カーボアップとは?効果ある?期間は?ボディビルダーの研究で真偽が判明

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ボディメイクのコンテストにでたことがある人なら誰もが聞いたことがあるだろう「カーボアップ」。

これは数日間糖質を抜く「カーボディプリート」をした後、急激に糖質を摂ることで体にグリコーゲンを溜め込み、筋肉を大きく見せようとするもの。

コンテストに出るほとんどの人が実践している方法だが、実際に効果があるのだろうか?

ということで、今回は論文から「カーボアップ」に関する話をご紹介。

実際にボディビルダーを調べたこの研究で、ようやくカーボアップの効果のほどが判明したのである。

目次

カーボアップはグリコーゲンの量を増やす

カーボアップというのは別名”カーボローディング”とも呼ばれる方法で、糖質(カーボ)を急激に摂取することを指す。

糖質を急激に摂取することで、体の中に蓄えられているグリコーゲンをいつも以上に増やすことができるのである。

そもそもグリコーゲンが何かというと、糖質が塊になったもので、体の筋肉や肝臓に貯蔵されている。(R

そして、糖質がエネルギーとして使われる運動時などに、このグリコーゲンは分解され体のエネルギーとなる。

短期間に大量の糖質を摂取すると、グリコーゲンでは”超回復(Supercompensation)”と呼ばれる現象が起きる。

この超回復が起きると、グリコーゲンはいつもより多く蓄えられる。

これがカーボローディングだが、糖質の摂取方法によって5つの種類がある。

古典的6日法

古典的6日法では、まず初めに”ディプリート”と呼ばれるグリコーゲンを枯渇させる期間を過ごす。

その後、3日間にわたり糖質を大量摂取する”ローディング”を行い、グリコーゲンを超回復させる。

具体的には、カーボディプリートの初めの3日間では、糖質を15%まで制限しつつ、運動をする。

糖質を制限してグリコーゲンが合成できない状況を作り、その上で運動をして糖質を枯渇させるのである。

3日間のディプリート期間が終わったら、次の3日間は糖質を70%まで上昇させる。

グリコーゲンを枯渇させた後に急激に糖質を摂取することによって、グリコーゲンの超回復を促すのだ。

ちなみにこのとき、運動量は4日目は軽め、5日目と6日目は運動を一切しないようにする。

このように、ディプリート期間を行ってからローディングを行うのが古典的6日法だが、実は最近の研究ではこのディプリートは特に必要ないとされている。(R

ということで生み出されたのが、次の改良版6日法である。

改良版6日法

改良版6日法は、古典的6日法からカーボディプリートという作業を除いたもの。

最初の3日間はカロリーの50%ほどを炭水化物にして過ごし、その後3日間はカロリーの70%を糖質にして過ごす。

そして、運動量に関しては6日間にわたってどんどん減らしていくのは古典的6日法と同じ。

こちらの方法では、4日目~6日目の運動は0-20分しか行わないようにする。

古典的6日法からディプリートを除き、6日間かけて徐々に糖質の量を上げていくのが改良版6日法になる。

古典的3日法

古典的3日法は、古典的6日法をさらに簡略化し、初めにディプリート期間を運動に置き換えたもの。

ディプリート期間を3日取るかわりに、カーボローディング開始時に激しい運動をする。

そしてその後3日間は運動を行わず、糖質をカロリーの70%摂取することで、グリコーゲンの超回復を促す。

改良版3日法

こちらは古典的3日法から、さらにディプリートを無くしたもの。

つまり、初めに運動をして糖質を枯渇させる必要はない。

いうならば「ただ3日間糖質を食べるだけ」なのだが、その量は体重1kgあたり10gとなかなかの糖質量。

この糖質の大量摂取を3日間連続で行うのが改良版3日法である。

1日法

最もシンプルなカーボローディングで、1日だけ糖質を体重1kgあたり10g食べるというもの。(運動は一切しない)

このように、いくつもの方法があるカーボローディング。

それでは一体なんのためにおこなわれるのだろうか?

