『ダイエットしながら筋肉をつけるのは難しい。』
筋肉をつけながら脂肪を落とす”リコンプ”は可能とはいえ、減量中に筋肉を付けることが難しいのは事実。
しかし、実はダイエット中でも筋力アップには関係ないということはご存じだろうか?
ということで、今回は『筋トレの効果はカロリー制限でどのように変わるのか?』を調べた研究をご紹介。
100人以上を5ヶ月にわたって調べた大規模研究で筋力UP効果はカロリー制限でも阻害されないことが判明したのである。
カロリー制限をしたら筋肥大が阻害されたが...
今回紹介するのは、2015年にウェイクフォレスト大学が行った「カロリー制限は筋トレにどんな影響を与えるのか?」を調べた研究。(R)
被験者は年配(70歳くらい)の男女126人。
被験者はBMIが27-35のやや肥満体型で、筋トレ経験はなし。
5ヶ月という長期にわたる研究なのだが、被験者たちは2つのグループに分けられた。
- 筋トレだけグループ
- 筋トレ&カロリー制限グループ
まずどちらのグループも週3回の筋トレを実施。
分割法ではなく1日で全身をトレーニングする方法で、種目はレッグプレス・インクラインプレス・ローイングなどオーソドックスなもの。
そして、筋トレ内容は1種目10回3セットという、こちらもオーソッドクスな設定。
そして、もう一方のグループにはカロリー制限をしてもらった。
具体的には毎日600kcalのカロリー制限で、タンパク質や糖質の量などは指示されていない。
食事内容のデータがないので、十分なタンパク質を摂っていたか?などは不明だが、とにかくカロリー制限をしてもらった。
この設定で、5ヶ月後に被験者の体型や身体能力を測定。
「筋トレ初心者の筋トレ効果はカロリー制限でどう変わるのか?」を比較したところ、結果は以下のようになった。
- カロリー制限をしたグループのほうが脂肪が減ったが、筋トレだけグループもわずかに脂肪が減った!(トレのみ:-0.6kg vs +カロリー制限:-3.6kg)
- カロリー制限をしたグループは筋肉が落ちた!(トレのみ:+0.3kg vs +カロリー制限:-1.1kg)
- 筋力や身体機能はどちらのグループも同じくらい向上し、グループ間に差はなかった!
まず、カロリー制限をしたグループは、筋トレをしていたが筋肉がやや落ちた。
これは何の面白みもない結果。
ちなみに、筋肉が落ちたとはいえ、そこまで大した量ではない。
むしろ、被験者が高齢であることを考えると、5ヶ月のカロリー制限をして落ちた筋肉量が1kg前後なのは、わりと頑張ったほうじゃないかと思う。
やっぱりダイエットに筋トレは必須なんだな、と。
そして、お次は本題の筋トレによる筋力向上と身体機能向上の結果だが、なんとどちらも同じくらい向上したという結果に。
カロリー制限をしていても、筋トレの筋力アップ効果は損なわれなかったのである。
実は筋トレ初心者の筋力向上は、筋肉が大きくなることより神経適応の占める割合が大きい。
要するに、筋繊維が協調して力を発揮しやすくなるのである。
そして、これはカロリー制限をしても十分起こるらしい。
カロリー制限を組み合わせると筋肥大には不利だが、筋力アップや身体機能改善には関係ないのである。
ちなみに、蛇足な気がするが、この研究では被験者の体脂肪率が高いほど、筋トレの効果も薄かったことが報告されている。(データは示されていない)
というのも、実は「肥満の人は、筋肉中に脂肪が付いてしまい、それが筋肉に悪さをするのでは?」みたいな話があるのだが、今回の実験でもそれは確認されたのである。
筋トレの効果を出したいなら、肥満体型は脱したほうが良いことは覚えておいて損はない。
まとめ
これだけ大規模かつ長期間な筋トレ研究はレア。そんなナイスな研究で、カロリー制限が筋力向上に影響しないことが実証された。
ダイエット中でもガンガン重量を挙げることを狙ってもいいと言える。是非お試しあれ!