「温かい水より冷たい水がダイエットに効果的」
こんな風に聞いたことがあるだろうか?実は巷では「冷水は痩せる」という俗説がある。
なんでも、冷水は代謝をあげるんだとか。
今回は、論文から「冷水はダイエットに効果的なのか?」を検証。
実は、冷水が代謝を上げるというのは紛れもない事実なのである。
冷水を飲むと代謝が30%も増えた
『冷水にダイエット効果がある』
そんなことあるわけないじゃん、と思うことなかれ。
実は、ダイエット効果があるか無いかで言えば、その答えは”ある”なのである。
というのも、水は冷たいほうが代謝を上げて消費カロリーを増やすことがわかっている。
このことを示したのが、2003年のフンボルト大学の研究。(R)
被験者となったのは男女14人なのだが、被験者には22℃の水と37℃の水、それぞれ500mLを摂取してもらった。
そして、その際に代謝を測定したところ、以下のような結果に。
- 水を飲むことによって代謝が30%も上昇した!
- 代謝上昇効果は、22℃のほうが37℃より40%高かった!
まず、そもそも水を飲むこと自体が代謝を上げた。なので、この研究は「ダイエットでは水をたくさん飲め」のエビデンスとして使われることもある。
実際に、研究者は以下のように結論している。
飲む水の量を1.5L増やすことは、消費カロリーを1日50kcal増やす。これは年間で2.4kgの脂肪に相当するエネルギー量だ
そして、さらには22℃の水は37℃の水より、40%も代謝上昇効果が高かったのである。
これらの研究から、「水をたくさん飲め、そして冷水を飲め」といわれるようになったのである。
本当にそんなに代謝が上がるのか?問題
しかし、読者の中には「さすがに代謝が上がりすぎでは?」と胡散臭さを感じた人もいるだろう。
実は、そう思ったのはあなただけではない。
私もそう思うし、何より他の研究者も「本当に水を飲むとこんなに代謝が上がるのか?」と疑問に思ったのである。
ということで、その後いくつかの研究がなされたのだが、その結果は2003年の効果よりだいぶ小さいものだった。
- 2006年の研究:8人の男女に3℃の冷水を500mL飲んでもらったところ、代謝が4.5%増加した(R)
- 2012年の研究:12人の男女に3℃、22℃、37℃の水道水500mL飲んでもらったところ、代謝がそれぞれ"2.9%、2.3%、0.4%"上昇した(R)
確かに水を飲むことで代謝は上昇しているし、冷水であるほど代謝上昇効果も大きい。
しかし、その効果は冷水でさえせいぜい代謝が3%上昇した、という程度のもの。
つまるところ、1日1.5Lの冷水をプラスで摂取しても、年間で200gほどしか脂肪は減らないの計算になる。
冷水が代謝上昇効果があるとはいえ、たかがこれだけの効果のために冷水を飲むのは馬鹿らしい。
喉が渇いたときに自分の好きな温度の水を飲めばいいのである。
まとめ
冷水は代謝を上昇させるので、ダイエット効果があるのは事実。
しかし、その効果は当初考えられていたよりかなり小さく、実践的アドバイスとして「冷水を飲もう」とはとても言えないレベル。
あまり気にする必要はないだろう。