ビジネスモデルの種類は?論文で利益が得やすいモデルも判明

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「ビジネスモデルにはどんな種類があるの?」
「いいビジネスモデルってあるの?」

副業が盛んに叫ばれる昨今。

昔ほど「大企業の社長になりたい!」という人は少なくても、「自分でお金を稼ぎたい!」と思っている人は多いでしょう。

この記事では、論文から「ビジネスモデルにはどんな種類があるのか?」をご紹介。

米国TOP1000の企業を調べた研究から、利益を稼ぎやすいビジネスモデルも紹介します。

目次

アメリカの企業TOP1000を調べた

今回紹介するのは、2005年に行われた「どんなビジネスモデルが優れているのか?」を調べた研究。(R

 「ビジネスモデルによる収益性の違いはあるのか?」という疑問に応えるべく行われた研究で、アメリカ1000社の企業を調査しました。

この研究では、「どのような法的権利を売るか」に着目してビジネスモデルを決定しています。

  • 所有権:商品の所有権を売る
  • 使用権:商品の使用権を売る
  • マッチング権:売り手と買い手をマッチングさせる

所有権に関しては、モノを製造している/していないでさらに分類し、計4パターンのビジネスモデルに分けています。

  • 創造者:商品を製造して売る
  • 分配者:商品を仕入れて他に売る
  • 管理者:所有する商品の使用権を売る
  • 仲介者:売り手と買い手をマッチングさせる

また、商品のタイプも4パターンに分類されています。

  • モノ
  • 金融
  • 無形
  • ヒト

最終的に、「どのような法的権利を売るか」と「商品がどのような資産か」で16種類のビジネスモデルが生まれます。

実際に米国TOP1000がどのようなビジネスモデルに分類されるかは以下のテーブルを参照してください。

金融モノ無形ヒト合計
創造者0%(0)46%(565)0%(0)0%(0)46%
分配者0%(34)18%(258)0%(2)0%(0)18%
管理者10%(187)6%(132)5%(85)13%(308)34%
仲介者2%(55)0%(15)0%(1)0%(5)2%
合計12%71%5%13%100%

