筋肥大したい人のための高強度ウォーミングアップのススメ

高強度トレーニングをするのなんてパワーリフターくらいのもんでしょ?
もしそう思っているなら、あなたは機会損失をしているかもしれない。
- 高強度トレーニングは主に筋力をつけるために行われる
- 高強度ウォーミングアップでパフォーマンスが上がる
- 高強度ウォーミングアップで筋力も上がるし筋肥大も加速する
今回は「筋肥大したい人のために「高強度ウォーミングアップ」を紹介する回です。
使用する負荷によって適応が変わる
高強度=筋力、中強度=筋肥大
まずこの話をするうえで知っておくべきなのが、使用する負荷によって筋肉の適応が変わるということ。
基本的には高負荷では筋力、中負荷で筋肥大、低負荷で筋持久力となっている。[1]
この理論は詳しく検証するとかなり長くなるので割愛するが、効率など様々な側面で考えるとあながち間違いでもない。
もちろん1-5RMだったら筋力向上だけで筋肥大しない、8-12RMだったら筋肥大だけで筋力が向上しないというわけではない。
しかし主な適応としてこれらの結果が得られるのは事実なのだ。
高強度トレーニングで実際に筋力が上がる
実際にこの負荷による適応の違いを示した研究を紹介しよう
- 2016年の研究[2]
- 被験者となったのは筋トレ経験のある男性19人。週3の筋トレを8週間行なってもらった。
- HEAVY:2-4レップできる重量で筋トレをする
- MODERATE:8-12レップできる重量で筋トレをする
- 被験者となったのは筋トレ経験のある男性19人。週3の筋トレを8週間行なってもらった。
VARIABLE | HEAVY(n = 10) | MODERATE(n = 9) |
Age (yrs) | 22.3 (3.9 | 24.1 (4.5) |
Height (m) | 1.74 (.08) | 1.77 (.04) |
Weight (kgs) | 84.2 (16.6) | 84.4 (14.5) |
RT Experience (yrs) | 4.3 (4.8) | 5.2 (3.4) |
高強度の筋トレと中強度の筋トレで効果を測定したところ、結果は下記のようになった。
- ボリュームはMODERATEの方が多かった(56049 ± 11101 vs 25867 ± 3731 kg)
- 脚の筋肉厚さはMODERATEの方が増加した
- スクワットの1RMはHEAVYの方が向上した
OUTCOME MEASURE | HEAVY | MODERATE | ||||
PRE-STUDY | POST-STUDY | HEDGE’S G | PRE-STUDY | POST-STUDY | HEDGE’S G | |
Elbow Flexors | 46.7 (4.4) | 48.1 (4.8) * | .28 | 46.9 (5.3) | 49.2 (5.3) * | .42 |
Elbow Extensors | 47.3 (8.0) | 48.6 (7.2) | .17 | 48.4 (7.2) | 49.9 (6.6) * | .21 |
Lateral Thigh | 56.5 (5.8) | 58.8 (7.1) * | .33 | 56.0 (4.7) | 61.8 (4.7) *# | 1.17 |
OUTCOME MEASURE | HEAVY | MODERATE | ||||
PRE-STUDY | POST-STUDY | HEDGE’S G | PRE-STUDY | POST-STUDY | HEDGE’S G | |
1RMBENCH | 92.7 (19.3 | 106.1 (18.9) * | .67 | 95.5 (23.8) | 105.5 (26.3) * | .38 |
1RMSQUAT | 114.5 (30.8) | 148.9 (27.7) *# | 1.12 | 119.5 (26.0) | 139.4 (27.2) * | .71 |
- An asterisk (*) indicates a significant effect from baseline values.
- A number sign (#) indicates a significant difference between groups.
高強度のときは筋力が向上し、中強度のときは筋肥大するという理論通りの結果になった。
筋肥大も筋力も高めようとしたのがピリオダイゼーション
筋力=筋肥大×神経適応
筋力を最大限まで高めたいパワーリフターには、筋肥大目的で筋トレをしている人にはない悩みがある。
それは複数の適応について考えないといけないということ。
というのも、筋力というのは中強度で得られる筋肥大も関係してくるし、高強度で得られる神経適応も関係してくるから。
筋肉を大きくしたいだけの人は8-12RMだけの筋トレで筋力や筋持久力がつかなくても問題はない。
ただし筋力を向上させたいとなると、筋繊維そのものを太くすることも必要だし、筋繊維一本一本を同時に動かす能力もつけなければならないのだ。
筋力を最大限高めるために開発されたピリオダイゼーション
高強度も中強度もやらなければいけないというパワーリフターの悩みを解決するべく産まれたのがピリオダイゼーション。
具体的には中負荷で筋肥大を狙う”筋肥大フェイズ”から高強度で神経適応を狙う”高強度フェイズ”に徐々に移行していくサイクルを繰り返すというもの。
サイクルの長さは数か月から1週間までさまざまで、その長さによって”線形ピリオダイゼーション”や”非線形ピリオダイゼーション”と呼ばれる。
実際にこのピリオダイゼーションは理論だけでなく、実際に筋力向上に効果があることがわかっている。
- 2017年に行われた”筋力”を調べたメタ分析[3]
- 18件の研究を抜き出したところ、ピリオダイゼーションは非ピリオダイゼーションより筋力UPに有利だった!(効果量:0.43)
筋肥大をさせてから神経適応をさせることで、実際に筋力を最大限高めることができるのだ。