筋肉をつけながら脂肪を落としたい!
今回は全ダイエッターの夢であるリコンプについて紹介します
- ステロイドでリコンプできる?
- カロリーオーバーじゃないと筋肥大しっていうのも根拠が薄い
- 筋トレ未経験者や肥満の人じゃないとリコンプしないも実は根拠が薄い
- 実際にリコンプを達成したい人のガイドライン
- カロリー設定はどうするのか
- 筋トレはどうするのか?
- PFCバランスはどうするのか?
リコンプは筋トレ初心者や肥満者だけのものと思いがちですが、実は誰でも達成できる目標です
ステロイドはリコンプできるのか?問題
テストステロン量の違いで筋肉量はどれくらい変わる?
まず最初の話題として「ステロイドはリコンプできるのか?」を見てみましょう
リコンプの話題で必ずと言っていいほど挙がってくるのが「ステロイド使用者はリコンプできる」というもの。
ステロイドといえば筋肉がつくというイメージを持っている人も多いと思うが、実際にどれだけ筋肉がつくのかは意外と知らない人が多いだろう。
意外と昔だと研究があったりするのでそちらを紹介していきます
被験者となったのは男性被験者61人で、彼らを”テストステロン”の摂取量で5つのグループに分けて20週間過ごしてもらった。
- 25mg
- 50mg
- 125mg
- 300mg
- 600mg
各被験者の血中濃度は以下のとおりです
摂取量(mg) | 血中濃度(ng/dl) |
---|---|
25 | 253 |
50 | 306 |
125 | 542 |
300 | 1345 |
600 | 2370 |
とはいえ血中濃度ではイメージがつかない人が大半だと思うので、実際に日本人の血中テストステロン濃度を調べた研究も載せておこう。
日本人のテストステロン量を調査した研究。
血中テストステロン濃度は20代男性平均で498ng/dl、全年齢で考えると201ng/dl-750ng/dlに9割強の男性が入ることが報告された。
2001年の研究で示された1,345ng/dlや2,370ng/dlという数値がいかに高いかがわかります
テストステロン値の異なる被験者に対して20週間後、筋肉がどれだけ増えたかというのを調べたところ、結果は以下のようになった。
摂取量(mg) | 血中濃度(ng/dl) | 筋肉増加量(kg) |
---|---|---|
25 | 253 | -1.0 |
50 | 306 | +0.6 |
125 | 542 | +3.4 |
300 | 1345 | +5.2 |
600 | 2370 | +7.9 |
筋トレすらしてないのに5ヶ月で7.9キロ増えたという驚きの結果になってます
多くの人がイメージする通り、実際にテストステロン値を人外の量投与すると筋肉が増えることが判明したのだ。
ステロイドと筋トレを組み合わせた
そしてみなさんお待ちかね(?)のステロイドと筋トレを組み合わせた研究を見てみましょう
被験者となったのは男性43人で、彼らを4つのグループに分けた。
- テストステロンエナンテート600mgを服用し、筋トレをする
- テストステロンエナンテート600mgを服用し、筋トレはしない
- プラセボを服用し、筋トレをする
- プラセボを服用し、筋トレもしない
10週間後に筋肉量を測定したところ、結果は下記のようになった。
被験者 | 筋肉増加量 |
---|---|
コントロール | +0.8kg |
筋トレのみ | +2.0kg |
ステロイドのみ | +3.2kg |
筋トレ&ステロイド | +6.1kg |
ダントツで筋肉が増えたのがステロイドグループになります
その数字は驚異の10週間で+6.1kg。
確かにステロイドで無理矢理同化スイッチを入れ、摂取カロリーは増やさなければリコンプする確率は非常に高いといえそう。
ステロイドを使ったこともなければそういった研究もないの真偽のほどは不明ですが、ステロイドでリコンプしても何も不思議ではなさげ
マイナスカロリーじゃ筋肥大しないは根拠が薄い
とはいえ「じゃあステロイドを使おう!」という人もいないと思うので、ここからやっと本題に入ります
オーバーカロリーで筋肥大≠オーバーカロリーじゃないと筋肥大しない
オーバーカロリーじゃないと筋肉が増えないなんて常識だろ?そんなことも知らんのか?
多くの人がなんとなく信じている気がする一般論ですが、そんなに根拠があるわけではありません
この一般論が広く信じられている理由は、オーバーカロリーだと実際にそれだけで筋肥大するからだろう。
毎日1000kcalのカロリー過剰を100日間続けてもらった研究。
筋トレなしでも筋肉が2.7kg増えた(脂肪も5.4kg増えた)
たまにカロリー過剰で脂肪だけ増えると思っている人がいますが、実際には筋肉もしっかり増えます
例えば2006年の研究なんかだと、だいたい体重増加の33-40%は除脂肪体重でもたらされるとされている。(R)
「オーバーカロリーで筋肥大=オーバーカロリー”じゃないと”筋肥大しない」がなんとなく成り立ってる気がするのがこの説が信じられている理由の一つです
カロリー制限でMPSやmTOR活性は下がるけど...
カロリー制限中はMPSが下がるから筋肥大はできない!
カロリー制限中は同化シグナルのmTOR活性が下がるから筋肥大ではできない!
将来、こんな感じの理論を展開してくる人が出てくる可能性があるので先に論破しておきます
MPSは筋合成のことで、mTORというのはMammalian Target of Rapamycinのこと。
どちらも数値が高いほど、理論的には筋肥大に有利(そう)な指標になる。
実際にカロリー制限中はこれらの値が下がりますが、筋トレとタンパク質でちゃんと逆転できることがわかっています
5日間のカロリー制限mTOR活性が減少し、MPSが最大30%低下した。しかし、筋トレとタンパク質摂取にMPSは維持カロリー時の+30%まで回復した。
確かにカロリー制限中はMPSとかmTOR活性とか筋肥大に理論的には効果ありそうなものが下がるが、それは筋トレとタンパク質摂取で逆転してプラスにできる。
理論的にもリコンプというのは全然可能な代物なのだ。
さらには理論をこねくり回しても実際は全然違う結果が得られることが往々にしてあります
- MPSの上昇によるタンパク質合成は、筋肥大ではなく他のミトコンドリアなどを作るのに使われている可能性がある
- mTOR活性の現象が、現実的にどれだけ筋肥大を阻害するかは測定してみないとわからない
結局は筋肥大を直接測定した研究を見るのが最強なので、そちらを確認していくことにします
カロリー過剰にするほど筋肉が増えるけど...
マイナスカロリーじゃないと筋肥大しないと思われているもう一つの理由が、カロリー過剰にするほど筋肉が増えるという事実です
ボディビルダーを対象に「大幅なカロリー過剰vs控えめなカロリー過剰」を比較した研究。
①大幅なカロリー過剰 | ②控えめなカロリー過剰 | |
---|---|---|
摂取カロリー(kcal) | 6087 | 4501 |
タンパク質(g/体重) | 1.8 | 2.0 |
炭水化物(g/体重) | 12.9 | 8.0 |
脂質(g/体重) | 0.93 | 1.06 |
4週間後に脂肪と筋肉を測定した結果が下記になります。
大幅なカロリー過剰にしたグループは筋肉量が1.0kg増え、脂肪も700g増えた。
一方で控えめなカロリー過剰にしたグループは筋肉量が0.4kg増えて、脂肪量も90g増えたのだ。
確かに筋肉はカロリー過剰にするほど増えますが、マイナスカロリーで増えないということにはなりません
実際に-40%のマイナスカロリーでも筋肥大した
ここからは実際にリコンプを達成した研究を見ていきましょう