『あの人は絶対にステロイド使用者』
筋トレをしていれば、一度くらいはステロイドの話題に触れたことがあるだろう。
もしくは、ステロイドを使ってみたいと思っている人もいるかもしれない。
今回は、筋トレ界のタブーとされている「テストステロンと筋肥大」に関する話。
とは言っても、「アイツはステロイド使用者だ!」と個人を中傷するつもりはない。
あくまで”研究ではどのような結果が出ているのか?”について紹介していこう。
テストステロンが増えるほど、筋肉は大きくなる
まず、(筋トレ界における)ステロイドとは何なのか?
ひらたく言ってしまえば、男性ホルモンであるテストステロン、もしくはそれと同じ働きをする化学物質である。
というのも、テストステロンには筋肉を増やす”アナボリック効果”がある。
実際に、テストステロンの量が増えるほど筋肉量は増えることが分かっている。
このことを示したのが、2001年のドリュー大学による研究。(R)
被験者となったのは男性被験者61人で、彼らを”テストステロン”の摂取量で5つのグループに分けて20週間過ごしてもらった。
- 25mg
- 50mg
- 125mg
- 300mg
- 600mg
被験者には25mg~600mgのテストステロンを服用してもらったのだが、このとき被験者はGnRHという”自身のテストステロン分泌を抑える薬”も飲んでいる。
つまり、純粋に服用したテストステロンだけの影響が出るようにしたのだ。
このようにして「テストステロンの量は筋肉量に影響するのか?」を調べたところ、以下のような結果に。
- 低容量のテストステロン摂取(25mg, 50mg)では筋肥大しなかった!(-1.0kg, +0.6kg)
- 高容量のテストステロンでは筋肥大が起こり、その効果は量に比例した!(+3.4kg, +5.2kg, +7.9kg)
なんと、実験中は被験者に筋トレは控えてもらったにも関わらず、高容量のテストステロンを服用させたところ、最大7.9kgも筋肉が増えたのである。
ちなみに、各条件における血中のテストステロン量は以下の通り。
- 253ng/dl
- 306ng/dl
- 542ng/dl
- 1,345ng/dl
- 2,370ng/dl
一般人の血中テストステロン量は"350~1000ng/dl”と言われているので、高容量のテストステロンは”超生理学的な量”。
つまり、普通の人間ではありえないレベルのテストステロン量になっている。
一般人レベルのテストステロン量になると、筋トレなしではさすがに筋肉は増えない。
しかし、普通の人間ではありえないレベルのテストステロン量になると、筋トレをしなくても筋肉が爆増するのである。
ステロイドを飲む。それだけで筋トレしている人より筋肥大する
むしろ、筋トレをするよりステロイドを飲むだけのほうが筋肉がつく可能性がある。
というのも、ステロイドのアナボリック効果は筋トレのアナボリック効果を上回るのである。
このことを示したのが1996年の「ステロイドは筋トレに効果的か?」を調べた研究。(R)
被験者となったのは男性43人で、彼らを4つのグループに分けた。
- テストステロンエナンテート600mgを服用し、筋トレをする
- テストステロンエナンテート600mgを服用し、筋トレはしない
- プラセボを服用し、筋トレをする
- プラセボを服用し、筋トレもしない
ステロイドを摂取するかどうか、筋トレをするかどうかで被験者を条件分けし(食事などの条件は揃えて)10週間過ごしてもらったところ、筋肉量は以下のような結果に。
- ステロイド&筋トレ:+6.1kg
- ステロイドのみ:+3.2kg
- 筋トレのみ:+2.0kg
- コントロール:+0.8kg
一番筋肉が増えたのはステロイドと筋トレを組み合わせたグループで、その数字は2ヶ月ほどで+6.1kgと驚異的なもの。
そして、悲しいことに(?)筋トレを必死に頑張るより、ステロイドを服用しているだけの人の方が筋肉がつくという結果になったのである。
他の人は気にせず、地道にコツコツとトレーニングしよう
正直にいうと、数年間筋トレをしている人よりも、筋トレ歴は数ヶ月だけどステロイドを使用している人のほうが筋肉が大きくなるだろう。
さらには血中のテストステロン量には個人差もあるので、筋トレの効果が出やすい/出づらいはあるだろう。
本来は筋トレをしても”いい体”になるには何年もかかる。
焦らず自分のペースで筋トレを楽しめばいいんじゃないだろうか。