カーボローディングの効果

カーボローディングに期待できる効果は主に2つある。

効果その1:持久系エクササイズのパフォーマンス向上

まず一つ目の効果は、運動パフォーマンスの向上である。

グリコーゲンは体の燃料となるので、カーボローディングによる超回復でグリコーゲンを通常より増やしておくと、運動のパフォーマンスが上がるのだ。

パフォーマンスアップに特に効果があるとされているのが長時間行う持久系運動。

超回復によってグリコーゲンを通常より多く体内にため込むことと、90分以上続く競技でのパフォーマンスが2~3%向上するのである。(R

逆に、90分未満の場合、グリコーゲンの超回復によるパフォーマンス向上の恩恵はほとんど起こらないとされている。(R

ちなみに、このとき摂取される糖質量は”5~12g/日”と幅があり個人差が大きい。

これだけの糖質量を摂取してカーボローディングすることで、持久系運動のパフォーマンスが向上するのである。

効果その2:体内の水分量の増加

カーボアップで得られる効果の2つ目が、体内の水分量の増加。

グリコーゲンには水分を引き込む効果があるので、グリコーゲンが体内に1g蓄えられるとき、水も一緒に3g蓄えられる。

筋肉内のグリコーゲンは400gとも言われるので、水分を含めたらグリコーゲンだけで実に1.6kg程も体重が増減するのである。

この体重増加を特に喜ぶのが、何を隠そうボディビルダーである。

先ほども説明したように、体に蓄えられているグリコーゲンの大半は筋肉にある。

つまり、グリコーゲンが増えるということは、すなわち筋肉量が増えることに繋がる。

なので、コンテストで筋肉量が求められるボディビルダーはこのカーボローディングをコンテスト前に行うのである。

カーボローディングはコンテストで使える?

持久系スポーツとボディビルで使われてきたカーボローディング。

しかし、研究は持久系スポーツが中心で「ボディビルコンテストでカーボローディングが有効かどうか」ははっきりとしていなかった。

しかしついに、ボディビルにおけるカーボローディングが効果的なのかどうかを調べた研究が登場してきたのである。

IFBBのトップビルダー達を調べた

ということで、紹介するのは2019年の研究。(R

被験者となったのは、南米アーノルドクラシックと第47回ブラジルチャンピオンシップに出場したボディビルダー24人。何がなんやらよくわからないかも知れないが、要するにトップビルダー達24人だと思っておけば良い。

このトップビルダー達を、大会前4日間の過ごし方でカーボローディング有りとカーボローディング無しの2グループに分けた。そして、この4日間をさらにM1期とM2期に分割。

  • M1期:大会4日前から大会前日の計量までの3日間
  • M2期:計量から大会1時間前までの24時間

M1期はどちらのグループも同じだけの糖質を摂取しており、その値は「体重あたり1g」とかなり少なめ。

そして、M2期の糖質量はグループによって異なっており、カーボローディング無しグループは糖質を体重あたり5g、カーボローディング有りグループは糖質を体重あたり9g摂取した。

つまるところ、3日間で糖質を枯渇させた後、1日だけ高糖質にすることでローディングするという設定。

ちなみに「カーボローディング無しグループも糖質が増えている。これもカーボローディングじゃないの?」と思った人がいるかもしれません。

しかし、先ほども説明したように1日でローディングする場合は体重1kgあたり10gほと糖質を摂る。

体重あたり5gの糖質量を1日摂ったくらいでは、カーボローディングにはならないのである。

それはさておき、この条件でローディング前後の体重や筋肉周りの長さを測定したところ、カーボローディング有りグループは実際に筋肉が大きくなったのである。

実際に、カーボローディングによる効果が見られた筋肉の実測値は以下の通り。

無し有り
体重-0.2kg+2.3kg
-0.5cm+2.3cm
太もも-0.1cm+0.6cm
-0.1cm+0.5cm
カーボローティングによる筋肉周囲経の変化

カーボローディングをしたグループは、全体的に筋肉の厚みが向上していることがわかる。

さらには、この実験ではカーボローディングでも唯一影響を受けなかった筋肉がある。それが”ウエスト”である。

カーボローディングは全体の筋肉を大きくするが、ウエストだけは太くならない。まさにコンテスト前にうってつけの方法なのである。

まとめ

今回はカーボアップについて紹介した。最後にもう一度内容を確認しておこう。

  • ディプリート期間は、「体重×1g」の糖質摂取を3日間
  • ローディングは「体重×9g」の糖質を1日で摂取

ちなみに「1日体重当たり9gも食べれないよ!」という方は、一般的な方法である「体重あたり6gを3日間」でもいいかも知れない。

ビーチやコンテストなど特定の日に筋肉を大きく見せたい人は、カーボアップは十分実践する価値があるだろう。ぜひお試しあれ!

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