側広筋と外側広筋は膝関節にしかまたがっていない。
つまり、大腿直筋は股関節と膝の動きに関係しているが、内側広筋と外側広筋は膝を曲げる動きにしか関係していない。
- 大腿直筋:股関節を膝蹴りする動作&膝をキックする動作
- 内側広筋&外側広筋:膝をキックする動作だけ
そして、レッグエクステンションとスクワットに求められる動作は以下のようになる。
- スクワット:股関節を膝蹴りするのとは逆の動作&膝をキックする動作
- レッグエクステンション:膝をキックする動作だけ
スクワットのとき、大腿直筋は膝関節で見ると筋肉が収縮する方向に、股関節で見ると筋肉が伸展する方向を強いられる。
なので、結果として筋肉の長さがほとんど変わらないので、スクワットでは大腿直筋に刺激が入りづらいのである。
なので、大腿直筋を鍛えたければ、むしろ股関節が固定されているレッグエクステンションのような種目のほうが良い。
一方で、内側広筋と外側広筋は膝関節にしか関与していないので、スクワットのようなマルチジョイントでもしっかりと刺激が入る。
要するに、スクワットのようなマルチジョイントだけでは大腿直筋に刺激が入りづらいので、脚を全体的に鍛えたいならレッグエクステンションのようなシングルジョイントエクササイズも取り入れるほうが良いのである。
まとめ
多くの人が考えている通り、スクワットが優秀なエクササイズなのは間違いない。
しかし、余裕があるならレッグエクステンションのような単関節種目も取り入れるほうが、全体的にバランスの良い脚にすることができる。是非お試しあれ!