各ビジネスモデルの割合 ※()内は実数

実際には太字になっている7種類のビジネスモデルが大半を占めていることがわかります。

ビジネスモデルの種類

各ビジネスモデルについて、もう少し詳しくみてみましょう。

①商品を作って売る「創造者」

創造者は商品を作って売るビジネスモデルです。

その中でも、実際にモノを製造するところから始めているのが特徴。

各資産における具体例は以下のとおりです。

金融モノ無形ヒト
創造者連続起業家メーカー××

創造者に含まれるビジネス

モノの創造者としては、製造業が代表例になります。

例えばトヨタなどはモノの創造者です。

起業して他社に会社を売る”連続起業家”は、会社を作っては売るので創造者に含まれます。

一方で、自身の会社を経営しているが他社に売るつもりがない”起業家”は金融の創造者には含まれません。

無形資産の作り出して売っている例としては、ベル研究所などがあります。

ベル研究所は特許を作り出し販売する事業を行っていますが、こういった例は非常に稀。

ヒトを作り出して売ることはほとんどの国で禁止されているので、ヒトの創造者も存在しません。

②商品を仕入れて売る「分配者」

分配者も創造者と同じで、商品を売るビジネスです。

ただし、モノ自体は作りません。

金融モノ無形ヒト
分配者銀行・投資家卸売・小売××

分配者に含まれるビジネス

モノの分配者は一般的で、食品を仕入れて売るAmazonやイオンが一例です。

こういった卸売業や小売業はモノの分配者です。

金融の分配者は銀行や投資家などがこれに属します。

無形資産の分配者には、ドメイン名を売る「お名前.com」などがあります。

しかし、絶対数が少なく珍しいビジネスモデルです。

ヒトの分配者も、創造者と同じく多くの国で違法なので存在しません。

③商品の使用権を売る「管理者」

管理者は、自らの資産を貸すことで利益を生み出します。

資産の使用権は売りますが、所有権は絶対に売りません。

金融モノ無形ヒト
管理者金貸大家・ホテル出版・タレントコンサルタント

管理者に含まれるビジネス

モノの管理者には、部屋を貸し出している大家さんやホテル会社などが含まれます。

他にも航空会社や富士急などのアミューズメントパークもモノの管理者です。

金融資産の管理者としては、お金を貸すアコムなどがいい例。

返済義務が生じるので、「お金の使用権をあくまで一時的に借りているだけ」ということで分配者ではなく管理者に含まれます。

無形資産の管理者には、出版社やタレントがあります。

本を買ったとしても、情報の使用権は得られますがその情報を販売する権利は得られません。

出版の本質は情報にあるので、出版社は創造者ではなく管理者に含まれています。

他にも、自分のブランドイメージや認知度を使ってビジネスをする”タレント”や”Youtuber”も無形資産の管理者です。

ヒトの管理者は、コンサルタントや運送会社がいい例です。

簡単に言ってしまえば、ヒトによって提供されるサービスを扱っている会社はヒトの管理者になります。

④売り手と買い手をマッチさせる「仲介者」

仲介者は、売り手と買い手のマッチングを行います。

商品を持たないかわりに、売り手や買い手をマッチングさせる場を作ることで手数料をもらいます。

金融モノ無形ヒト
仲介者証券・保険メルカリ・ヤフオク×人材会社・マッチングアプリ

仲介者に含まれるビジネス

モノの仲介者としては、モノの売買を行うメルカリやヤフオクがあります。

金融資産の仲介者は、証券会社や保険会社です。

知的財産の仲介者は、実はほとんど存在しません。

ヒトのブローカーは、リクナビやマイナビなどの人材会社です。

他には最近で言えばマッチングアプリなどもヒトの仲介者に含まれます。

どのビジネスモデルが儲かるのか?

「商品の売り方」と「商品の種類」でビジネスモデルを16種類に分けました。

金融モノ無形ヒト
創造者連続起業家メーカー××
分配者銀行・投資家卸売・小売××
管理者金貸大家・ホテル出版・タレントコンサルタント
仲介者証券・保険メルカリ・ヤフオク×人材会社・マッチングアプリ

ビジネスモデル

太字の部分は、2005年当時のアメリカ大企業で主流だったビジネスモデル7種類です。

2023年現在の日本となると少し状況が変わる可能性があるのは気をつけたほうがいいポイントでしょう。

ここで再度割合も見てみましょう。

金融モノ無形ヒト合計
創造者0%(0)46%(565)0%(0)0%(0)46%
分配者0%(34)18%(258)0%(2)0%(0)18%
管理者10%(187)6%(132)5%(85)13%(308)34%
仲介者2%(55)0%(15)0%(1)0%(5)2%
合計12%71%5%13%100%

各ビジネスモデルの割合 ※()内は実数

2005年当時の状況をみると以下のようなことがわかります。

  • 創造者の資産はモノの一極集中になっている
  • 分配者はモノと金融を扱っている
  • 管理者は資産が固定されていない
  • マッチは金融の一極集中

創造者というビジネスモデルの大企業は、モノを扱っている確率が極めて高いです。

分配者も同じで、モノが多数を占めた後に金融が続くという状況です。

一方で、管理者は資産が固定されておらず、さまざまな資産を扱っている大企業がいます。

そして仲介者は、金融が多くその次にモノが続きます。

とはいえ、現在ではマッチングアプリなども盛んなことから、ヒトの仲介者はもう少しボリュームが大きくなるかもしれません。

儲かりやすいビジネスモデルは管理者とマッチ

ここで皆さんが気になるのが「儲かりやすいビジネスモデルはあるのか?」という話でしょう。

この研究では「どれだけ営業利益が出やすいか?」「時価総額が高くなりやすいモデルはどれか?」も調べられています。

具体的には「ビジネスモデルの収入が100万ドル上がるごとに営業利益(収入ー経費)や時価総額がどのくらい上がるか」を調べています。

結果は以下のようになっています。

営業利益時価総額
創造者----
分配者-$74,000+$380,000
管理者+$231,000+$1,899,000
仲介者+$801,000+$666,000

各ビジネスモデルの営業利益と時価総額

この結果を簡単に言ってしまえば、管理者や仲介者は利益が出やすく時価総額も高くなりやすいという傾向があったことになります。

つまり、管理者と仲介者は創造者や分配者よりも優れたビジネスモデルといえます。

各ビジネスモデルをもう少し細分化した結果もみてみましょう。

仲介者$819,000
管理者(モノ)$269,000
管理者(無形)$266,000
管理者(金融)$253,000
管理者(ヒト)$81,000
創造者--
分配者-$73,000

各ビジネスモデルの営業利益

管理者(無形)$7,910,000
管理者(金融)$1,965,000
管理者(ヒト)$1,742,000
管理者(モノ)$1,042,000
仲介者$731,000
分配者$401,000
創造者--

各ビジネスモデルの時価総額

資産に注目して結果を見てみると、モノ以外を扱うビジネスモデルは、モノを扱うビジネスモデルと同等かそれ以上の収益性と時価総額を示す傾向があります。

さらには、この研究では”業界”よりも”ビジネスモデル”のほうが営業利益や時価総額をよく予想できることも示されています。

これらを総合すると、利益と市場価値という2つの指標において以下のような結論がいえます。

  • 管理者と仲介者は利益と市場価値において優れている
  • モノを扱わないビジネスのほうが収益性が高く時価総額が高い

まとめ

今回は「ビジネスモデルにはどんな種類があるのか?」についてまとめました。

ここで一つ注意すべきなのが、この結果は因果関係を示していないことです。

確かに管理者と仲介者は利益が出やすく時価総額が高くなりやすいですが、管理者や仲介者のビジネスだからといって必ず成功するわけではなりません。

すべてを鵜呑みにするのはよくないですが、道標くらいにはなるでしょう。

もし自分でビジネスを立ち上げたいという人は一度自分のビジネスがどの分類に当てはまるのかも考えてみるといいかもしれません。

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