「アスピリンはダイエットに効果的」
という話があるのをご存知だろうか?
そもそもアスピリンって何?と思う人もいるかも知れないが、これは鎮痛剤の一種。
サプリとしても普通に販売されているので、もしかしたら家庭用救急キットにアスピリンを入れている人もいるかも知れない。
鎮痛剤として有名なアスピリンだが、実はダイエットサプリとしても紹介されることがある。
今回の記事は、そんな「アスピリンのダイエット効果」に関する話。
アスピリンなどのサリチル酸誘導体は、運動前に飲むことで脂肪燃焼効果を高めてくれる可能性があるのだ。
アスピリンが脂肪燃焼を助ける?
アスピリンは商品名なのだが、実際に含まれているのはアセチルサリチル酸である。
このアセチルサリチル酸なのだが、体内で生成されるプロスタグランジンと呼ばれる物質のを抑制することによって鎮痛効果を発揮する。
そして、このプロスタグランジンと呼ばれる物質は実は運動にも大きく関っている物質。
筋トレやHIITなどの激しい運動をすると、体ではノルエピネフリンと呼ばれる物質が放出される。
すると心拍数が上がり全身の血液の巡りがよくなるので、体は激しい運動にも耐えることができる。
このとき、ノルエピネフリンは同時にプロスタグランジンの産生を促す。
プロスタグランジンにはノルエピネフリンを抑制する作用があるので、運動を終えて新たなノルエピネフリンが作られなくなると、プロスタグランジンの抑制作用でノルピネフリンはどんどん減少していく。
このような仕組みによって、運動後の体は徐々に心拍数が下がり代謝も落ち着いてくるのである。
しかし、ここでプロスタグランジンを阻害する作用のあるアスピリンを摂取したらどうなるのか?
アスピリンがプロスタグランジンを抑制→プロスタグランジンがノルエピネフリンを抑制しなくなる→代謝上昇が長く続く
このような図式が理論的には成り立つので、アスピリンがダイエットに効果的と言われるのである。
サリチル酸には、副作用があるので注意
こんな風に運動の効果を高めてくれる可能性があるアスピリンだが、実は副作用もある。
アスピリンが胃腸を荒らすかも
プロスタグランジンには、実は胃の粘膜を保護するという重要な役割がある。
なのでアスピリンによってプロスタグランジンの産生が阻害されると、胃の粘膜が弱ってしまうことがある。
さらには、アスピリンは腸内細菌を荒らすとも言われている。
アスピリンの摂取は胃腸を荒らす可能性があるので、もしアスピリンを摂取して胃腸に違和感を感じるようなら使用は控えたほうがいいだろう。
高容量のアスピリンには、血を固まりやすくする作用がある
アスピリンにはもう一つ懸念点がある。それは、過剰摂取すると血液を固まりやすくしてしまうことである。
アスピリンはプロスタグランジンを抑制すると言ったが、これはプロスタグランジンを作り出す酵素であるシクロオキシダーゼを阻害するのが原因。
このシクロオキシダーゼだが、主に3つの物質を作る酵素として働いている。
- プロスタグランジン
- トロンボキサン(血小板凝集促進)
- プロスタサイクリン(血小板凝集抑制)
そして、アスピリンは容量によってどの物質を抑制するかが変わってくるのである。
まず、80mg-300mgの低容量のアスピリンはトロンボキサンのみを抑制する。血液を凝固させる血小板の促進を抑制するので、抗血小板薬として血液の凝固を抑えるのだ。
一方で、1000mg以上の高容量ではプロスタサイクリンも抑制してしまうとされている。
先ほどとは逆の役割の物質を抑制するので、血液が凝固しやすくなる可能性があるのだ。
アスピリンがダイエットに効果があるから取って、たくさん摂ればいいというものではない。
血液の病気などを持っている人は特に注意が必要である。
胃腸が荒れるのが気になる人には、ホワイトウィローでもアスピリンと同じ効果が期待できる
アスピリンで胃腸が荒れるのが気になる人は、”ホワイトウィロー”と呼ばれるサプリで代用することも可能。
ホワイトウィローは柳の樹皮から作られるサプリなのだが、有効成分としてサリシンと呼ばれる物質が含まれている。
サリシンは摂取すると体の中でサリチル酸に変化するのだが、アスピリン(アセチルサリチル酸)と同じ効果があるとされている。
このホワイトウィローだが、アスピリンより胃の粘膜や腸内細菌が荒れる可能性が低いとされている。(R)
しかし、240mgのサリシンはアスピリン100mg分の効果しかない。(R)
そのため多くの錠剤を飲まなければいけず、コストがかかるというデメリットがある。
加えてホワイトウィローは一般的なサプリではなく、アスピリンに比べて手に入りづらい。
もし胃腸障害が特に起きないのであれば、アスピリンを使うのがいいだろう。
運動前にサリチル酸系を摂取すると脂肪の燃焼効率が高まる...かも
運動前にアスピリンを摂取すると、理論的には脂肪燃焼に効果的な可能性がある。
しかし公平を期すためにいうと、ヒトで実際にアスピリンにダイエット効果があると証明した研究はない。
なので、実際にどれほどのダイエット効果があるのかはわからない。
なので、アスピリンは「少しでも可能性があることは色々試したい!」という人向けだろう。
ちなみに、ダイエット目的で使われるアスピリンの量は大体1回に300mg程度。
アメリカなどではアスピリンを鎮痛薬と常備していることもあり、ダイエット目的で使われることもよくある(らしい)。
もし興味がある人は運動前にアスピリンを飲んでみてはいかがだろうか。参考までにどうぞ。